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ITコーディネータと言う資格について その24

2014-09-30 17:23:32 | GEIT
皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。

「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。


ブログの第240回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。

これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。


【IT経営とは?】

ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。


前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。


経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)

URL:

http://www.it-keiei.go.jp/index.html



IT経営とは何か?

経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。

IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。

このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。


IT経営について

IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。

 ・7つの機能と20の行動指針
 ・IT経営力指標と4つのステージ
 ・IT経営協議会とIT経営憲章
 ・IT経営ロードマップ
 ・各種報告書



・IT経営ロードマップ

【IT経営ロードマップとは】

IT経営憲章に基づき、企業がIT経営を実際に推進するにあたっての取り組みを、IT経営における先進企業の事例を踏まえて、以下の2点として整理したものです。

平成20年6月に初版が発行され、平成22年3月に改定版が発行されています。

 1. IT経営の実践に向けた取組
 2. マネジメント上の課題



【IT経営ロードマップの詳細】


・IT経営に向けた構造的課題

背景となる課題の構図として、経営とITの好循環に入り込めない企業を見ると、以下のような共通の特徴が見られると書かれています。

 1.経営者自身のIT投資に対する考え方が不明確
 2.経営目標実現に向けた基本的な「絵図面」の不在
 3.「絵図面」を具体化するための業務設計作業の不在


「絵図面」? ずいぶんと酷い言葉を選んでいると思います。

最後にITへの実装をするためには、ポンチ絵では役に立ちません、事業構造を正確に表す図面が必要です。


そして、以下の様に続けられています。

確かに、こうした構造的課題の解決がない状態で、発注仕様や開発作業の改善に向けた取組を始めても、IT投資そのものの生産性を上げ、戦略的な投資に結びつけて行くのは困難である。

成功事例を分析すると、経営者による企業改革や業務改革の指針の提示をスタートに、経営とITの好循環に入っている状況は多く見られる。

現場レベルの課題解決の鍵は、むしろ、これらの構造的課題の方が握っている事を示唆している。



・課題の詳細

1.経営目標

経営者自身のIT投資に対する考え方が不明確について。

 ・経営戦略上の目標とポジショニングが明確でない
 ・経営者が、IT投資と経営戦略とは関係が希薄だと思っている


2.IT経営戦略

経営目標実現に向けた基本的な「絵図面」の不在について。

 ・経営目標実現に向けたIT活用の基本的な「絵図面」(IT経営アーキテクチャ)がない


3.狭義のIT投資

「絵図面」を具体化するための業務設計作業の不在について。

 ・「絵図面」どおりに、業務・データを振る舞わせるための具体的な設計作業(業務モデル構築)をユーザもベンダも行っていない

  情報化のスコープ
     ↓
  業務モデル(概念)
     ↓
  システムモデル(論理)
     ↓
  技術モデル(物理)


う~ん? と言う感じです。

「絵図面」と言う言葉もそうですが、未だに40年前のやり方で何とかしようとしています。

この後、EA(Enterprise Architecture)の図も出てくるのですが、長年効果がない事は実証されてきた以下のやり方です。

 ・現場に行ってユーザヒアリング(参与観察)
 ・DMM、DFDとE-R図(+クラス図もどき)


ここに書かれているのは、未だに変換の断絶が起こる以下のやり方です。

 × 概念 → 論理 → 物理


私たちの推奨する手法TMは、これを以下の様にします。

 ◎ 概念 = 論理 = 物理

現実の事態をモデルにとってそのままDB(コンピュータ)に乗せます。

分析 = 設計 = 実行 とも言えるやり方(Concurrent Engineering)です。

※RDBの内部は、セット理論で作られていて、そのまま乗せると非常に早いのです。

これによって、高品質・低コスト・短納期(QCD全てを満たす)を実現します。



更に、IT経営に向けた構造的課題は、以下の様に続きます。

とはいえ、取組初期の時点で、こうした構造的課題といきなり対峙し、一度に全ての解決を目指すことは、事実上困難である。

先進的な企業の例を見ると、まず、個々の課題の「見える化」に取り組み、次に、「見える化」が十分に進んだ段階で、「見える化」した情報や業務の「共有化」に取組を進めているものが多い。

