ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ラ・バヤデール 3月8日VS 9日 -2-

2006年03月12日 | Weblog

3月8日と9日の出演者毎の比較(勿論全くの私見です)をします。

指揮者: Pavel Linichev (両日とも同じ。日本公演も指揮の予定)

指揮者の出来まで比較出来ませんが8日は何故か2幕目の指揮者入場で誰も拍手せず拍子抜けしていたようなので9日は率先して拍手してあげたらオケのみんなもほっとしたようでした。やはり指揮者もオケもTimingの良い拍手は必須ですよね。上の方の席の人は指揮者が入場したか如何か判らないので未だ入場していないのに拍手して実際に入場する時は拍手しないということもお起き勝ちですので。出来るだけ1列目に要る時は率先して拍手するようにしているのですが8日の2幕目の時は誰も拍手しないので思わずビビッてしまいました。偶に拍手が遅れるとオケの人が拍手始める時がありますね。尚影の王国の2人の踊りのところでバイオリンのソロが哀愁のある曲を奏でますが9日はInna Leeという東洋人の女性が演奏していましたが丁度当方の目の前で演奏していたせいでもありますが中々名演奏でした。日本公演では東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が演奏するようですが是非ボリショイに負けない演奏を期待します。3月6日にはボリショイのオケのコンサートを始めて聞いたのですが普段縁の下の力持ちのオケの皆さんの高い実力が良く判りました。

ニキヤ:ザハーロワ VS グラチョーワ

肝心の主演の2人の比較ですが以前よりニキヤの役に定評のあるグラチョーワの方がこの役に成り切っている気がしました。勿論ザハーロワも素晴らしいですし個人的にウクライナ美人のザハーロワは大好きなバレリーナなのですが二日続けて見て比較するとバレエを踊っているところだけでなくパントマイムの演技部分、例えば一幕で苦行僧マギダヴェーヤからニキヤがソロルから伝言(寺院近くで待つように)を聞く場面があるのですがザハーロワは目の前に大僧正がいるにも関わらず大げさに喜びの表情を浮かべると共に態度に示しその顔のまま大僧正を見るという演技であれでは大僧正にバレバレという演技でした。グラチョーワは大僧正のことを気にして一寸だけ喜びの表情という微妙な演技。勿論これはそれぞれのバレリーナのバレエの解釈の違いということなのでしょうが当方はグラチョーワの演技の方がそれらしく見えました。 踊りに関してはザハーロワの良く上がる足とグラチョーワの何とも言えない色気のある踊り、柔らかな体とそれぞれの持ち味あり好みでしょう。又 ガムザッティをナイフで殺そうとする勝気なニキヤにはお姫様顔のザハーロバは如何かという見方もあるかも知れません。赤尾さんが日本公演のブログ上でグラチョーワの2幕で片膝ついた姿勢からゆっくりと伸び上がるアラベスクが絶品との話を書かれていますが確かに素晴らしい場面でした。

因みに3月14日の真夏の夜の夢、4月15日のカルメン組曲、三角帽子のザハロバ主演のバレエを見る予定です。4月27日には白鳥の湖にも出るようですが日本一時帰国に重なり次に見るのは5月5日の日本公演ラ・バヤデールのマチネです。

グラチョーワの3月31日ラ・シルフィーダも見る予定。

ソレル: Neporozhny VS ツィスカリーゼ

カーテンコールの表情を見て頂くだけでお判りの通りツィスカリーゼの圧勝。大体カーテンコールでNeporozhnyはザハロバから花を分けてもらっていましたがツィスカリーゼはちゃんとファンからの花束あり。只8日は国際婦人Dayだったから男は花束貰えなかったということもありえない話ではないかも知れませんが。

ガムゼッティ: アラシュ VS ステパネンコ

ニキヤと争い最後は蛇を使って殺すという激しいこの役には如何にも勝気そうなステパネンコはぴったりですね。アラシュもきっちりと踊っていましたが。因みに8日は一幕後のカーテンコールはありませんでしたが9日は1幕後にグラチョーワとステパネンコでカーテンコールに出てきました.

太鼓の踊り: Anna Antropovaは両日共出演

この激しい踊りには彼女の踊りはぴったりで喝采を浴びていました。

男性陣は8日の方が迫力あった。

苦行僧 マギダヴェーヤ Godovsky VS Yevdokimov

舞台の始めの場面などで両足を前に上げてジャンプするところがありますがGodovskyはこの両足がまっずぐ前に上がっていましたがYevdokimovは片足は曲がったままといったところでジャンプの高さにしても明らかにGodovskyが上。

黄金の仏像 :Medvedev VS Bolotin

ジャンプの切れなど明らかにBolotinが上。ところで日本公演には岩田さんは参加されないのでしょうか。是非岩田さんの黄金の仏像の演技が日本で見たいものです

壺の踊り:Rebetskaya VS Alizhede

この踊りは壺を頭に踊るので落とすのではないかと一寸ハラハラしますがRebetskayaの方が良かったかと。単にRebetskayaの方が良く見るから見慣れているだけなのかも知れませんが。ところでこの踊りの前に子供の黒人召使?(単にインドの子供の積りなのかも知れませんが。)の踊りがあるのですがこの子供達が顔を真っ黒に塗って赤い唇を書いて、両股を広げて跳ねるというのは日本公演でもこのままやるんでしょうか。他の方のHPに他の演目ですがこの手の表現をロシアは今でもやるのかといった評価がありましたが日本では一寸受けないのではとちょっと心配です。

大僧正(Sitnikov),ダクマンタ(Loparevich)は両日とも同じ。

添付は8日のカーテンコールの写真です。

その他写真、動画はHPをご覧の程。(3月8日分3月9日分

 

 

 

 

 

 

 

 



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4 コメント

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凄い! (Nana)
2006-03-13 13:01:31
なんという資料性でしょう!堪能させていただきました。有難うございました!!



