皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。
「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。
ブログの第252回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
http://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営ロードマップ
【IT経営ロードマップとは】
IT経営憲章に基づき、企業がIT経営を実際に推進するにあたっての取り組みを、IT経営における先進企業の事例を踏まえて、以下の2点として整理したものです。
平成20年6月に初版が発行され、平成22年3月に改定版が発行されています。
1. IT経営の実践に向けた取組
2. マネジメント上の課題
IT経営ロードマップでは、最後に以下の様にまとめれれています。
4. 今後の課題
成功事例等をもとに、IT経営ロードマップの改訂を実施したが、まだまだ積み残された課題も多い。
これらをまとめとして以下に整理する。
(1)経営視点の確立、普及のための活動強化
経営の視点からITを戦略的に活用する可能性を探求することは、経営者自身の問題であるということに、いかに気付いてもらうか、その普及戦略については、まだ十分な討議が尽くされていない。
最初の引き金となるような経営者からの視点の提示を得るためには、それぞれの経営者に対して、「市場競争が既に、戦略的なIT活用において深化を深めており、ややもすれば『ゆでガエル状態』になりかねない」ということを、広く的確に伝えていかなければならない。
IT活用によるIT経営が如何に重要であるか、IT経営が如何に経営に競争力をもたらすのか、というメッセージを、ターゲットに分かるように伝える、または浸透させることを重視した、IT経営の改善・普及に向けた今後の更なる活動の強化が重要である。
(2)人材不足への対応
CIO、アーキテクト人材、業務モデル構築担当者など、現在不足している高度人材機能をいかにして補完するかが課題である。
企業はもとより、行政や公共サービスなど、社会全体から見ても、このような機能を実現するような人材は不足している。
こうした人材の育成・確保に向けて、企業・業種横断的な取組の具体化が必要である。
CIOの育成については、目指すべきCIO像と、CIO育成において重視すべき点について議論を行い、それをふまえて、プロフェッショナルCIOを育成・支援するためのカリキュラムを策定したところであるが、今後、様々な機会(人材育成事業等)において、それを実践する取組を推進していく必要がある。
(3)産業全体の活性化に向けた企業間システム・データ連携の推進
IT投資については、ネットワーク効果という言葉もあるとおり、自社のみならず、取引先を含めた関係他社が、同じような成熟度と問題意識でIT化を進めていることで、自社自身のIT投資の効果も増大する傾向がある。
特に、取引先となる中小企業等が、標準化されたデータ連携・システム連携に基づき、相互運用性のあるシステムを導入していれば、大企業自身も、同じシステムの導入による効率化のメリットを更に大きくすることが出来る。
大企業同士においても、産業全体の活性化に向け企業を超えたシステム・データ連携を活性化させていくことの意味は大きい。
大きな付加価値を創出するために、個々の企業だけではなく、関係企業等を巻き込んだ産業全体としてのシステム・データ連携や標準化等の議論を、どのような形で進めていくべきか。
このうち、中小企業のIT投資効率化にはどのように取り組んでいくのか、議論は必ずしも、まだ尽くされていない。
IT経営協議会では、個別企業から見た最適化、社会全体から見た最適化のバランスを考えつつ、具体的取組の在り方を検討していく必要がある。
(4)情報セキュリティ・ガバナンス、システム信頼性確保
IT投資の内容に加え、構築されたシステムそのものの信頼性の確保や、セキュリティ・ガバナンスレベルの向上も、産業全体のIT投資生産性向上の観点から極めて重要である。
信頼性やセキュリティレベルの高いシステムの構築には、ぶれない視点に基づく骨格のしっかりした要件定義であったり、情報のオーナーシップがしっかりと確立したり、情報の「見える化」がしっかりと行われていることなどが、その前提条件として重要な役割を果たす。
IT経営協議会においても、我が国全体としての、セキュリティ・ガバナンス向上、システムの信頼性向上に向けた改善活動や関連施策の具体化に向けて、必要な検討を行うことが必要である。
(5)環境への配慮
IT投資をきっかけとした業務改革、業務効率化は、結果として、業務プロセスで消費するエネルギー消費量や資源の節減に大きな威力を発揮する。