また、最終的には、将来の外部環境の変化に備え、ユーザーの業務・システムの「柔軟化」に取り組む、という整理が可能である。


上記のような構造的課題については、こうした取組を進めながら、一つ一つ徐々に解決している様子が伺われる。

このため、IT経営の改善に向けた着実な取組と、その背景にある構造的課題の解決とは、並行して、段階を追って取り組むべき課題と見ることも出来るのではないか。

もちろん、経営課題が大きく、短期に抜本的な改革を要する場合、IT投資においても、大がかりな共有化レベルの取組から開始するケースも十分あり得る。

成功事例を見る限り、「経営戦略や事業戦略の実現のために、IT活用が必要不可欠である」ということを導出することに、丁寧に時間とコストをかけているケースが多い。

ITを利活用して経営目標を達成するということについての納得感と「場の醸成」を、経営層から現場まで一気通貫で行うことに力を入れているのである。

IT経営実現に向けた取組は、いきなり全体に対して行なうのではなく、その時々に可能な範囲で段階的に行うことが肝要である。



前回もお伝えしましたが、成熟度だから徐々に段階を踏まないとできないと述べられている様に感じます。

しかし、これに時間をかけている間、急速に大きく変化する経営環境は、待っていてくれるのでしょうか?

経営者がいくら本気になっても、40年前のやり方で対処していては、本来経営を支援するはずのITが、急速に大きく変化する環境のスピードに即応できず、経営戦略の足を引っ張ってしまいます。

以前からこのブログでお伝えしているTMと言う手法は、「見える化」「共有化」「柔軟化」を同時並行的に実現します。

このTMこそが、私の考えるIT経営への実現解なのです。

IT経営ロードマップに書かれている事を素早く実現できるように支援をして行く事は、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。



少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの説明の途中で、終了します。

次回もこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの続きを説明して行きます。

この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。



最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。


皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。


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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
 Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
 Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
 Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)


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御嶽山噴火!自然の驚異

2014-09-29 19:10:39 | 時事
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ブログの第239回目は、各報道でも大きく取り上げられている御嶽山での火山噴火の災害についてです。


長野県と岐阜県の県境にある御嶽山(おんたけさん)、標高3,067mが、27日11時53分に噴火しました。

秋の紅葉での登山シーズンだったため、山頂付近には多くの登山者がいて、突然の噴火で、死者と重軽傷者多数を出してしまう、大きな被害となってしまいました。

火山災害で犠牲者が出たのは、1993年に発生した長崎県雲仙普賢岳の火砕流災害以来だそうです。


まず、この度の被害に際し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

今は被害が、最小であります事と、負傷者と行方不明の方が無事下山されます事を心よりお祈り申し上げます。


火山列島で地震国の日本は、活火山と考えられている山が110山もあって、全世界の7%にもあたるそうです。

全世界の62番目で、約0.25%しか国土面積を持たない日本が、活火山だけは全世界の7%とは、いかに凄い火山国かが解ります。


国内の活火山の中で、24時間の観測体制を執っている火山は、47山あって、今回噴火した御嶽山は、その中でも活動が活発とされる23火山に含まれているそうです。

近年の登山ブームに乗って、47火山に含まれる富士山に、2年前まで6年程連続で登山していた私としては、改めて大自然の驚異を再認識させられると共に、登山時の覚悟を考えさせられました。


気象庁の火山噴火予知連絡会は、今回の噴火は、火山灰にマグマに由来する物質が含まれていないため、マグマの熱で地下水が沸騰して爆発する水蒸気爆発と判断したそうです。

水蒸気爆発は、マグマの上昇を示す地殻変動なしに突発的に発生するため、予知が難しいようです。


世界で一番事例も多く、研究の進んでいるはずの日本ですが、火山の噴火や地震に対する予知(前兆現象を捉える事)は、困難な状況が続いています。

大自然の驚異の前に、人類の科学力がまだまだ及ばいない事を示しています。

観測体制への予算等も少ないようなので、国や自治体がリスクに対する施策を早急に整えれくれる事と、何より研究者の方の、これからの健闘に期待しています。



最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。


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これからのブログの成長に、どうぞご期待ください。


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・公認情報システム監査人
 Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
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 Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
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ITコーディネータと言う資格について その23

2014-09-28 20:50:37 | GEIT
皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。

「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。


ブログの第238回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。

これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。


【IT経営とは?】

ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。


前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。


経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)

URL:

http://www.it-keiei.go.jp/index.html



IT経営とは何か?

