そばの謎

2005-02-23 23:21:52 | Weblog
知り合いがラーメンをテーマにしたブログをやっ
ている。ラーメンてのは値段手頃だし、味も多彩
で店の個性がよく出るし、たしかに語りたくなる
ものではある。冬の寒い日、がたがた震えてると
こへすすりこむ一杯のラーメン。スープの湯気が
ほわわ~っとあがり、ずるずるずるとすすりこむ
麺の音。チャーシューをかむとあぶらが口の中で
じわわ~と広がる。たしかにたまりませんな。

 ただラーメンを語る時困るのは、「好みの問題
が多分にある」ということ。あるひとがAという
ラーメン店を絶賛する。それを聞いたBというひと
がはるばる電車で数十分かけて食べに行くが、おい
しくもなんともない。「なんだ、全然うまくないじ
ゃないか。Aの舌って不感症だな」などと。なに、
単に理想とするラーメンのベクトルが異なるという、
それだけの話なのだが、ラーメン好きというのは
その点の理解があまりできない。「・・おれの好み
じゃないなあ」で済ますべきとこを、「まじー」と
罵倒せずにはいられない。業でありまんな。

 魚嫌いの脂ハゲであるので、当然豚の背脂ギトギト
ラーメンが好きなのであるが、こういうラーメンは
ひとによっての好き嫌いが激しい。町Dにもいわゆる
ギトギト系の家系ラーメン、「大盛り食べたら卒中起
こすに違いない」と思えるほどの、アレなラーメン屋
さんが多数あるが、あれが女性や子供にとって、理想
のラーメンとはとても思えない。あと、醤油の異様に
濃い、真っ黒けスープの某店のラーメンもなかなかに
好きなのだが、あれをうまいというのも勇気がいる。
その店、わたしが大学生の頃から続いているので、好
んで食べてる人間も結構いると思うのだが、ネットで
いろいろ見てもいい評判をあまり見ない。まあたしか
に「下品な」味ではあり、品のいいものを褒めることが
流行である昨今、あれを賞賛するには勇気がいる。
「あんなものがうまいだって?」などという、他人の
問いつめをうけるのも愉快じゃないし。

 ところがこれが日本そばになると、立ち食いでさえ
評価のばらつきがあまりない。うまい店はうまく、マズ
い店はマズい。ラーメンの評価基準はそれこそ十人十色
なのだが、そばに関してはコシとダシと具の天ぷらくら
いのものだ。日本そばのマズさとは、ほとんどがダシの
味の失敗と麺のコシのなさに起因する。ダシの味の失敗
にしても、濃すぎるか薄すぎるかのふたつにひとつ。マ
ズいラーメンを食べた時の、「どうしてこんなにマズく
作れるんだ!?」という、芸術的な感動はあまり起きない。

 日本において、もともとあるはずのそばうどんが、ラー
メンに押されてしまったのも、こんなところに原因がある
のかもしれない。