先日は長くかいてしまってごめんなさい。直後に「バヤデルカ」をご覧になること、管理人様はザハロワ分は未見であることを意識せず、このブログの高い資料性等に圧倒されて興奮のままかきこんでしまい、見てない方に余計な先入観を押し付けることにならなかったか、と思ってましたが杞憂のようでした。



私もここで楽しませていただきましたが、管理人様がボリショイの「バヤデルカ」を、そしてグラチョーワの芸術性、ザハロワの美しさを楽しまれたようでなによりです。



前はここのブログ、内容がいいのでもっと色んな人にみてもらいたいとおもったのですが、恐るべき資料性で・・静かに存在している方がいいような気がしてきました。



お手持ちの資料は、見る人がみたら大変貴重なものだとおもいます。本当はボリショイは30年来とかの超詳しいファンとか、今のコールドに詳しい人、色々いるはずなんですが。



ザハロワの「カルメン」等もご覧になるのですね!写真で見たら赤い衣装にバラの花で、演技もがんばってて素敵でした。

(私も宇治様と同意見で当初、役が合うかなあ?と思ってましたけど、舞台写真みると、あの姿見るだけでもイイですよ!ステパネンコはサバサバしてて、彼女で2人の男性に恋焦がれられ・・って役はちょっと。一人の男の運命を狂わせる「スパルタクス」の敵将の愛妾エギナ役位が臨界点だと。アレクサンドロワも合わないし。ザハロワのカルメンへの思いはここでは控えさせて頂きます。キレイですから楽しんできてください。)ザハロワについてはまた別途書かせて頂きたく。ファンの人で、”彼女は「白鳥」が良い”という人もいます。

白鳥はザハロワはヨーロッパ的、グラチョーワはロシア的、という言い方は自分の見た範囲で当たってると思います。



(あ、こまかく書いていらした所、「バヤデルカ」途中の演技については管理人様のおっしゃってる通りのことを舞台みると感じます。)

彼らに限らず脇役もそれぞれ別の良さがあると思うので、色んな美を堪能される中、余力あらば私たちにもおすそわけ下さい。すぐに書き込みできる環境にないのですが時々覗かせていただいてます。



では。

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ありがとうございます (管理人)
2006-03-14 06:23:09
Nanaさん

詳細のコメントありがとうございます。

これからもNanaさんからのコメントを参考にUPしていきます。
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カーテンコール (Nana)
2006-03-14 14:44:38
お花の事。

私も知らなかったのですが、以前のロシアバレエのステージマナーとしては、白いバレエとかはあくまでもプリマが主役、という考え方があり、9日の舞台の主役はグラチョーワであり、その彼女をさしおいて(彼女が他に花をもらってたとしても)ツィスカリーゼに花があるのはプリマに失礼で、NGなマナーという考え方が昔はあったようです。何年か前にモスクワ在住でボリショイに通いつめて、ボリショイのファンのロシア人達から色々聞いたりしてる方から聞いた話ですが。でも東京が変化してるようにロシアも変化し、ボリショイの観客も変化してますから、今でも通用する話かはわかりません。



8日のザハロワが大きな花束を貰い、そこから一輪抜きパートナーのネポロジニーに渡したのは、時折見かけるカーテンコールのあり方で、こちらの方がスタンダードで、ザハロワは組んでるトップスターのウバーロフが降板し(ボリショイHPにちょっとあった)代役をつとめてくれた2番手のネポロジニーにそういう形で感謝を示したのでしょう。



一般的にはたとえそこでネポロジニーのファンが花をあげたくても、そこであげるのはNG、あくまでもバレエはプリマが主役で彼女を立てる、というのが古いバレエの考え方なんですが。



9日のツィスカリゼは個性派スターで、「あんまりそういう人じゃない~」というのが皆分かってる?ので、彼は例外?というのか、彼ならグラチョーワが怒らなければそれもありかも(?)ですが、彼はちょっと特別?で、8日がスタンダード、9日はイレギュラー、というかんじです。ツィスカリーゼはかつてはドゥミキャラクテールに分類されていました。



東京ではこんなことは観客は気にしてないんじゃないかと思いますが。バレエの規範が崩れてきて久しい昨今、私の話がまちがってたらごめんなさい。(うっ、私古い人になってたらどうしよう)とりあえずプリマから相手が花を貰うのは、定番マナーの一つ、ということで。(管理人様が見てネポロジニーが観客に花を貰えてないみたいに見えてしまったのは、ザハロワがまだ発展途上でカーテンコールのレベランスの動作を一つの即興劇のように見せられるほどスターとして熟練していないせいかと思いました。でも彼女、相手役への気配りがイイですね)



管理人様の写真、驚くほどナイスショットな時を捕らえていて、それぞれのダンサーの特質や関係性が比較できてカンの良さにビックリです。





現在のボリショイのマナーを知る方からフォローあるといいのですが、なくても閲覧者の方、管理人様の裁量で大丈夫と思って知る話を書かせて頂きました。ここの資料価値の高さからいって、書いといてもいいかな、と。細かくてすいません。

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なるほど (管理人)
2006-03-14 18:21:32
Nanaさん

そうゆうことでしたか。何も知らずに大変失礼しました。今度とも色々アドバイスください。
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