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2017.3.13 Newsモーニングサテライト

2017年03月13日 19時02分02秒 | MS
■マーケット

NY
アメリカは12日から夏時間で日本との時差が13時間になります。今週の注目は何と言っても利上げ。実施はほぼ確実ですが、問題は年内3回か4回か、そのペースです。10日に発表された雇用統計で、非農業部門の雇用者数は予想を上回る23万5,000人。この数字が今週の利上げをほぼ決定づけたようです。市場には年内3回の利上げを織り込めていないとの声もあり、FRBの見通し次第で相場が動く可能性もあります。16日には予算方針の公表も予定されています。具体的な中身についてはまだ先と見られていますが、再び財政拡大の思惑も材料になりそうです。10日の株価終値です。そろって続伸でした。ダウは44ドル高の2万902ドル。ナスダックは3日続伸し22ポイント上昇の5,861。S&P500は7ポイントプラスの2,372。

【アメリカの専門家インタビュー】雇用統計、賃金上昇に注目

・ 米賃金上昇を確認

注目を集めた2月の雇用統計について、エコノミストは、前回低下した前年比の賃金上昇率が再び上昇したことが最大のポイントだと指摘しました。

《S&Pグローバル/べスアン・ボビーノ氏》
「景気回復期がある程度続いたこの時期は、通常、賃金の伸びは前年比で平均3.5%になり、年末までにこのレベルに達すると期待する。実は前回の雇用統計では2.5%に落ち込み、『賃金はこのまま下落するのか』との懸念があった。しかし今回の伸びは、再び上昇に転じ、その懸念が払しょくされた。」

・ 米利上げは年3回か

また雇用統計を受けて今月の利上げは確実なものになったと見ています。

「今回の雇用統計は、3月利上げが確実になるための材料として注目していた。実際とても強く利上げの正当性を裏付ける結果となった。ただ利上げは年3回にとどまるだろう。インフレ率の上昇ペースが遅いため、利上げも緩やかなペースになるとみている。」
 

【為替見通し】注目ポイントは「予算教書」
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏
 
--まずは先週末の為替市場はいかがだったでしょうか。

2月のアメリカ雇用統計が予想を上回ったことを受けて、発表直後こそドル金利上昇とドル買いとなったものの、続かず、ドル円は115円台半ばから114円台後半まで下落しました。

--今日の予想レンジは、114.20-115.50円、注目ポイントは「予算教書」、16日にはその概要となる予算方針が公表される予定ですね。

はい、マーケット参加者は今週行われるFMOCでの利上げを確信したものの、トランプ政権の政策遂行力には未だ確信を持てず、そのため相場は力強さを欠いた状況です。今週発表される予算教書の概要となる予算方針は、上級管理職の政治任命が未だ限定的なため、具体化が十分でないかもしれません。しかし一般教書演説で示された大枠の方向性を、予算という目に見える形で見える化することで、前政権とは異なる国造りのの姿が明らかになると想定しております。

--その場合、ドル円はどのような展開を見ていますか。

はい、先進国経済で現在最も強いモメンタムのアメリカで、アメリカ国内の投資を促進させる減税と民間資金も活用しながら巨額のインフラ投資を警告するなど、拡張的な経済政策が採用されることになるため、FRBは金融政策のペースを速め、結果として4月には120円を超えるドル高基調を想定しております。トランプ政権の政策遂行力、イエレンFRBの動向からは目が離せません。

【日本株見通し】注目ポイントは「日本株のリスクプレミアム」
解説は岡三証券の阿部健児氏
 
--今日の予想レンジは、19500円~19650円です。

株式市場のの関心は、」FRBの3月以降の利上げペースに移っています。投資家は15日のFOMCまでは動きにくく、今日の日経平均は19600円近辺で小動きと考えています。

--注目ポイントは「日本株のリスクプレミアム」です。

(フリップ:日本株は割安?割高?)
日本株のリスクプレミアムを、トピックスの12ヵ月先予想益利回りから、10年物国債利回りを引いて計算したのが、コチラのチャートです。リスクプレミアムが大きいほど、日本株の利回りが国債利回りを上回ることになり、日本株が国債に比べて魅力的で割安であることを示します。9日時点で、リスクプレミアムは6.9%と去年6月のブレグジット決定直後の8.5%から縮小しましたが、アベノミクス相場の平均の6.8%に近く、日本株は割安でも割高でもないフェアバリューと考えています。