経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。

IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。

このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。


経営・業務・ITの融合

以下の通り、経営は「視点」を、業務は「情報活用」を、ITは「メカニズム」を提供する事によって、経営・業務・ITが融合したIT経営が実現します。

 ・視点:取り組むべき企業改革や業務改革の指針
 ・情報:改革課題の達成に向け、必要な情報とそれを活かす業務の仕組み
 ・メカニズム:改革実現に向け、情報の効率的活用手段



IT経営について

IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。

 ・7つの機能と20の行動指針
 ・IT経営力指標と4つのステージ
 ・IT経営協議会とIT経営憲章
 ・IT経営ロードマップ
 ・各種報告書



・IT経営ロードマップ

【IT経営ロードマップとは】

IT経営憲章に基づき、企業がIT経営を実際に推進するにあたっての取り組みを、IT経営における先進企業の事例を踏まえて、以下の2点として整理したものです。

平成20年6月に初版が発行され、平成22年3月に改定版が発行されています。

 1. IT経営の実践に向けた取組
 2. マネジメント上の課題


1. IT経営の実践に向けた取組

IT経営ロードマップは、成功企業の経験を踏まえ、以下の3ステップ毎に、IT経営の実践に向けた取組を整理しています。

 ・見える化
 ・共有化
 ・柔軟化


企業のIT経営に向けた取組を、「見える化」「共有化」「柔軟化」の3段階で進めて行くに従い、経営・業務・ITの融合が徐々に進み、IT活用の視点から見た組織成熟度(「IT経営の成熟度」)が向上します。


2. マネジメント上の課題

また、こうした取組と並行して徐々に充実が必要となる、以下について、マネジメント上の課題として別途整理しています。

 ・ITガバナンス
 ・人材確保
 ・組織整備
 ・IT投資の評価
 ・その他



【IT経営ロードマップの詳細】


0.IT経営の実施前

経営、業務、ITが個別に活動しており、経営戦略的な目的不在のままIT投資が継続している段階です。

この状態でも、「見える化」「共有化」「柔軟化」の取組みが出来ないわけではありませんが、目的が定まらない活動になり成果は限りなく乏しいものになります。



1. IT経営の実践に向けた取組


・見える化

◇定義

経営から得られる視点に基づき、現場の課題抽出と解決検討の材料に繋がるように、業務や情報を客観的に把握できるようにする事です。


◇段階

経営から得られる視点に基づき、業務や情報が見える化する事によって、ITと現場の融合が始まります。

業務や情報の客観的把握が実現し、現場による課題の抽出と解決検討のための材料の発掘が可能となります。

ただし、全社的に実現するのではなく、あくまで部分的なフィールド内での実現に止まっています。


見える化は、以下の様に、情報の見える化と業務の見える化で構成されます。

◆情報の見える化

・自社のビジネスモデルに即し、自社内の情報の使い方や表現形式など(「情報モデル」)をしっかりと洗い出し、設計し直す事が取組の基本となります。

・短期的に効果が見えにくい作業である事から、意識的に、経営者の十分な理解を得つつ、必要性の明確な部署から順次取り組むよう留意する必要があります。


◆業務の見える化

・経営者や現場責任者を巻き込む手順と仕組みを確立しつつ、IT化と一体となって業務プロセスの再設計に取り組みます。

・現場レベルでは、日頃繰り返し行っている業務であっても、自分では目的や手順・内容を客観的に記述できない場合も多くあります。

・まずは日常業務の体系化から取り組むなど、取組の効果が見えやすい部署から順次取り組むよう留意する必要があります。

・対象となる業務と情報について、必要十分なタイミングで状況を把握し管理するための仕組みを構築します。


見える化の推進において、情報の見える化と業務の見える化のいずれを先行させるかは、業態によっても異なります。

扱う商品やサービスが比較的限られており、処理すべき情報の多様性が低い業務では、最初から業務の見える化が主題となるケースが多く見られます。

他方、業務の多様性が高く、処理すべき情報そのものが明確でない業務においては、まずは、情報の見える化にじっくりと取り組むことからスタートするケースが多いと言えます。



・共有化

◇定義

現場で積み上げられた「見える化」の成果を、経営戦略上必要と思われる社内外の関係者間において、いつでも効率的に使えるよう共有化する事です。


◇段階

現場で積み上げられた「見える化」の成果の共有化が進むことによって、経営戦略上必要と思われる社内外の関係者間で、業務や情報をいつでも効率的に使えるような環境が作り上げられます。

