皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。
「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。
ブログの第232回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
http://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営力指標と4つのステージ
経済産業省では、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のための行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分け、「IT経営力指標」として企業のIT活用度合いを客観的に測るための指標を作成しました。
7つの機能を評価軸として、ITの活用度合いを4つのステージに分けています。
自社がどのステージにいるのか、客観的に把握することができます。
以前説明した7つの機能は、以下の通りです。
Ⅰ.経営戦略とIT戦略の融合
Ⅱ.現状の可視化による業務改革の推進とITの活用による新ビジネスモデルの創出、ビジネス領域の拡大
Ⅲ.標準化された安定的なIT基盤の構築
Ⅳ.ITマネジメント体制の確立
Ⅴ.IT投資評価の仕組みと実践
Ⅵ.IT活用に関する人材の育成・第1ステージ
Ⅶ.ITに起因するリスクへの対応
IT経営の達成度合いにより、以下の4つのステージに判定されます。
・第1ステージ:IT不良資産化企業群
・第2ステージ:部門内最適化企業群
・第3ステージ:組織全体最適化企業群
・第4ステージ:起業・産業横断的企業群
ITの活用度合いを測る上では、次の2つの観点から見て行く事が必要です。
1. 段階的指標
(活用の巧拙によって、達成度合いが変わってくる事項)
2. 基礎的事項
(活用の巧拙いかんを問わず、ITを導入する上で必要となる基礎的な事項)
Ⅴ.IT投資評価の仕組みと実践
・段階的指標
第1ステージ
・IT投資によって得られる効果を明確に理解しないまま投資を決断している
詳細には、以下の状態を指します。
◆IT投資によって得られる効果を明確に理解しないまま投資を決断している。
◆IT投資の効果を感じていない。
あるいは導入したITを使いこなしていない。
◆IT資産の導入コスト、維持・管理コストなどを把握していない。
あるいは把握しているが、それが適当であるかどうか検討していない。
第2ステージ
・IT投資の効果予測は投資前に行うが、投資後の評価は行っていない
詳細には、以下の状態を指します。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資前に定量(指標を含む)的に予測している。
◆IT投資後の投資効果測定を行っていない。
◆IT資産の導入コスト、維持・管理コストなどは次年度の予算ベースでは把握しているが、システムの使用期間トータルでは把握していない。
第3ステージ
・IT投資前後での投資評価の実施と、その結果を受けた改善やシステム続行の是非などを通じて、PDCAサイクルを確立している
詳細には、以下の状態を指します。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資前に定量(指標を含む)的に予測している。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資後に定量(指標を含む)的に測定し、投資前の評価と比較した上で内容の改善やシステムの続行の是非などを判断し、PDCAサイクルを確立している。
◆IT資産のTCO(コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる総経費を表す指標)を分析し、自社のコスト構造を把握している。
第4ステージ
・IT投資前後での投資評価の実施と、その結果を受けた改善やシステム続行の是非などを通じて、PDCAサイクルを確立している
詳細には、以下の状態を指します。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資前に定量(指標を含む)的に予測している。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資後に定量(指標を含む)的に測定し、投資前の評価と比較した上で内容の改善やシステムの続行の是非などを判断し、PDCAサイクルを確立している。
◆定期的にIT資産のTCO(コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる総経費を表す指標)を分析し、自社のコスト構造を把握した上で、常に最適なポートフォリオを管理を行っている。
・基礎的事項
・IT投資に対する考え方や判断基準が定められており、経営課題の優先度・緊急度・期待される効果・リスクを整理して、総合的に判断している
詳細には、以下の状態を指します。
◆IT投資に対する考え方や判断基準が定められており、経営課題の優先度・緊急度・期待される効果・リスクを整理して、総合的に判断している。
◆IT投資実施においては、考え方や判断基準を提示した上で経営層・IT利用部門の合意を得ている。
◆IT投資の評価には、定量的な評価とともに定性的な効果も重視している。
◆CIOとCFO(最高財務責任者)が定期的にIT投資の効果について意見交換しており、その結果が他の経営層に報告されている。
IT投資が、100%利益と相関する事ではないため、投資に対する効果を明確にする事は、簡単ではありません。
BSC(バランスド・スコアカード)などの多面的な視点を導入して、ステイクホルダー価値の創出につながる指標を仮説検証型で見つけ出して行く能力向上が求められます。
また、IT投資後もその運用によって、どれだけの価値を創出しているかを測定して、改善する必要があります。
第26回のブログで説明している、クロスPDCAの考え方を理解していないと、IT投資評価の仕組みと実践はままなりません。
指標の作り方や考え方を支援して行くのも、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについて、IT経営力指標と4つのステージの説明の途中で、終了します。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