--でもこの日本株のリスクプレミアムの先行きはどう見ているんでしょうか。

今後は堅調な米国景気、FRBの利上げによる円安進行、米国財政政策の内容発表を受けて、もう一段低下すす可能性があります。日本銀行がリスクプレミアムの縮小を促すことを目的に挙げて、ETFの買い入れを決定したときは、アベノミクス平均と同じ6.8%でした。今後、この水準を安定的に下回るようになれば、日経平均は2万円を超えていると考えらえられ、その場合は日銀がETF買い入れ額の減額を行う可能性があると見ています。
 
 
■【エマトピ】ケニア インフラ投資 地熱発電にチャンス
ケニアは、2015年のGDP成長率5.6%、2016年も6%の上昇がが見込まれ安定成長しています。近年この国で急速に開発が進んでいるのが地熱発電。2015年の地熱発電容量は3年前の3倍となり、その潜在総発電能力も電力需要を大きく上回っています。解説は丸紅ナイロビ支店の坂梨正典氏。
 
(フリップ1:ケニアGDP成長・ケニア輸出品目)
--まずはケニアの経済状況を見ておきましょう。ケニアのGDP成長率は
、2015年で5.6%、IMFの予測では2016年は6%成長と見られています。その成長のけん引役の1つが、GDPの3割を占める農林水産業です。主要な輸出品目を見ても、紅茶やそして切り花などの園芸作物といった農産物が上位を占めています。

《ケニア輸出品目》
・ 1位 紅茶
・ 2位 園芸作物(花、野菜など)
・ 3位 衣料品・アクセサリー
・ 4位 コーヒー

--ケニアのナイロビにいる丸紅ナイロビ支店の坂梨正典氏と電話がつながっています。さて今ご紹介したようにケニアの主要な輸出品目は農作物ですけれども、日本はケニアからどんなものを輸入しているんですか。

《丸紅ナイロビ支店/坂梨正典氏の解説》
「はい、代表的なものはバラです。約44%がケニア産で、バラの輸入先ではトップとなります。ケニアは赤道に位置した暑い国と思われがちですが、国土の大半は標高1200m以上で、日本の軽井沢のような気候、バラも育てやすい環境にあります。」

--バラというのはずいぶん意外なつながりですよね。さてそうした中、ナイロビでは去年8月にアフリカ開発会議が開催されて、日本もインフラ投資を進めると発表しましたね。

「そうですね、2016年から18年の3年間で、官民総額300億ドル(約3兆円規模)の質の高いインフラ整備や保険システムなどの投資を行うことが発表されました。ケニアをはじめとしたアフリカ諸国の成長への期待の表れだと思います。」

--現在進められているインフラ開発はありますか。

(フリップ2:東アフリカ物流網開発)
「今ケニアでは東アフリカの玄関口と呼ばれるモンバサ港の拡張工事と内陸の国であるウガンダやルワンダなどをつなぐ輸送ルートの整備が進められています。これが完成すれば、2030年には現在の2.3倍に当たる6100万トンの荷動きができるようになると見込まれています。既に日本企業がこの事業に関わっていますし、今後、周辺道路や工業団地建設などでも期待できるとみています。」

--そういったインフラが整備されますと、エネルギーも必要になってきますが、そういった対策はできているんでしょうか。

(フリップ3:ケニア地熱発電能力拡大)
「はい、近年急速に進んでいるのは、地熱発電の開発です。2015年の発電容量は3年前の3倍となりました。ケニアは地熱発電に必要な高温高圧の水蒸気を発する大地溝帯を有し、その潜在総発電能力は7000メガワット現在の電力需要の3倍と言われています。大規模地熱発電用タービンは日本のメーカーの独壇場であり、今後も大きなビジネスチャンスがあります。丸紅もインドネシアなどでの実績がありますし、タービンを供給できるメーカーと組んで、地熱発電案件に積極的に取り組んでいます。」
 

■【特集】入国禁止を逃れたシリア難民
アメリカのトランプ大統領が命じた入国制限令は世界の難民問題に波紋を広げています。先月かろうじて入国制限を免れ、アメリカへの渡航を果たしたあるシリア難民家族の苦悩を取材しました。

