ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

エレーナ・ゼレンスカヤ-ソプラノ歌手ー2-

2007年01月28日 | Weblog
前に記事をUPして間が開いてしまいましたがアエロフロート機内誌の記事の後半部分です。それにしても実はボリショイのオペラも頻繁に行っているのですが最近はもっぱらこのサイトはボリショイバレエサイトになったようですね。ボリショイのオペラは余り来日していないようですしマリインスキーや去年はキエフオペラが行っていながら残念なところです。決してこれらのオペラ劇場にひけを取らないと思うのですが。
 
 
レディマクベスの効果
 
*オペラは変りにくい芸術といわれますがあなたはオペラの色々な役になりきることが出来ると言われます。その秘訣は?
 
 
勿論トスカの新しいイメージを作るのは難しい。私の前にマリヤカラスやレナートティパルディーなどの実現したイメージと違うイメージを作るのはよくないと思います。しかし私の考えでは歌手は前のイメージと全く同じでなく自分の時間の感じ方、自分の特徴を入れるべきです。私は新しい役の勉強をする時期が大好きです。最後まで自分の役の特徴を勉強するのは音楽の波に泳ぐというようなもので大好きです。時々言葉の内容、言葉の深い内容、魂を勉強するべきです。それは外国語で歌うことが多いからです。たとえばイタリヤ語の歌を只音を覚えて意味が判らないままでは上手く歌えません。只歌ってイメージを作らない場合もありますがマクベスではそのようなことは全く通用しません。マクベスにエネルギーを入れるべきで感動も必要。これが判って細かいところが判って初めて自分でイメージを作ることが出来る。
 
*あなたのオペラとマクベスの関係は特別ですね
 
仰る通りです。多くのアーティストにとってマクベスの役は歌手の芸術の中でトップですが私は逆。私のキャリアはこの役から始まった。それと同時にこの役は私の一番好きな役の一つです。強い性格を持った女性と感動が多い役で好きです。ベルディはマクベスを一番好きな子供と呼んだ。天才のあるだが難しい色々な面がある。歌手は最後まで自分の才能を実現するべきです。世界のオペラの芸術の中でこれを上演する監督は色々な方法で上演されるオペラです。私も多くのマクベスの芝居に参加してマクベスのイメージが毎回変りました。最初にこの役をスイスの劇場でやった際、その劇場は本上演の直前に火事が起こった場所でした。監督は火事を芝居に入れてフィナーレで火事が象徴され私はグランドピアノのふたを登る役でした。しかしリハーサルでピアノを見ると二つの足を切って傾いたピアノになっていて怖かった。私は難しい歌を歌いながら高いかかとの靴を履いてドレスも長く重いランプを持ってピアノを登るよう指示したが私はそんなトリックをするような人ではないと監督に言いましたが監督は聞き入れてくれませんでした。私は仕方なくこの監督のアイディアを実現しました。この芝居のエピソードは写真で見ると私の顔は恐怖の表情で狂ったレディーマクベスで良かったです。評論家にはこの表情が凄く良かったと褒められました。
 
次のマクベスの芝居はケルン。ケルンのイメージはルーマニアのチャウセスクの奥さんと同じイメージになりました。最後の幕に独裁者チャウセスクは彼の命令によって殺された人達の写真を舞台に持ってきて狂った奥さんはこの写真を見ると更に恐怖になりました。私の顔の表情も又この恐怖のの顔となりました。
 
次のマクベスの芝居はミネアポリス。最後のマクベスの狂った場面は大きなはさみで自分の髪を切るという振付でした。ですから最後の場面で私がモ使ったカツラは駄目になりました。
 
もう一つのマクベスはボリショイのモンタシャス クリョーシャス(リトアニア出身)が古代アクロポリスを舞台にしたもので大変上品な芝居でした。そしてこのマクベスの役には色々な印象が残りました。一番いい役の一つになったと思います。
 
ブラボーエレーナ
 
*あなたは有名な歌手になる為に時間が掛かった。すぐ有名になったわけでもないあなたの芸術活動はどこから始まったのでしょうか?
バクー卒業後色々なコンクールに応募していくつかの賞を受賞。1991年にコルバフからモスクワの新オペラ劇場に招待されました。そしてこの才能のある有名な監督が大事な人です。彼と会う前に多くの劇場で私の声を聞いて役の招待は一杯あったが仕事を与えてくれる訳ではなかった。モスクワでの登録がないとモスクワで働くことが出来なかったからです。コルボフさんは私の声を聞くと新オペラ劇団に入れルシコフモスクワ市長に頼んで私の家族の為にアパートを用意しこの問題を解決してくれました。新オペラ劇場のコルボフさんのところで仕事を始めるとロシアの芸術家としての地位が上がりその時から外国からの招待が始まりました。私のキャリアは早く発展するようになり今のようにもうすぐ私の予定は2008年まで決まるようになるとは思わなかった。
 
