ドラマ化ごっこ

2006-01-17 22:41:32 | Weblog
 浅田次郎の短編集「鉄道員」(集英社文庫)に、「角
筈にて」という泣ける小説があるのだが。

 ストーリーは例によってマンネリ極まりない浅田節、
仕事上の失敗から南米に左遷されるエリート商社マン
が、出発の直前父親の亡霊と出会うことで、こころの傷
を癒され再生する、というのが大筋である。しかしマン
ネリの極みとはいえ、ラストシーンの父と子の会話はや
はり反則。

 先日、コピーライターのT田氏と、西船橋の牛角におい
て差し向かいで雑談全開の2時間を過ごしたわけだが、
その中で、「角筈にてを画像化したらキャストはどうする
か」という話題になった。「あの作品はラストシーンが並
みの演者では演技不可能。でももし映像化されるのなら、
主役は小林薫、カミサンは樋口加南子、父親はモト冬樹
か斉木しげる。他のキャストを使うなら俺にも考えがある」
などと、中生5杯の勢いを借りて暴言を吐いていた。他人
の目から見たらこれ以上ないほどの純粋な酔っ払いであ
る。

 で、帰宅後もぼんやりとこの発言を記憶しておったので、
グーグル使ってサーチをかけたところ、なんと1999年に
テレビ東京でドラマ化されていた。主演は西田敏行、カミ
サンは竹下景子、父親役は柄本明。東大卒のエリート商
社マンが西田敏行てのもなんだかなであるが、竹下景子
というのもちょっとねぇと。竹下景子のイメージというのは
ごく平凡な良妻であり、「夫から中絶を強要され、二度と
子供を生めない体になりながら、それでも夫をこころから
愛する妻」なんて役とはややかけ離れている気もする。し
かし父親役の柄本明というのはかなりイメージ通り。DVD
も出ているらしいので、見掛けたら買おうと思う。

 こういう、「ドラマ化したらキャストはだれ」というのは、馬
鹿馬鹿しいだけあってツボにはまると話題が広がる広がる。
ドラマ化されたら確実に数字とれるであろう伊藤理佐の漫
画、「おい、ピータン」やら「チューネン娘」やら、あの配役も
だいぶ前から考えていたりする。「人望があり女性にほの
かにモテモテのデブ」大森利夫役は、キャイーン天野かそれ
ともドランクドラゴン塚地か。恋人役はやっぱ篠原涼子、元カ
ノはやはり財前直見あたりであろうか。しかしなんで今まで
伊藤理佐の漫画は映像化されないのであろうか。「大衆性」
という点じゃ内田春菊などよりはるかに上だと思えるのだが。

 きらたかしの「赤灯えれじい」あたりも、そろそろ映像化が
近いのではないか。へタレとヤンキーの恋物語というのは、
案外双方にとって理想なのかもしれん。つーても、映像化さ
れたらヘタレも二枚目が演ずることになるのだろうが。