今月6日、トランプ大統領はイスラム圏7ヵ国からの入国禁制限に代わる、新たな大統領令に署名しました。

《ティラーソン国務長官》
「我が国の安全保障への脅威は、常に進展し変化していることから、国を守るため必要な制度をっ継続的に見直すのは当然だ。」

対象国からイラクを除外したほか、シリア難民の受け入れ停止期間を無期限から、他の国と同じ120日間に緩和しました。しかしこの決定を受け、即座に反論したのが、国連だ。国連難民高等弁務官事務所は7日、「各国には命に関わる暴力から避難した人を支援する責任がある」との声明を発表しました。アメリカの措置は世界の難民問題に混乱をもたらすという。

《国連高等弁務官事務所/ジェニファー・フェントン氏》
「難民受け入れは、もはや国際的な常識です。難民を追い返すようなことをしたら、命に関わるからです。」

紛争や迫害によって避難を余儀なくされた人は、一昨年、6530万人に達し、過去最高を記録しました。最も多いのはシリアで、490万人にも上っています。アメリカが入国制限に揺れる中、先月、渡米を果たしたシリア難民がいます。ファリス一家です。内戦が続く中、6年前、父親は殺されました。母親のファリダさん(50歳)は子供たちを抱え、恐怖におびえる日々だったと言います。

《母親のファリダさん》
「シリアは人が住める状態ではありません。とても怖かったわ。電気も暖房もなく、子供たちもいつも怖がっていました。」

《長男オマール君(15歳)》
「銃撃戦が絶えず、家にいられなくて、いつもシェルターに避難する生活だった。毛布もなくとても寒かった。良いことなんて1つもなかったよ。」

住んでいたダルアーの街は、政府軍と反体制派が激しく衝突し、爆音が鳴り続けていました。そしてついに隣に住む兄の家が爆撃され、2013年1月にシリア脱出を決めました。ここから一家の漂流が始まります。向かった先はヨルダン(13年2月)。最初に身を寄せた孤児院は1年で居られなくなり、たどり着いたのはザーダリ難民キャンプ(14年2月)。しかし環境は劣悪でした。着いたのは真冬で、水やトイレの衛生環境が整っていないうえ、食料や生活用品が常に不足し、子供たちの未来も見えなかったと振り返ります。

《母親のファリダさん》
「暖房がなくとにかく寒かった。真冬なのに薄い毛布1枚で寝ていました。」

キャンプを出た後、ファリダさんはアメリカへの難民申請をします。国連を通じて10回以上のインタビューと書類審査を経て、ようやく難民認定が下りたのは、今年1月のことでした。アメリカ行きの航空チケットも購入し、いざ出発というその時、トランプ大統領が入国制限令を出したのです。

《長男オマール君(15歳)》
「アメリカに行けないと知った時、全ての希望が消えました。ヨルダンの生活に逆戻りなんて、僕の将来はどうなるんだと思いました。」

結局、大統領令は差し止めとなり、入国を果たすことができました。シリア脱出から4年がたっていました。

《母親のファリダさん》
「アメリカについてやっと安全な場所に来られたと感じました。ここでは人権が尊重され、みな親切だと思っています。」

しかし新天地アメリカでの定着は容易なことではありません。まずは英語の勉強から。トランプ大統領の新たな入国制限は、今週16日から始まります。

世界で難民数が増え続ける中、実は日本への難民申請も去年初めて1万人を超え、過去最高を記録しました。しかし実際に申請が認められた人は前年比1人増のわずか28人にとどまっています。難民問題が深刻化する中で、アメリカだけでなく、同様に日本の立場も問われかねない状況です。
 

■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:3月10日~12日、対象:番組出演者36人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19800円)
先週終値(19604円)

《ソシエテジェネラル証券/杉原龍馬氏》
(2万円予想)
「アメリカの追加利上げに日銀がきっちり金融緩和継続のメッセージを送ればポジティブ。」

《大和証券/石黒英之氏》
(19400円予想)
「アメリカの利上げは織り込み済み、海外勢の様子見スタンスが続くなか、戻り売りに押されやすい。」
 
(2) 今週末のドル/円相場
予想中央値(115.00円)
先週終値(114.81円)

《ブラウンブラザーズハリマン/伊庭剛氏》
(117円予想)
「各国の金融政策の発表が出揃った後、ドルの優位性が再認識される。」

《三菱UFJモルガンスタンレー証券/植野大作氏》
(113.50円予想)
「G20への警戒感がドル円の上値を抑える。」
(3) 景気先行指数
今週はFOMC、追加利上げを専門家はどう見ているのか。
3月(78%)、5月(0%)、6月(11%)、7月(3%)、9月(8%)