*ロシアのオペラのプリマの海外での特徴は?
まず第一に私にとっては外国語の難しい点がすごくあります。ウイーンに行ったときにモーワルトフェスティバルの室内オペラに招待され仕事をしたことがありましたが仕事をする時に一つ一つの言葉が判る事は大事でした。私は田舎のお嬢さんの様に半分ぐらいしか言われたことが判らなかった。だから怖くてめちゃくちゃになりました。外国語に弱かったので恥ずかしくなりました。自分の事をそんなに場かな人物だとおもっていました。学校で英語を習ったし外国語学校に入学する気もありました。そしてこれで悩んでインプレサリオからの電話が掛かってくると電話を取らず電話のコードを切りました。相手が言うことが判らないと思ったので話をしなかった。当時はこういう経験は大部分のロシア出身のプリマはもっていたのでしょうが誰も何も言わなかった。私は熱心に又0から外国語の勉強を始めて自由時間全部を言葉の勉強に使った。結局英語は話せるようになって外から自分の事を見ると英語がぺらぺらになったと思います。レセプションとか色々の会合でアーティストが出席すべき場所で上手くなった。今は外国でロシアと同じ様に問題なしに仕事が出来るようになった。外国で私の名前が知られ20人の世界で有名なオペラ歌手の中に入っています。こういう地位となると世界で仕事するのは簡単になった。
 
*世界で一番有名な芸術家と一緒に仕事をしたことがあるそうですが世界のスターがすぐ傍にいるのは怖くなかったですか?
メトロポリタンでドミンゴと一緒に仕事をしたが幸いに心配しなかった。当時はドミンゴはおけの監督活動をしていて仕事が始まった時は心配したが途中でどんどん慣れました。彼は人間としては友好的で相手に柔らかい人。その後色々な有名な芸術家と付き合いましたが簡単なことが判りました。芸術家で地位が高い人は才能があればあるほどオープンで友好的な人であると思います。いくら偉大でも実際には普通の人と同じ様に友好的です。ドミンゴはメガスターですが私に私の舞台を褒めてくれて「エレーナブラボー」と言ってくれました。そういう友好的雰囲気の中で仕事をするのは楽しい。彼が多くの人に友好的で活動しました。各人に援助を与えています。
 
*貴女と外国のお客との関係は?西側では熱心なファンがいると聞きましたが?
一番難しい経験はイタリアの観客の前でした。
歌手の声の特徴に驚かない。良い歌手を一杯見ているので経験が深いのです。2年前ベネチアのラ・フェンチェで出演する時心配してロシアの歌手がイタリアのお客の前でイタリアのレパートリーを歌うのは難しい。イタリアのお客は自分のエモーションを100年前と同じ様に見せるので気に入らない歌手にはトマトを投げますー今でもーその時はアッテラのオダベラの役をありましたがこれは大変難しいベルディーのアリアで世界で数人のソプラノしか歌えない曲です。一生懸命全力を挙げて歌ったのですが嵐のような拍手をイタリアのお客から貰い明日。そんな大きな拍手は初めてでアンコールが50回もありました。50回が終わってから我慢できなくてお化粧の部屋に戻ってもお客が1時間半も拍手していました。そんなお客との関係は忘れません。
アメリカの観客の前でも出演するのは好きです。イタリアと違い熱情は無いがオペラ好きが多い。アメリカ人はオペラの特徴を知るのが大切で高く評価します。一番上等な服を着てオペラに来ます。メトロポリタンのオペラでは女性は毛皮のコートを着てダイヤもピカピカさせます。そして自分の事を人に見せてオペラを真面目に聞いてアーティストを暖かく迎えます。アーティストはオペラを判る人の前、好きな人の前で演じる気がします。
ドイツでも私は暖かい歓待を受けた。ドイツでも真の私のファンが多いと言われます。ベルリンでアイーダの後でインプレサリオが次のように言った「外に出ると一杯人が集まって貴女を待っている」天気は悪かったにも関わらず思ったより多くの人がずっと長い間私を待っていて舞台の化粧を取った私の顔が判らなかった。私は黙って車の中に入ろうかと思ったがそうはしなかった。拍手の嵐が巻き起こった。私と観客の関係は長い話が出来るが出演は観客の為です。
 
*枕の中の家
*10年前にボリショイに招待されロシアの一番有名な劇場に招待されたことを如何感じますか?
オペラを志す人の夢。私も総尾も増す。私の生涯の中でもっとも大きな出来事はボリショイへの招待です。ボR地所為に初めて出たのはトスカで大切でした。トスカの後はレパートリーの有名な主役-スペードの女王、アイーダ、ボヘマ、スカラート、マスク、イーゴリ皇帝、トスカなど
 
*貴女のスケジュールの中の家族生活はどうなっていますか?結婚されていますか?
結婚しています。幸せな結婚生活です。素晴らしい家族を持って息子は17歳、一人っ子で大好きな息子です。主人も大変立派なパートナー。歌手のパートナーとしては世界で一番良い。ビジネスマンですが音楽感が素晴らしい。紹介された時彼のオペラの録音のコレクションは私のよりも優れていて彼はオペラが好きな人で私にプロとして色々助言してくれて私に約に立つ大事なことを言ってくれます。
 
*家族と離れた公演が多いが?
家族と離れているのは難しいことです。公演で家族と離れる時は小さな枕を持っていきます。この枕は家族のイメージとして私の家は一緒、家族は一緒という感じがします。一番好きなのは家に帰る事。一番上手く喜んで歌うのはロシアです。


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