本格的なIT経営の実現段階に近い状態に進みます。


◆共有化の範囲の確定

・社内だけでなく、供給側から顧客までバリューチェーン全体を見渡した上で、共有化の目的を定義します。

また、その目的に照らして、必要な情報とそれが使われている業務を特定し、共有化の範囲を決定します。


◆共有化に伴う業務の再構築

・情報共有化を行うために最も効率的だと思われる方法で、各業務を再構築します。

・企業横断的に業務の再構築を行う場合には、各社が得られるメリットと負担すべきコストのバランスを十分考慮し、最大限、Win-Win関係の構築に努めます。


◆組織体制等の変更

・再構築した業務を円滑に動かすため、必要となる制度・ルールや組織体制の変更については、並行して迅速に取り組みます。


◆教育・研修を通じた定着

・新たな業務の定着に向けて、実際に業務を担う従業員に対し、その理解と納得を得るため、十分な時間をかけて教育・研修を実施します。



・柔軟化

◇定義

将来予測される外部環境の変化に対して、必要に応じいつでも、自社の業務を柔軟に組み替え、社内外の必要な情報を組み合わせて、新たなイノベーションを迅速に創出できるようにすること


◇段階

共有化の進んだ企業において、柔軟化を進めることによって、将来予測される外部環境の変化に対して、自社の業務を柔軟に組み替え、かつ社内外の必要な情報を組み合わせて新たなイノベーションの創出が可能となります。

企業内の柔軟化が達成されれば、次に外部のステークホルダ(顧客や取引先等)と業務・システムのモジュール化に取り組むことになります。

その結果、バリューチェーンの「つながり力」が強化され、新たなイノベーションを創出する環境が構築されます。

2008年のリーマンショックに見られるような事業環境の著しい変化に対し、実態を正確に把握し、企業の業務・体制やバリューチェーンを、迅速かつ的確に組み替えると言った、高度なIT 経営を実現します。


◆柔軟化の必要性評価

・自社を取り巻く外部環境の将来の変化について予測を行うとともに、外部環境の変化がもたらす自社のビジネス、現状の業務へのインパクトについて評価します。


◆業務・システムのモジュール化

・外部環境の変化に対して、柔軟に組み替えるべき業務を特定し、迅速な業務組み換えが行えるよう、業務及びシステムのモジュール化を促進します。


◆戦略的な柔軟化とオープン化

・外部環境の変化を自社に有利に受け止め、迅速に新たなイノベーション創出に結びつけるよう、社内外の必要な情報を組み合わせる事ができる環境を構築します。

・内部の業務モジュールへの独立性の付与、ビジネスモデル全体のオープン化など、市場の変化を先取り可能な戦略性を持ちます。



【IT経営ロードマップとIT化ステージ】

以前説明したIT化ステージの各段階それぞれにおいて、「見える化」「共有化」「柔軟化」があります。

ただし、ステージ2段階では「見える化」、ステージ3段階では「見える化」と「共有化」、ステージ4の段階では「柔軟化」との関連性が強くなる傾向があります。

この「見える化」「共有化」「柔軟化」を推進するにあたっては、「単純化・標準化と多様性のバランスをどのように確保するか」です。

単純化し、標準化する事でITの活用度合を高めIT経営度を高める事ができる一方で、単純化・標準化が陳腐化の始まりとなって、他社との差別化、差異化を無くしてしまう原因にもなるからです。



ここまで読んでみると、成熟度だから徐々に段階を踏まないとできないと述べられている様に感じます。

しかし、これに時間をかけている間、急速に大きく変化する経営環境は、待っていてくれるのでしょうか?

以前からこのブログでお伝えしているTMと言う手法は、「見える化」「共有化」「柔軟化」を同時並行的に実現します。

このTMこそが、私の考えるIT経営への実現解なのです。

IT経営ロードマップに書かれている事を素早く実現できるように支援をして行く事は、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。



少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの説明の途中で、終了します。

次回もこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの続きを説明して行きます。

この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。



最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。


皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。


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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
 Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
 Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
 Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)


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■まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0001626008.html

ITコーディネータと言う資格について その22

2014-09-27 19:01:25 | GEIT
皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。

「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。


ブログの第237回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。

これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。


【IT経営とは?】

ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。


前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。


経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)

URL:

http://www.it-keiei.go.jp/index.html



IT経営とは何か?