(4) モーサテ景気先行指数
    (44.4に上昇)
 

■【特集】原油価格 ボックス相場を維持
先週、米国の原油在庫の積み上がりに対する懸念から急落した原油価格。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国が合意した協調減産では世界的な過剰供給の解消に不十分との見方やトランプ政権の誕生で中東情勢に不透明感が増す中、今後の原油価格はボックス相場が続くといいます。その理由とは。解説は住友商事グローバルリサーチの髙井裕之氏。
 
--高井さんは先月、国際エネルギーフォーラムに出席されたということで、これはサウジアラビアで開催されたものですね。
 
(フリップ1:国際エネルギーフォーラム)
「そうですね。首都のリヤドで開催されまして、出席をしてきました。当時はまだ55ドルという油価だったので、非常に和やかな雰囲気で、非常に皆さんハッピーな感じでしたね。」

--サウジアラビアのファリハ産業鉱物資源相などの参加したというところだったんですけれども、今ちょっと原油は急落という場面になっています。そこで聞いていきたいんですけれども、テーマとしては、その情報を聞いてきた結果、高井さんは「原油価格はボックス相場を維持するのではないか」と・・・。何故そういうふうに思われるんでしょうか。

(フリップ2:主要4ヵ国の関係者)
「それでは主要な関係者の関係から説明をしていきたいと思います。皆さんご存知の通り、トランプ大統領、サウジアラビアのサルマン国王(今日来られましたね)、それからプーチン大統領とイランのロウハニ大統領、このそれぞれのリーダーたちにはアジェンダがあるんですけども、皆さんよくご存じの通り、米国とサウジは同盟関係、そしてロシアとイランというのは中東において協力関係を結んでおります。トランプさんとプーチンさんというのは、いまいろいろ話題になっていますけれども、関係修復を図っているのではないかと・・・。一番の問題は、アメリカとイラン、核開発合意をトランプさんは破棄するぞということを、選挙期間中にずっと言ってきたんですけども、今回私も向こうに行ってイランにも行ったんですけども、おそらく破棄はないというのが大方の見方ですね。」

--何故そういうふうに・・・。

「やっぱりイランがもう一度核開発をするということは、周辺の国にとってみんな反対することなんですね。それとあとは、イランというのは中東の今いろいろ揉め事がありますけれども、シリアとか、イラクとか、そこで前線で戦っているのはイランの軍隊なんですね。ですから中東の問題を解決するためには、イランを味方に付けておく必要があるということですね。」

--ただ、こうして見ますと、構造を見るとやはり対立構造が非常に目につくんですけれども、この4者の関係というのは、今後変わりそうですか。

(フリップ3:利害の一致)
「おそらく現状はあまり変わらないというふうに我々は思っておりまして、何故ならば、この4人のリーダーの利害が一致するところというのは、1つ目は、①『イスラム国の妥当』、これはもうトランプさんもずっと選挙期間中からずっと言っているわけですね。それからもう1つ、これはもう重要なんですけれども、②『原油価格が安定』してくれること。この2点において、この4ヵ国というのは利害が一致するということですね。」

--ということは多少の対立関係はあったとしても、大喧嘩をするようなことは無いと・・・。この原油価格の安定というのが非常にいま重要になってきていますが、それでは需給のところを見ていきます。なんと言っても原油価格のカギを握るのは、OPEC減産の動向がありますね。

(フリップ4:OPEC原産開始)
「そうですね、これはOPEC産油国とアメリカの原油の算出状況をグラフにしてあるんですけれども、若干これは軸が(左右で)違いますから、左側(の単位)がOPECで、右側(の単位)がアメリカのシェールです。ご覧になって分かるように、OPECは減産を合意してからずっと減産が開始されまして160万バレル、もうピークから原油の生産量というのは落ちております。逆にアメリカのほうは増産しているわけですね。油価が上がってきています。結局、160万バレル(減産)と60万バレル(増産)。ちょっと軸が違うので、長さが同じに見えますけれども、100万バレル、世界の需給というのはタイトになっているというのが今の状況です。これがありますから、45ドルが55ドルに油価は上がっていたということなんですね。」

--なるほど。でもこれがこの後、ボックス圏に入るというふうに、高井さんは見ていらっしゃる。コチラを見ていきましょう。見通しとしては今後1年ほどで見ますと、このボックス圏に収まると見ていらっしゃるんですか。