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これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
http://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営力指標と4つのステージ
経済産業省では、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のための行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分け、「IT経営力指標」として企業のIT活用度合いを客観的に測るための指標を作成しました。
7つの機能を評価軸として、ITの活用度合いを4つのステージに分けています。
自社がどのステージにいるのか、客観的に把握することができます。
以前説明した7つの機能は、以下の通りです。
Ⅰ.経営戦略とIT戦略の融合
Ⅱ.現状の可視化による業務改革の推進とITの活用による新ビジネスモデルの創出、ビジネス領域の拡大
Ⅲ.標準化された安定的なIT基盤の構築
Ⅳ.ITマネジメント体制の確立
Ⅴ.IT投資評価の仕組みと実践
Ⅵ.IT活用に関する人材の育成・第1ステージ
Ⅶ.ITに起因するリスクへの対応
IT経営の達成度合いにより、以下の4つのステージに判定されます。
・第1ステージ:IT不良資産化企業群
・第2ステージ:部門内最適化企業群
・第3ステージ:組織全体最適化企業群
・第4ステージ:起業・産業横断的企業群
ITの活用度合いを測る上では、次の2つの観点から見て行く事が必要です。
1. 段階的指標
(活用の巧拙によって、達成度合いが変わってくる事項)
2. 基礎的事項
(活用の巧拙いかんを問わず、ITを導入する上で必要となる基礎的な事項)
Ⅴ.IT投資評価の仕組みと実践
・段階的指標
第1ステージ
・IT投資によって得られる効果を明確に理解しないまま投資を決断している
詳細には、以下の状態を指します。
◆IT投資によって得られる効果を明確に理解しないまま投資を決断している。
◆IT投資の効果を感じていない。
あるいは導入したITを使いこなしていない。
◆IT資産の導入コスト、維持・管理コストなどを把握していない。
あるいは把握しているが、それが適当であるかどうか検討していない。
第2ステージ
・IT投資の効果予測は投資前に行うが、投資後の評価は行っていない
詳細には、以下の状態を指します。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資前に定量(指標を含む)的に予測している。
◆IT投資後の投資効果測定を行っていない。
◆IT資産の導入コスト、維持・管理コストなどは次年度の予算ベースでは把握しているが、システムの使用期間トータルでは把握していない。
第3ステージ
・IT投資前後での投資評価の実施と、その結果を受けた改善やシステム続行の是非などを通じて、PDCAサイクルを確立している
詳細には、以下の状態を指します。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資前に定量(指標を含む)的に予測している。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資後に定量(指標を含む)的に測定し、投資前の評価と比較した上で内容の改善やシステムの続行の是非などを判断し、PDCAサイクルを確立している。
◆IT資産のTCO(コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる総経費を表す指標)を分析し、自社のコスト構造を把握している。
第4ステージ
・IT投資前後での投資評価の実施と、その結果を受けた改善やシステム続行の是非などを通じて、PDCAサイクルを確立している
詳細には、以下の状態を指します。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資前に定量(指標を含む)的に予測している。
◆プロジェクトごとのIT投資の効果を投資後に定量(指標を含む)的に測定し、投資前の評価と比較した上で内容の改善やシステムの続行の是非などを判断し、PDCAサイクルを確立している。
◆定期的にIT資産のTCO(コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる総経費を表す指標)を分析し、自社のコスト構造を把握した上で、常に最適なポートフォリオを管理を行っている。
・基礎的事項
・IT投資に対する考え方や判断基準が定められており、経営課題の優先度・緊急度・期待される効果・リスクを整理して、総合的に判断している
詳細には、以下の状態を指します。
◆IT投資に対する考え方や判断基準が定められており、経営課題の優先度・緊急度・期待される効果・リスクを整理して、総合的に判断している。
◆IT投資実施においては、考え方や判断基準を提示した上で経営層・IT利用部門の合意を得ている。
◆IT投資の評価には、定量的な評価とともに定性的な効果も重視している。
◆CIOとCFO(最高財務責任者)が定期的にIT投資の効果について意見交換しており、その結果が他の経営層に報告されている。
IT投資が、100%利益と相関する事ではないため、投資に対する効果を明確にする事は、簡単ではありません。
BSC(バランスド・スコアカード)などの多面的な視点を導入して、ステイクホルダー価値の創出につながる指標を仮説検証型で見つけ出して行く能力向上が求められます。
また、IT投資後もその運用によって、どれだけの価値を創出しているかを測定して、改善する必要があります。
第26回のブログで説明している、クロスPDCAの考え方を理解していないと、IT投資評価の仕組みと実践はままなりません。
指標の作り方や考え方を支援して行くのも、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについて、IT経営力指標と4つのステージの説明の途中で、終了します。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)
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