経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。

IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。

このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。


IT経営について

IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。

 ・7つの機能と20の行動指針
 ・IT経営力指標と4つのステージ
 ・IT経営協議会とIT経営憲章
 ・IT経営ロードマップ
 ・各種報告書



・IT経営協議会とIT経営憲章

【経緯】

平成19年11月より、民間企業においてITを活用した業務改革に取り組んでいるCIOおよび有識者が集い、IT経営に関する事例を検討する場として、「CIO戦略フォーラム」が開催されました。

このCIO戦略フォーラムは、現在も継続中です。

そして平成19年度に、このフォーラムの中で、「IT経営憲章」および「IT経営ロードマップ」の検討を実施しています。

また、平成20年度には、CIO戦略フォーラムで明らかになった課題を検討するために、ワーキンググループ(WG)を実施しています。


【IT経営協議会とは】

平成20年6月に、国内大手企業のCEO、CIO、有識者および経済産業大臣が一同に会し、わが国のIT経営のあり方について議論する、「IT経営協議会」が開催され、「IT経営憲章」が採択されました。


【IT経営憲章とは】

IT経営に熱心な企業経営者が参画する「IT経営協議会」にて、経営者がIT経営を実践する為に取り組む10の原則として、採択されたものです。



IT経営憲章

【前文】

グローバル経済の急速な成長と国境を越えた取引関係及び分業関係の急速な深化などにより、日本企業を取り巻く経営環境は大きく変化し、その不確実性・複雑性が増している。

予測困難かつ急激な経営環境の変化にも柔軟に即応しながら、競争力を強化し続けるためには、国内外の経営資源を最大限に活用しつつ、企業改革や業務改革に絶えず取り組み続けることが必要である。


競争力強化のために経営者が必要としているものは適時・的確な「情報」であり、「情報」を最大限に活かす「人材」と「業務のしくみ」である。

そして、ITは、情報の量と質(正確性、即時性、利便性、安全性等)を飛躍的に向上させる道具である。

今日、ITへの期待は、自動化・合理化・効率化といった従来の範疇を超えて、企業自身の競争優位の獲得へと幅を広げつつある。


我が国IT活用の現状を見ると、現場の作業を効率化するためのIT活用は優れているものの、「部門の壁」、「企業の壁」、「地域・国境の壁」を超えた構造改革を伴うIT活用については十分に行われているとは言い難い。

世界の卓越した企業は、経済のグローバル化を背景に、ITを効果的に活用しながら、国境を越えたバリューチェーンの再構築に次々と先手を打ちつつある。

こうした状況にありながら、我が国企業の多くが、経営からの方向付けを十分に得られないまま、目的の不明確なIT投資を続けているとすれば、これは憂慮すべき事態である。


このため、IT経営協議会はその発足に当たり、以下に掲げる憲章に基づき、経営者自身による主体的なIT戦略の方向付けを含め、あるべき我が国企業のIT投資の改善活動を主導するとともに、CIOをはじめとする人材育成、「企業の壁」などを超えた標準化の推進など、ITを駆使した我が国産業競争力の強化に積極的に取り組んでいくことを宣言する。



【IT経営憲章】

~ITを我が国の競争力の糧とするための10原則~

経営者は、グローバル化する経済の中で、国際競争力を獲得し、社会に有用な価値を提供し続けるために、次の10原則に基づき、ITを駆使した企業経営を実践する。

1.【経営とITの融合】
経営者は、自らの経営判断に基づき、企業改革や業務改革の道具として常にITを戦略的に活用する可能性を探求する。

2.【改革のリード】
経営者は、企業改革にITにおける技術革新の成果を生かし、日々の細かな改善を含め、中長期にわたり、取組みをリードする。

3.【優先順位の明確化】
経営者は、取り組むべき企業改革や業務改革の内容を明らかにして、その実現に向けたIT投資の優先順位を常に明確に現場に示す。

4.【見える化】
経営者は、ITを活用し、競争優位の獲得に必要な情報や業務を可視化し、かつステークホルダーへの情報開示や透明性の確保に取り組む。

5.【共有化】
経営者は、「見える化」した情報や業務を「共有化」し、企業内での部門を超えた業務間連携、業種・業態・規模を超えた企業間連携を促す情報基盤構築やバリューチェーンの最適化に取り組む。

6.【柔軟化】
経営者は、ITを活用し、個々の企業の枠にとらわれず、業務やシステムの組み替えや、必要な情報を迅速かつ最適に活用できる事業構造への転換に取り組み、経営環境の急速な変化に柔軟に対応する。

7.【CIOと高度人材の育成】
経営者は、最適なIT投資・IT活用を実現するために、CIOを任命し、ともに企業改革や業務改革に取り組む。また、産学官、ユーザー・ベンダの垣根を越えて、ITを駆使した企業改革を推進できる高度人材の育成・交流を推進する。