(フリップ5:原油価格はボックス相場に)
「そういうことですね。これはどうしてかと言いますと、50ドルを割ってくるような状況では、まずサウジを中心として、OPECが減産を実施する。今ちょっと先物で少し売られていますけれども、おそらく50ドルというのは1つのラインになってくるかなと・・・。逆に油価が上がってくる局面では、60ドルに近づいてくると、トランプさんも米国のシェールを増産、増産と言っていますから、米国のシェールが増産に動いてくると・・・。結果として、下値を50、上値を60の、このサンドイッチ状態で、おそらく今年1年間は油価は推移するのではないかというふうに見てます。」

--ちょうど今サルマン国王がきていますけれども、例えばサウジアラビアにとって、この水準というのは受け入れやすいものなんでしょうか。

「そうですね。逆に油価が40に下がっちゃうと、財政赤字が大きくなっちゃう。逆に油価が70に上がってしまうと、今ビジョン2030を実行しようとしますから、国民の危機意識というのが薄れてくるということがありまして、この間に入ってくれるのがちょうどいいという感じですね。」

--ああ、国民の意識というのが大事なんですか。

「そうですね。いま公共料金を上げたりとか、公務員の給料をカットしたりしていますから、厳しいことを国民に課しておりますから、油価が上がっちゃうと、また国民が『結局は油が上がってくれたんだ』ということで、みんなアブラの上にアグラをかいちゃうといいうことですね。ですから危機意識を持つためにも、これぐらいの注意安定というのがサウジにとって一番ベストだということですね。」

--では今後の原油価格、ボックス圏に収まるかどうかということを見るうえで、注目すべきことを挙げていただきました。

(フリップ6:今後の注目ポイント)
1 強調減産の順守率
2 米シェールオイルの増産ペース
3 5月OPEC総会、減産合意の延長あるか
4 投機筋のポジション調整

--まず何と言っても協調減産の順守率が重要にもなってきますが、2つ目、シェールオイルの増産ペースですね。

「そうですね。これが一番のポイントになってくると思います。あまり増産ペースが強くなってくると、今度は5月25日のOPECの総会で、今の減産というのは6月で終わりますから、これを延ばすか延ばさないかというところには、米国のシェールの増産のピッチいうのは非常に重要になってくると思います。」

--この見通しはどうご覧になっていますか。

「現地ではおそらく合意は延ばさないということを言ってますけれども、おそらくそれは今の段階で、延ばすということを言ってしまうと、みんなやっぱりある程度、気分がだれてしまいますから、近づいてこないとこれは分からないですね。私は個人的には減産は延長するんじゃないかと見ているんです。」

--そうですか。分かりました。一時、ポジション調整で動くときはあるけれども、基本的にはボックス圏で動くだろうというお見通しですね。
 

■日経朝特急

日サウジ経済協力深化、総理・国王、会談で合意へ
サウジアラビア、サルマン国王来日。日本とサウジの経済関係が新たな段階に入る。きょう安倍総理と会談し、経済を軸にした協力方針「日サウジビジョン2030」を打ち出す。日本企業の進出を促すために、サウジに経済特区を作ることで合意し、トヨタ自動車やJXグループ、3メガバンク、東京証券取引所などが経済面で協力する。日本への原油輸出に偏った貿易構造から脱却し、遅れていた日本企業の進出が加速する。
 

東芝、テック株売却へ
東芝が非中核企業を切り離す。東芝は、POSレジ最大手の東証1部上場子会社「東芝テック」の株式を売却する検討に入った。優良であっても、中核企業と関連の薄いグループ企業の資産売却で、早期の債務超過回避を狙う。
 

トヨタ、ベア1300円
トヨタ自動車は、きのう今年の春季労使交渉でベースアップに相当する1300円を含む2400円の賃金改善に応じ、1100円は育児中の社員を対象とした家族手当の拡充に充てる。ベア実施は4年連続だが、実質的なベアは安倍総理大臣が要請した少なくとも前年並みの水準を下回った。また電機大手は月3000円のベア要求に対し、1000円で決着する見通しだ。
 

