伊坂幸太郎の『シーソーモンスター』を読んだ。
8人の作家による競作企画〈螺旋プロジェクト〉の作品で、〈螺旋プロジェクト〉には、もともと人には山族と海族とがいてすべての争いはその二族の対立に起因するという共通ルールがある。
「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の2作品を収録。
「シーソーモンスター」の時代背景はバブル期で、元諜報員の嫁姑の争いを中心に描くのだが、なかなかにサスペンスフルで、手に汗握る展開。
「スピンモンスター」の時代背景は近未来で、配達員の主人公が突然依頼された配達物を届けることで事件に巻き込まれていくのだが、こちらもサスペンスフルな展開。その中で主人公は失われていた記憶を取り戻すのだが、そこにあるのは切ない事実で、さらにラストにはもっと切ないできごとが・・・。
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一見関係なさそうな2作品だが、巧くつないでいるのよこれが。著者の巧さがよくあらわれていて面白く読める作品だ。