プロレスというとどうも鼻で笑う人間が多いのがムカツキの種
である。「真剣勝負以外は認めない」という、自らの偏ったもの
の見方を、唯一無二の正道と信じて疑わない輩のことだ。わた
しとしては他人の信仰に首をつっこむつもりは毛頭ないが、そう
いう輩に限ってこっちのフィールドに用もないのに侵入してくる。
いわく、「あんな八百長のどこが面白いの」と。縁なき衆生は度
し難し、こっちとしてはサンショウウオにシェークスピアの面白さ
教えるような、無駄な仕事はしたくない。なものでヘラヘラ笑い
をもって答えに代えると、向こうはこっちを言い負かしたと思って
勝ち誇ったような笑みを浮かべる。そうそう。こっちは負けに慣
れている。負け認めるから二度と俺の領域に踏み込んでくるな。
ミック・フォーリーというレスラーがいる。マンカインド、カクタス
ジャックというリングネームで活躍、WWE認定の世界タイトル
も幾度か獲ったというスーパースターである。数年前、彼は自
伝を書き、全米でベストセラーとなった。(残念なことに日本語訳
はいまだ出ていない。あるプロレスムックの中で、一部が紹介さ
れているだけだ) その中に、こんな一説がある。
鉄条網デスマッチを行っていた最中、誤って耳を鉄条網でこす
って落としてしまう。そのことについて彼はこう書く。
「そこで試合中止になるのがいわゆる『真剣勝負のスポーツ』だ。
でもプロレスは『インチキのショー』だから、その後も続いた」
泣ける。
「インチキ」だからこそ、「真面目」や「真剣」を超越する瞬間という
のはたしかにある。真剣勝負は馬鹿でもできるが、「ショー」はあ
る程度クレバーな頭を持っていなければできないからだ。プロレス
ラーとは、対戦相手を倒すのが仕事なのではない。いかに痛みを
観客に伝えるか、というのが仕事なのだ。
なんか、これも以前書いた記憶があるが、プロレスとキャバクラと
いうのは少なくない類似点があると思う。どちらもいわゆる「真剣勝
負」ではないが、それでもひとのこころを動かすものがある。キャバ
嬢のいわゆる「営業」を、「ガチンコの恋慕ではないから」と理由で
排撃するのは、決して賢明な行動ではない。むしろ、その嘘から、
「客をこころから楽しませようとする、彼女の真剣味」を見出し、それ
に対して批評なり賞賛なりするのが、マトモな大人の行動であろう。
である。「真剣勝負以外は認めない」という、自らの偏ったもの
の見方を、唯一無二の正道と信じて疑わない輩のことだ。わた
しとしては他人の信仰に首をつっこむつもりは毛頭ないが、そう
いう輩に限ってこっちのフィールドに用もないのに侵入してくる。
いわく、「あんな八百長のどこが面白いの」と。縁なき衆生は度
し難し、こっちとしてはサンショウウオにシェークスピアの面白さ
教えるような、無駄な仕事はしたくない。なものでヘラヘラ笑い
をもって答えに代えると、向こうはこっちを言い負かしたと思って
勝ち誇ったような笑みを浮かべる。そうそう。こっちは負けに慣
れている。負け認めるから二度と俺の領域に踏み込んでくるな。
ミック・フォーリーというレスラーがいる。マンカインド、カクタス
ジャックというリングネームで活躍、WWE認定の世界タイトル
も幾度か獲ったというスーパースターである。数年前、彼は自
伝を書き、全米でベストセラーとなった。(残念なことに日本語訳
はいまだ出ていない。あるプロレスムックの中で、一部が紹介さ
れているだけだ) その中に、こんな一説がある。
鉄条網デスマッチを行っていた最中、誤って耳を鉄条網でこす
って落としてしまう。そのことについて彼はこう書く。
「そこで試合中止になるのがいわゆる『真剣勝負のスポーツ』だ。
でもプロレスは『インチキのショー』だから、その後も続いた」
泣ける。
「インチキ」だからこそ、「真面目」や「真剣」を超越する瞬間という
のはたしかにある。真剣勝負は馬鹿でもできるが、「ショー」はあ
る程度クレバーな頭を持っていなければできないからだ。プロレス
ラーとは、対戦相手を倒すのが仕事なのではない。いかに痛みを
観客に伝えるか、というのが仕事なのだ。
なんか、これも以前書いた記憶があるが、プロレスとキャバクラと
いうのは少なくない類似点があると思う。どちらもいわゆる「真剣勝
負」ではないが、それでもひとのこころを動かすものがある。キャバ
嬢のいわゆる「営業」を、「ガチンコの恋慕ではないから」と理由で
排撃するのは、決して賢明な行動ではない。むしろ、その嘘から、
「客をこころから楽しませようとする、彼女の真剣味」を見出し、それ
に対して批評なり賞賛なりするのが、マトモな大人の行動であろう。