ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場「ラ・バヤデール」5月18日初日

2008年05月21日 | Weblog

NANAさんより観劇記寄稿いただきました。写真はもちろん日本のものではなく2006年12月のボリショイでのラ・バヤデールのカテコです。

新国立劇場「ラ・バヤデール」5月18日初日、行って参りました。全幕7場。

振付:プティパ 作曲:ミンクス 改訂振付・演出:牧阿佐美指揮:アレクセイ・バクラン(←good!) 

管弦楽:東フィル休憩2回、各25分。上演予定時間2時間50分

私的印象は、とても良かったです。

2幕、ザハロワのニキヤで、はじめて泣けました。フィナーレのカテコは盛り上がり、大成功ムード。新国立劇場バレエ団も好演。

ニキヤ:ザハロワ ソロル:D.マトヴィエンコガムザッティ:西川貴子 大僧正:G.イリイン ラジャー:逸見智彦マグダヴェヤ(苦行僧)吉本泰久 黄金像:八幡顕光(今年のブノアガラに出演予定だった人)ジャンペの踊り:遠藤睦子 つぼの踊り:湯川麻美子 パ・ダクション:川村真樹ブルー・チュチュ:丸尾孝子 ピンクチュチュ:遠藤睦子、西山裕子 アダジオ:バリノフ(この版は太鼓の踊りがない)

影の王国、第一ヴァリアシオン:丸尾、第二ヴァリ:川村 第3:厚木三杏

牧版振付:3幕までは、ボリショイ版にかなり近い。数あるバヤの中では、オーソドックスで、また3幕まで冗長にならず、かなり見やすい。装置,舞台の配置も良い。伝統を踏襲し、かつ現代的にすっきり整理し、よく編集されてる。最終幕にだけ、牧監督の独自の主張を入れた。ボリショイのように寺院崩壊でバシッと終わらず、3人の男女の心理劇に。あっ、でもこれ書いちゃうとネタバレになる?、ということで、ここまでで。 近場で迷ってる人は、見に行って正解でしょう。

★ ザハロワの美人度:出だしは、「椿姫」の方が上。見ばの美しさでは、今回は、3幕「影の王国」の白いチュチュ姿の方が、1,2幕より神々しかった。でも技術は、2幕の花かごの踊りの方が、より非凡で最強。3幕は、最後は高速シェネとかで、マトヴィのイケイケのソロと共に沸かせた。後半はやや荒く、完璧さよりも体育会系のノリで観客サービス。3幕は、むしろ最初のアダージョの方が、このペアはいい踊りになってた。技術的には、2幕の青いハーレムパンツ姿(短いスカート付)の花かごの踊りシーンが、見事。でも、表現を追っていて、技術の高さに感心する暇なく。悲しみのまま踊るグラチョーワと違い、ザハロワはマリインスキー伝統の、「花かごシーンを笑いながら踊る」設定を採用。しかしボリショイで演劇性を学んだため、状況に応じたニキヤの心理を考えた演技になっていた。ニキヤは、ソロルからの花だといわれ、彼の心にまだ、自分への想いがあるのかと思って、一瞬けなげな笑顔を見せる、しかしソロルを見ると、ガムザッティ@西川さんの手をとりキスしたり、二人見つめあい、嬉しそう。(この、ガム@西川、マトヴィのいちゃいちゃは、微笑ましくも理解不能で、私、ツボりまくり。)それでニキヤは、何となく、時にやけくそのような、泣き笑いのような笑顔を見せる。(この解釈で完成すれば、これはいけるかも)。マトヴィ@ソロルは、2幕絶命したニキヤにかけより、頭に両手を当て天を仰ぎ慟哭、のあと、ザハロワの胸に耳を当て、心臓止まったのか確認。ちょっと変。(冷静過ぎないか?)

★ 牧版バヤデールは、マトヴィエンコ@ソロルのためにある!と私的には思いました。二人の女を好きになり、アレコレやってるのが、役にはまってて、笑えて。ボリショイ来日公演の3人のソロルより、全然こっちの方がソロルっぽい。まあ、女の子が好きになりそうなかっこよさ、とか、二人とも好きになってるとことか、リアルで。私自身が思い入れて感情移入できるソロルではなかったですが、役の通りに見える度数は高かったです。本気で感心したのは、西川さんと踊る時のマトヴィエンコ。相手を見るし、リフトサポート時の体の扱いも優しいし、二人楽しそうに踊って。彼の良さが良く出てました。ザハロワとはプロの信頼関係だけど。やっと私の好きなマトヴィエンコが見られて嬉しかったです。

★ 新国立ダンサーズは、各脇役それぞれ楽しめました。黄金増の金粉塗り度数、最高。でもあれは体に悪いと知ると、そこまで塗らなくてもと。

★ でも、管理人様には・・。3幕白いバレエのコールドの後半、管理人様好みではなかったかもで、いらっしゃらなくてよかったかも。アラベスクパンシェ、脚高くきれいに上げてたし,上体と腕の振りもいいとこあったし、ムードもあって、相対的に見て、私らには、あれならOKなんですが。やっぱり、バンコクから来るほどのものでは。。。



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3 コメント

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Unknown (モスクワ在住者)
2008-05-23 14:40:17
八幡顕光さんは5月6日のブノワ賞の表彰式後のコンサートでカルミナ・ブラーナからのナンバーを踊っていらっしゃいました。
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そうでしたか (Nana)
2008-05-26 00:06:13
モスクワ在住者さま。

レアな現地情報、どうも有難うございます。

当方、少し前に、ブノワ・ガラに日本人出演予定とHPか何かで知ったのですが、ロシアの公演は変更もあり、当日は八幡さんが踊られたか確認できなかったので、わかる範囲で公演速報お送りしました。

ご指摘いただき助かりました。ご当地の方は情報量も多いので、これからも何かあれば、皆様、是非宜しくお願いいたします。
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どうも (管理人)
2008-05-26 09:21:22
モスクワ在住者さん
初めまして。
情報誠にありがとうございました。
これからも是非現地情報宜しくお願いします。
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