例えば、サプライチェーンマネジメントの導入による在庫管理の効率化は、在庫関係のエネルギー消費はもとより、運送面でのエネルギー消費、さらには梱包の資材等の不要化など、環境問題に対する対応という面でも、様々な効果を持つ。
地球環境問題の深刻化が進む中、省エネ型サーバの導入等「ITの省エネ」はもとより、IT経営を通じた、「ITによる省エネ」の普及促進にも、積極的に取り組んでいくことが必要である。
5. おわりに
IT経営協議会では、平成19年11月~平成20年5月に実施したCIO戦略フォーラムにおける討議を基に、IT経営の確立に向けた「道筋」を示す、ロードマップを、成功企業の事例をもとに策定した。
この度、その後の環境の変化やIT経営協議会等での議論内容、事例紹介等を踏まえて加筆修正を行なっている。
今後も、「IT経営の改善・普及活動」、「我が国のIT経営全体の底上げに向けた施策の検討・実施」などについて、課題としてとりまとめたことに留意しつつ、多面的な取組を展開していく。
積み残した課題が多いとしながらも、IT経営ロードマップは、この平成22年3月版以降改定された様子がありません。
色々な活動(IPAのスキル標準活用推進等)をしているのですから、せめて途中経過ぐらいは、更新して欲しいと思います。
日々環境変化への対応を迫られながら、真剣勝負をしている企業から見ると、経済産業省の動きは、あまりにも遅いと言えます。
この遅れた状況を補完して、日々進化する最新の状況に適合するよう支援する事も、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。
これで、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの説明は、終了します。
次回のこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、各種報告書を説明して行きます。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)
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これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
http://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営ロードマップ
【IT経営ロードマップとは】
IT経営憲章に基づき、企業がIT経営を実際に推進するにあたっての取り組みを、IT経営における先進企業の事例を踏まえて、以下の2点として整理したものです。
平成20年6月に初版が発行され、平成22年3月に改定版が発行されています。
1. IT経営の実践に向けた取組
2. マネジメント上の課題
IT経営ロードマップでは、最後に以下の様にまとめれれています。
4. 今後の課題
成功事例等をもとに、IT経営ロードマップの改訂を実施したが、まだまだ積み残された課題も多い。
これらをまとめとして以下に整理する。
(1)経営視点の確立、普及のための活動強化
経営の視点からITを戦略的に活用する可能性を探求することは、経営者自身の問題であるということに、いかに気付いてもらうか、その普及戦略については、まだ十分な討議が尽くされていない。
最初の引き金となるような経営者からの視点の提示を得るためには、それぞれの経営者に対して、「市場競争が既に、戦略的なIT活用において深化を深めており、ややもすれば『ゆでガエル状態』になりかねない」ということを、広く的確に伝えていかなければならない。
IT活用によるIT経営が如何に重要であるか、IT経営が如何に経営に競争力をもたらすのか、というメッセージを、ターゲットに分かるように伝える、または浸透させることを重視した、IT経営の改善・普及に向けた今後の更なる活動の強化が重要である。
(2)人材不足への対応
CIO、アーキテクト人材、業務モデル構築担当者など、現在不足している高度人材機能をいかにして補完するかが課題である。
企業はもとより、行政や公共サービスなど、社会全体から見ても、このような機能を実現するような人材は不足している。
こうした人材の育成・確保に向けて、企業・業種横断的な取組の具体化が必要である。
CIOの育成については、目指すべきCIO像と、CIO育成において重視すべき点について議論を行い、それをふまえて、プロフェッショナルCIOを育成・支援するためのカリキュラムを策定したところであるが、今後、様々な機会(人材育成事業等)において、それを実践する取組を推進していく必要がある。
(3)産業全体の活性化に向けた企業間システム・データ連携の推進
IT投資については、ネットワーク効果という言葉もあるとおり、自社のみならず、取引先を含めた関係他社が、同じような成熟度と問題意識でIT化を進めていることで、自社自身のIT投資の効果も増大する傾向がある。