8.【リスク管理】
経営者は、IT活用がもたらすリスクと、問題が発生した際のステークホルダーや社会に及ぼす影響を正しく認識し、その管理を徹底する。

9.【環境への配慮】
経営者は、環境に対する企業責任を認識し、IT活用によるエネルギー効率向上や省資源化に取り組む。

10.【国内企業全体の底上げ】
経営者は、IT投資から最大限の効果を引き出すためにも、中小企業等企業規模や業種の如何を問わず、企業の枠を超えて我が国企業全体のIT経営の改善・普及に取り組む。



前文で述べられている事は、IT(情報技術)の進歩は飛躍的に進んでいるのに、それを使う側の意識が、30~40年も前の作業の機械化と言う域を出ていない事を表しています。

本来経営を支援するはずのITが、急速に大きく変化する環境のスピードに即応できず、経営戦略の足を引っ張るお荷物に成り下がっている状況があります。

憲章に書かれている10の原則は、真にもっともな事なのですが、中小企業がこれを実現して行く事は、そう簡単ではありません。

経営者の意識改革を促す事を含めて、10原則を実現する支援をして行く事は、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。



これで、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営協議会とIT経営憲章の説明は、終了します。

次回のこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップを説明して行きます。

この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。



最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。


皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。


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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
 Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
 Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
 Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)


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TM普及 3

2014-09-26 20:31:07 | GEIT
皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。

「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。


ブログの第236回目は、久々に使用しているモデル論の、TMの普及活動についての話題です。


TM(Theory of models)は、株式会社SDIの佐藤正美さんが考案した、事業構造を見える化見せる化する手法です。

以前からお伝えしているように、TMを使用すると事業構造を正確に・素早く・漏れなく捉える事ができ、かつ業務のルール(制約・束縛)を網羅的に把握可能になります。

一般で言う、業務分析を完璧に行うことができる手法です。

更に、作成されたモデルは、そのまま実装に持ち込む事ができるため、通常相反すると言われる、QCD(品質、コスト、納期)の3要素を全て満たすことができる優れものです。



東京商工会議所



10日程前に、東京商工会議所で行われた、以下のセミナーに行ってきました。

「なぜ、現状の基幹業務システムは、ビジネス環境の変化に迅速に対応できないのか?
 ~超高速開発ツールの導入が必然である理由~」


ここで語られていた事は、以下の様な事です。

【問題意識】

 ・現状の情報システムは『ビジネス環境の変化に迅速に対応できているか?』
 ・情報システムを活用する“ユーザー企業”からの視点


【課題、問題点】

 ・ビジネスと情報システムとの間の“GAP”(以下が分断されている)

 ビジネス・モデル  ⇔ 情報システムモデル
 (プロセス/組織…)   (アプリケーション/システム構造…)


【その解決策として】

 ・超高速開発とそのツール

  業務のデザインから運用・保守工程をも含めたシステム・ライフサイクル全般にわたる生産性向上と継続的品質改善を行うやり方
  「超高速」には、「期間短縮」、「工数削減」と「品質向上による手戻り削減」の意味を含む


紹介されていたツール群には、いくつか名の通った良く知っているものもありました。



目指している方向は、このブログでもずっと紹介してきた経済産業省が推進している「IT経営」にほぼ一致するものです。

しかし、このセミナーでも超高速開発の前提となるべき、事業を正確に捉えるモデルに対する解は、不明でした。


セミナーを受けての率直な感想は、「えっ! それって、20年近く前からTMが実現解決していた事なのでは?」とすぐに思いました。

やっと遅れて、世の中のシステム開発の方向が、TMの思想に付いてきている? そう思えたので、行動に出るしかありません。


以前からTMの土曜勉強会は、TMを普及するには? 何が必要かを論議して、そこを埋める方法を考えています。

この非常に優れた手法を如何に認知してもらって、利用してもらい、世の中に貢献するのか?


TMと言う手法を知らない人達に向かって、どうしたら、その良さを知ってもらって振り向いてもらえるようにするのか?

異なる手法を使っている人達と、どの様にコミュニケーションをとりながら、切り替えて行ってもらうアプローチをとるのか?


セミナー後、講師の方に話をして、超高速開発とツールを推進する組織の方々に、TMを紹介をさせてもらう機会を得る事ができました。

TMの普及のためなら、営業マンを買って出ます!

何故なら、私の支援する「IT経営」、そう! ユーザ企業(組織)がGEITを丸投げしないで、自社で高度なIT利活用を推進して行くためには、必須の手法だと信じているからです。

今後の展開に、ご期待ください!



最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。


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