■日刊モーサテジャーナル

米堅調な雇用統計、逆に過熱リスク?
アメリカの新聞各紙は、緊張な雇用統計を受け、今月の利上げはほぼ確実という見方を多く掲載している。
ウォールストリートジャーナルは、「良すぎただけに、逆に経済の過熱リスクが高まっているのでは」、と懸念を示している。消費の弱さなどを背景に、アメリカの1-3月期GDPの成長見通しは現在、年率1.6%、年初時点での見通し2.3%から下方修正されている。こうした中、トランプ大統領は、インフラ投資や減税などでGDPを底上げしたい考えで、記事は、「もしこれが成功すれば、雇用市場がさらに過熱することになると警戒、低い水準にとどまっている労働生産性が急上昇する可能性は低く、景気の回復に対し、企業は雇用の増加で対応、それに伴い、賃金の上昇が急加速するのでは」、と分析している。また「FRBの利上げペースも投資家の予想以上に早くなる可能性がある」、とみている。
 

米ティラーソン国務長官、力量に不透明感
今週、ティラーソン国務長官が日中韓3カ国を歴訪する。これまで、どちらかと言えば、存在感が薄かったテラーソン国務長官。
ニューヨークタイムズは、「対北朝鮮政策や中国との関係など、課題山積のアジア情勢に対応できるのか不透明だ」、と報じている。記事は、「テラーソン長官は就任演説で、自身の生い立ちや外交政策に対する信念などを語ったものの、それ以来、長官から目立った発信はない」、と指摘。また国務省の予算は大幅に削減されて、人事を巡っても大統領と衝突。ケリー前国務長官から十分な引き継ぎ行った形跡もないという。ただ、記事は、「ティラーソン長官の沈黙自体が周到な戦略かもしれない」、という見方も掲載。エクソンモービルのCEOだった時も、言葉数は少ないがしっかり根回しをして取引を成立させる手腕は有名だったという。
 

14日にも英国EU離脱通知
英メイ首相が早ければ14日にもEUに離脱を通知する見通しで、EU高官の間でもそれに備える動きが広がっている、と報じている。現在、イギリスの上下両院は、メイ首相にEU離脱通知の権限を与える法案を審議中で、記事によると、法案は13日にも成立する可能性があるという。こうした状況を受けて、EU内では4月6日に臨時のEU首脳会議を開く方向で調整が進んでいるという。14日の翌日、15日にはFOMC、オランダ総選挙、米国の債務上限引き上げ期限が控えていて、今週はマーケットにとって重要イベントが集中することになりそうだ。
 

・ 米ティラーソン国務長官、ビジネスを第一に思考?

--高井さんは商品市場に詳しくいらっしゃいますけれども、国務長官になったティラーソン氏のことは、話にはよく聞いていましたか。

《住友商事グローバルリサーチ/髙井裕之氏》
「そうですね。エクソンモービルは何と言っても石油の大手ですから、実はティラーソンさんと一緒に仕事をした女性と先月食事をすることがありまして、彼女が言っていたのは、ティラーソンさんというのは、寡黙なんですけども、ビジネスにとって何がベストかという判断をする方と・・・。だから仕事に対しては非常に信頼感がおける方という評価ですね。」

--ただメディアとなかなか対話するということがないと・・・。

「そう、だから寡黙だというところが、メディア嫌いというふうに取られているんだと思いますけれども、もともとこの方は41年前にエクソンに入って、生え抜きでずっと・・・。エンジニアの方なんですね。ですからアメリおしゃべりをするというタイプではなくて、ただ信頼できる人というのが、彼を知る人のコメントですね。」
 

■今週の予定

3月13日(月) 安倍総理がサウジアラビアのサルマン国王と会談、1月機械受注、2月企業物価指数
3月14日(火) 中国2月小売売上高など、米FMOC(~15日)
3月15日(水) 日銀金融政策決定会合、米ティラーソン国務長官来日、オランダ総選挙、米2月小売売上高、米債務上限引き上げ適用期限
3月16日(木) 日銀黒田総裁会見、英中銀金融政策委員会結果発表、米予算方針を公表
3月17日(金) G20財務相中央銀行総裁会議、米2月鉱工業生産
 

■今日の予定

安倍総理がサウジアラビアのサルマン国王と会談
1月機械受注
2月企業物価指数
米2月労働市場情勢指数(LMCI)
インド休場
 

■ニュース

G20声明 為替文言を大きく修正か
17日から18日にかけドイツで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議を前にG20声明の為替をめぐる文言が大きく修正される可能性が浮上しました。これは、ロイター通信が伝えたもので、草案の段階で、声明から「競争的な通貨切り下げを回避する」といった為替相場の安定を狙う文言が削除されたということです。その一方で、世界的な不均衡の是正を訴える表現が含まれているもようです。ロイター通信は、まだ草案の段階で、声明の内容が変更される可能性も残されているとしていますがもし草案通りになれば、アメリカの貿易赤字を問題視するトランプ政権の意向が存在感を示した形になります。
 
