ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

眠れる森の美女-4月27日- 

2007年05月08日 | Weblog

日本帰国の為見ることが出来なかった4月27日の眠りの観劇記をボリショイ観劇仲間(先日にも投稿頂いた学生の方)より頂きました。 流石それぞれのダンサーについての細かいコメントを頂いています。今回は一寸辛口か。このクレムリンの劇場は共産党の中央会議用に作られた場所ですから音響も悪く舞台も踊りにくいのでしょうが。尚写真は今回のカテコでなく昨年1月12日に同じくクレムリンで見た眠りのカテコです。昨年1月のブログ1ブログ2もご覧になっていない方は是非一読ください。因みにボリショイの眠りは昨年のこの1月12日、13日の公演が最後で今年は今回の4月27日、28日の公演以降 予定がありません。

次回ザハロワの眠りの公演があるのは何時の事か。見ることが出来るか残念。


4月27日 「眠れる森の美女」
オーロラ:ザハロワ
デジレ王子:シュピレフスキー
リラの精:シプリナ

ザハロワのオーロラ姫はやはりきれいでした。
出てきた瞬間に舞台を明るくしてくれるので、観ていて素直に楽しいです。
ですが、16歳の姫にしては、妙にしっかりしているといいますか、多少冷淡な印象も受けました。
きれいに見えるように踊っているのははっきりと伝わってくるし、実際に美しいのですが、自分の足でしっかり立つことを前提としているようで、大人びて見え、あまり、「のんきさ」や「鷹揚さ」が感じられないような気がしました。
可愛らしく輝かしいオーロラ姫を踊るのに必要なのは、安定したテクニックとスター性であって、演技力はさほど重要視されないとよく聞きますが、やはり精霊が与えたそれぞれの贈り物は身につけていて欲しいと思います。
ですが今回、ザハロワがしっかりして見えたのは、パートナーが危なっかしいシュピレフスキーだったから体を完全に預けきれないせい、というのも結構大きいと思います。
シュピレフスキーはやはり棒立ち系の固い踊りではらはらしました。
失敗しないように踊っているのは伝わってくるのですが、丁寧さが感じられるわけでもなく、きれいにも見えず、ただ固くてぎこちないだけのように見えるのは残念です。
ジークフリートやエスパーダ、セレナーデなど、せっかくたくさん踊る機会を与えられているのですから、そろそろもう少し見せ方を考えた方が良いのでは、と思ってしまいました。

リラの精のシプリナは堂々として良いのですが、善の精というには、妙に高圧的で偉そうな印象を受けました。
かといってその分気品が感じられるわけでもなかったので少し残念でした。
しかし、二幕目途中で一瞬ぐらついた他は、安定した踊りで安心して観ていられるのはやはり良いなと思います。

また、勇気の精のクリサーノワがきれいでした。
一つ一つの動きにアクセントがあって、しっかり安定した音のとり方で非常に良かったです。
他の精がいまいちな分、目立っていたように思います。
優しさの精のニクーリナもきれいだったのですが、多少ぎこちなくて動きが固かったうに思います。
後ののんきの精のビクトリア・オシポワ、鷹揚の精のレベツカヤ、元気の精のスタシケービッチはそれぞれ手の使い方等いまいちな感じがしました。

ダイアモンドの精はヤツェンコでしたが、ダイアモンドというには輝きがたりない感じです。
ヤーニンのカラボスは割と勢いがあって若くて元気な感じですね。
これはこれでなかなか良いと思います。

青い鳥のボロティンは腕の使い方がきれいでした。
ですが、足捌きがぎこちない感じもしたのがやや残念です。
フロリナ姫のルィシキナもきれいに感じました。
彼女の踊りには時折媚を感じで、個人的には苦手なのですが、音のとり方はうまいと思います。
今回の青い鳥とフロリナ姫はちょっとわがままで気の強い姫を青い鳥が必死にサポートするといった感じに見え、なかなか面白かったです。

全体的にコールドが固くて荒く見えたのは、クレムリン大宮殿が踊りにくい舞台のせいなのでしょうか。
舞台装置の関係で、新館では出来ないのでクレムリンでやるのは仕方がないので
しょうが、少しだけ気になりました。
ですが、最近あまりやっていない「眠り」が観れて嬉しかったです。二幕仕立てのグリゴローヴィッチ版はワクワクした気持ちにさせてくれるし、とても好きなので、はやく本館の修理が終わって、本館で観たいな、と思いました。



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6 コメント

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貴重なレポート (アリーナ)
2007-05-08 15:32:06
「眠りの森の美女」のオーロラ姫は、「白鳥の湖」同様、難しい役どころです。
まず登場した時に、華があるかどうか。
ザハロワは華がありますが、16歳のお姫様らしからぬしっかりしたところがあるというところが、気になったのでしょうね。
王子様はなかなかボリショイで馴染まないのでしょうか?まだ若いので、これからに期待します。
それぞれのダンサーの特質、劇場の事情など、今のモスクワを感じさせる貴重なご意見でした。
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なるほど (管理人)
2007-05-10 00:13:57
アリーナさん
コメントありがとうございます。
ザハロワのオーロラ姫は見たことがないので
何とも言えませんがファンの一人としては
そんなオーロラ姫もいいかなーと見てみたいものです。
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指揮 (capn)
2007-05-10 01:48:16
こんにちは。なかなか行けないのでいつも楽しませて頂いております。
指揮者も書いて頂けるとうれしいです。
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4/27指揮者 (Nana)
2007-05-10 11:01:14
予定はパーヴェル・クリニチェフだったと思います。
当日は?
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ザハロワ (ひめ)
2007-05-10 13:11:43
キレイでした。大人な感じのオーロラでしたが。
それにしてもシュピレフスキーがステキすぎでした。
踊りはともかく、見た目の美しさはため息もの、
とすっかりおばちゃんはいってしまいました。
あ、踊りもちょっとは上手になっていたように
素人目には感じました。
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遅くなりました (管理人)
2007-05-12 16:03:22
皆様
現在日本出張中で返事遅くなりました。
明日MOSCOWに戻りましす。

CAPNさん 初めまして。

NANAさん ご回答深謝

ひめさん 人気ですからね。
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