ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『アラジン』 5月2日(月)

2011年05月03日 | Weblog

Nさんより久しぶりに寄稿頂きました。

震災の影響で新国立劇場バレエ団の公演も影響受けていたのですね。

徐々に日常に戻ってきているようですね。

震災地を元気付ける為にも私たちは日常生活を余り自粛せずにやっていくのが良いですね。

写真はパンフとプリンセスの好きな飲み物としてアラジン期間限定メニューの1つ、ジャスミンティーとのこと。
 
新国立劇場バレエ団『アラジン』
アラジン:山本隆之
プリンセス:本島美和
マグリブ人:マイレン・トレウバエフ
ランプの精ジーン:吉本泰久
アラジンの母:楠本郁子
サルタン(プリンセスの父):イルギス・ガリムーリン
 
オニキスとパール:石山沙央理 五月女 遥 盆子原美奈
           :グリゴリー・バリノフ 江本 拓 アンダーシュ・ハンマル
 
ゴールドとシルバー:堀口 純 米沢 唯
                         :小口邦明 清水裕三郎
 
サファイア:湯川麻美子
 
ルビー:長田佳世 厚地康雄
 
エメラルド:寺島まゆみ 寺田亜沙子  古川和則
 
ダイヤモンド:西山裕子
 
東日本大震災の影響で3月の『ダイナミックダンス』が中止となり、
待ち焦がれていた新国立劇場バレエ団公演『アラジン』、無事初日の幕を開けた。
 
山本さんのアラジンはとにかく無邪気で可愛らしく、
何事も一生懸命でいじらしい男の子であった。
悪戯ばかりしていてもどこか憎めない魅力を持っていた。
満月に映るプリンセスの幻影を見たときの恋に落ちていく様子が全身で物語り、
また、いつしかプリンセスを守る勇敢で頼もしい男性へと成長していく過程が
手に取るように伝わってきた。
物語の前半と後半ではまるで別人である。
 
市場で問題を起こしながら怒涛の如く逃げ回る振付が冒頭場面にあるが、
大いに暴れ回っていて、母親や守衛がたじろぐのも納得のいく迫力であった。
 
本島さんのプリンセスは華やかで美しく、
市場に降り立ったとき、はっと思わせる姫君らしいオーラがあった。
人々は姫を見てはならないというしきたりがあるのだが、
花を贈ってくれた市場の人に言葉をかけようとしても
目を見てもらえないことを寂しがっているようで、
人々を慈しむ優しさのある姫に感じた。
 
3幕冒頭の新婚生活の微笑ましさもまた良い。
チェスの勝負では、アラジンによって引き出された天真爛漫な魅力が光っていた。
 
吉本さんのジーンはつむじ風のような高速ステップが素晴らしく、
圧倒された。
また、ランプの主には誠心誠意尽くす真摯さがあった。
 
トレウバエフさんのマグリブ人は濃厚で妖しげな雰囲気を漂わせ、
一度見たら忘れられない存在感がある。
 
楠本さんのアラジンの母は、いたく肝っ玉母さんだが、
息子をここまで育てるもの容易ではなかったであろうと想像がつく。
アラジンをときには叱り、ときには大事な息子の命を助けるよう
王様にまで願いを乞う勇気を持つ、息子思いな母親であった。
 
宝石達はきらびやかな世界を作り出し、
観客をアラジンとともに洞窟の中へ導いてくれた。
 
特に、サファイアの湯川さんが印象深い。
艶やかで雄弁な身体表現が舞台栄えした。
人間ではなくおとぎ話に登場する天女のような非現実的な美しさがあった。
 
客席もまた、大いに熱くなっていた。
第1幕最初の佳境にあたる宝石の場面のコーダが終わると
割れんばかりの拍手が沸き起こったのだが、
公演再開を待ち望んでいた観客の思いが極致に達した瞬間であった。
 
あらすじが分かりやすく親しみのある物語のため
バレエ初心者や小さな子供でも存分に楽しめる作品である。
また、バレエを熟知されている方も、
東洋風の振付や思いがけぬ仕掛け、
バレエ音楽とはまた違った雰囲気のある曲など
新たな発見がたくさんできるであろう。
初台で感じるファンタジーの世界に
是非とも1人でも多くの方に足をお運びいただきたい。
 
明日は、八幡顕光さんと小野絢子さん主演である。
お2人が主役デビューを飾った記念すべき作品であり、
再演ではどんな人物像を見せてくれるか大変楽しみである。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