恩田陸の『七月に流れる花/八月は冷たい城』を読んだ。
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「七月に流れる花」と「八月は冷たい城」を収録した作品。どちらもミステリー仕立て。
「七月に流れる花」は夏流に引っ越してきたミチルが、必ず行かなければならない林間学校に招待されて夏流城へ。そこには6人の少女が参加。なぜ、なんのために彼女たちがそこへ招待されたのか・・・。
「八月は冷たい城」は少女たちと同じ時期に林間学校に参加した少年4人のお話。4人のはずがもう一人の影がちらついて・・・、一体何が起こっているのか?
「七月ー」は作品の設定自体が謎で、「八月ー」はその設定のうえで起こる出来事が謎で、書きにくいなぁ・・・。感染症にまつわるお話で、コロナ禍のいま、興味深く読める作品。以下ネタバレを含むので未読の方は読まないように。
末期患者に接触すると危険な緑色感冒の病院は夏流城と一体化していて、林間学校に参加するのは、肉親が近くなくなるであろう末期患者の子供たち。これが「七月ー」の後半で語られる謎で、緑色感冒で重症化しながら生き残った数少ない”みどりおとこ”について語られる「八月ー」。設定自体が謎というやや反則な展開と、伏線の張り方が弱かったり、ミステリーとしてはちと喰い足りない印象で、ちょっと残念。
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