この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#180 司馬遼太郎著 「城塞」

2005年09月07日 | 日本文学
「この城塞という作品も面白いね。」「司馬遼太郎の作品は何でも面白いが、これも本当に面白い。」「関が原で徳川家康が勝利をおさめると次はいよいよ豊臣家を滅ぼすことになるんだね。」「そうだね。この作品の中で、家康はだんだんと年をとって先が短くなる。一方、秀頼が着実に成年になって行く、そのまぎれもない現実に家康が焦ると書いてあるね。」「自分が生きている間に、豊臣家を滅ぼしておかないと、あとどういう風に天下 . . . 本文を読む

#179 随想60 「対話と圧力」(落語#5)

2005年09月05日 | 随想
長屋の亀さんが長屋のご隠居さんのところに来ました。 隠:今日は何だね。お前さん顔色がさえないね。何か心配ごとでもあるのかね。かみさんの具合でも悪いのかね。 亀:いや、あっしの女房は相変わらず元気すぎるくらい元気ですがね。 隠:それじゃどうしたんだい。何か相談事でもあるのかね。 亀:それじゃご隠居さんがせっかくそう言ってくださるなら、相談に乗っていただきましょう。 隠:何を困ってるんだね。 亀:そ . . . 本文を読む

#178 「翻訳家朝吹登水子さん」

2005年09月04日 | フランス文学
昨日、新聞で翻訳家の朝吹登水子さんが亡くなったと報じていた。享年88歳とのことである。心よりご冥福をお祈りしたい。新聞の見出しには、サガン作品を翻訳と書いてある。なるほど、「悲しみよ今日は」のサガンは若い女性達の人気を集めた。しかし、私は朝吹さんはシモーヌ・ド・ボーヴォワールの作品の訳者として親しみを感じていた。早速本棚を探して見ると、ボーヴォワールの「女ざかり」が出て来た。朝吹さんと二宮フサさん . . . 本文を読む

#177 随想59 「女飛脚」(落語#4)

2005年09月03日 | 時事
長屋の金太郎が長屋のご隠居さんのところに来ました。隠:金さん、今日はなんだね。亀さんに負けないでテレビの話かね。金:最初にそう言われたら話しづらいね。隠:テレビで何かあったのかい。金:はい。テレビを見ていたら今度シキャクになった偉い女の人が靴屋で靴を買っているのが写っていたんです。隠:それがどうかしたかね。金:何か、運動靴のようなものを買おうとしてるんです。隠:運動靴とは古い言い方だね。今ではスニ . . . 本文を読む

#176 随想58 「女刺客」(落語#3)

2005年09月02日 | 時事
今日も長屋の熊さんが長屋のご隠居さんのところに来ました。隠:ああいらっしゃい。今日はなんだい?熊:実はまたシカクの話なんですが。隠:お前さん、人が悪くなるからもう政治のテレビを見ないといってたが、まだお前さんテレビを見ているのかね。熊:隣の八五郎の奴が見てるから、負けるのはしゃくですから見てるのです。隠:それで刺客について何かもっと聞きたいことがあるのかね。何でも言ってごらん。熊:刺客っていうのは . . . 本文を読む

#175 随想57 「状況を見て適切に判断」(落語#2)

2005年09月01日 | 時事
今日も長屋の熊さんが長屋のご隠居さんのところに来ました。隠:ああいらっしゃい。今日も刺客の話かい?熊:刺客の話はまたにして、ご隠居さんに教えて欲しいことがあるんです。隠:どういうことだね。何でも言ってご覧。熊:前に八に貸した5000円を返してくれと昨日八に言ったんです。隠:お前でも人に金を貸すことがあるんだね。熊:冗談いっちゃいけませんよ。私も江戸っ子のはしくれですからダチが困っているときには自分 . . . 本文を読む