特に、取引先となる中小企業等が、標準化されたデータ連携・システム連携に基づき、相互運用性のあるシステムを導入していれば、大企業自身も、同じシステムの導入による効率化のメリットを更に大きくすることが出来る。
大企業同士においても、産業全体の活性化に向け企業を超えたシステム・データ連携を活性化させていくことの意味は大きい。
大きな付加価値を創出するために、個々の企業だけではなく、関係企業等を巻き込んだ産業全体としてのシステム・データ連携や標準化等の議論を、どのような形で進めていくべきか。
このうち、中小企業のIT投資効率化にはどのように取り組んでいくのか、議論は必ずしも、まだ尽くされていない。
IT経営協議会では、個別企業から見た最適化、社会全体から見た最適化のバランスを考えつつ、具体的取組の在り方を検討していく必要がある。
(4)情報セキュリティ・ガバナンス、システム信頼性確保
IT投資の内容に加え、構築されたシステムそのものの信頼性の確保や、セキュリティ・ガバナンスレベルの向上も、産業全体のIT投資生産性向上の観点から極めて重要である。
信頼性やセキュリティレベルの高いシステムの構築には、ぶれない視点に基づく骨格のしっかりした要件定義であったり、情報のオーナーシップがしっかりと確立したり、情報の「見える化」がしっかりと行われていることなどが、その前提条件として重要な役割を果たす。
IT経営協議会においても、我が国全体としての、セキュリティ・ガバナンス向上、システムの信頼性向上に向けた改善活動や関連施策の具体化に向けて、必要な検討を行うことが必要である。
(5)環境への配慮
IT投資をきっかけとした業務改革、業務効率化は、結果として、業務プロセスで消費するエネルギー消費量や資源の節減に大きな威力を発揮する。
例えば、サプライチェーンマネジメントの導入による在庫管理の効率化は、在庫関係のエネルギー消費はもとより、運送面でのエネルギー消費、さらには梱包の資材等の不要化など、環境問題に対する対応という面でも、様々な効果を持つ。
地球環境問題の深刻化が進む中、省エネ型サーバの導入等「ITの省エネ」はもとより、IT経営を通じた、「ITによる省エネ」の普及促進にも、積極的に取り組んでいくことが必要である。
5. おわりに
IT経営協議会では、平成19年11月~平成20年5月に実施したCIO戦略フォーラムにおける討議を基に、IT経営の確立に向けた「道筋」を示す、ロードマップを、成功企業の事例をもとに策定した。
この度、その後の環境の変化やIT経営協議会等での議論内容、事例紹介等を踏まえて加筆修正を行なっている。
今後も、「IT経営の改善・普及活動」、「我が国のIT経営全体の底上げに向けた施策の検討・実施」などについて、課題としてとりまとめたことに留意しつつ、多面的な取組を展開していく。
積み残した課題が多いとしながらも、IT経営ロードマップは、この平成22年3月版以降改定された様子がありません。
色々な活動(IPAのスキル標準活用推進等)をしているのですから、せめて途中経過ぐらいは、更新して欲しいと思います。
日々環境変化への対応を迫られながら、真剣勝負をしている企業から見ると、経済産業省の動きは、あまりにも遅いと言えます。
この遅れた状況を補完して、日々進化する最新の状況に適合するよう支援する事も、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。
これで、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの説明は、終了します。
次回のこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、各種報告書を説明して行きます。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
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次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
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・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
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・公認情報セキュリティマネージャー
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・公認ITガバナンス専門家
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