 
韓国 朴氏 大統領府を退去
10日に韓国の憲法裁判所に罷免された朴槿恵前大統領はきのうの午後7時すぎ大統領府から退去し、ソウル市内にある自宅に戻りました。朴前大統領の自宅周辺では朴氏に近い議員のほか、多数の支持者が集まり、朴氏が到着すると韓国国旗を振って迎えました。朴氏は笑顔を浮かべながら支持者たちと言葉を交わしました。また、側近の議員を通じ、「大統領としての使命を最後まで果たせず申し訳なく思う」との声明を発表しました。
 
 
サウジアラビア 国王が46年ぶり来日
日本にとって最大の石油供給国、サウジアラビアのサルマン国王がきのう羽田空港に到着しました。サウジアラビア国王の来日は46年ぶりのことです。サルマン国王は、サウジアラビアから事前に持ち込んだエスカレーター式のタラップを使って降り立ちました。訪問団は閣僚や企業の幹部など1,000人以上となる見通しです。空港では皇太子さまが出迎えられ、サウジアラビアやアラブ各国の駐日大使を交えた歓迎式が開催されました。サウジアラビアは原油価格の低迷を背景に財政赤字が続き、産業の多角化を迫られていて、日本側は製造業や医療などさまざまな分野での協力を表明する方針です。
 
 
民進党 蓮舫代表 衆院くら替えを明言
民進党の蓮舫代表は次の衆議院選挙に出馬する考えを示しました。参議院議員の蓮舫氏はこれまでも衆議院へのくら替えを示唆していましたが、今回、初めて衆院選への出馬を明言しました。会見に先立ち開かれた党大会では、「二大政党制の実現を目指したい」と結束を呼びかけました。さらに、現状「2030年代に原発ゼロ」としている目標の前倒しに向け、「基本法案」を作成する方針を表明しましたが、当初、発表を目指していた「2030年に原発ゼロ」という目標年限は連合や労組系議員の反発もあり言及しませんでした。
 

■【コメンテーター】住友商事グローバルリサーチ/髙井裕之氏

・ サウジ国王訪日、日本の民間投資に期待

今週はビッグイベントの集中ウィークということで、大変なんですけれども、そうした中、サウジアラビアのサルマン国王が来日しましたが、何故今このタイミングになったんでしょうか。

「やはりトランプ政権に代わって、これから外交の関係を米国一辺倒からアジア重視、特に日本と中国重視ということで、多角化していこうというのがあると思いますね。」

--そういった中で、民間を呼び込みたいという思惑が強いんですか。

「そうですね。ビジョン2030というのを去年発表してます。その中で民間のセクターのGDPの寄与度を4割から65%に上げていこうというのがありまして、特にやっぱり日本の製造業、日本の協力というのが必要になってくるということですね。」

--だからこそ今回も民間企業とコンタクトをとるという形になってますね。

「そうですね。あとはアラムコの上場というのがありますので、下馬評ではニューヨークが一番可能性があるんですけれども、2つの市場に上場するというのがありますから、東京の可能性も出てくるということですね。」

--そうですか、ということはやはり双方にとっていいタイミングだったということですか。

「そうですね。ビジョン2030というのは彼らがどうしてもやりたいということで、日本の協力が必要だということですね。」

--ただ、いま原油が急落しているという局面なんですよね。

「そうなんです。非常にタイミングが悪くて・・・。原油価格は50ドルでサポートされていたんですけれども、ここにきて3日間ぐらいで割り込んできてます。一番の原因は、投機筋の買い越しポジションの利食い売りです。これは新しい売りが入っているというよりかは、古いロングポジションの利食い売りが入ってますので、(直近は、投機筋の買い越しポジションが)80万枚を超えている非常に歴史的に高い水準にあるんですけれども、それが利食い売りで少し下がってきている。ですけども本当に下がったところというのは、まだ反映されておりませんので、先週の動きを反映すると、おそらくこの買い持ちポジションというのはこのぐらい(60万枚ぐらい)まで下がってくるんじゃないかなと・・・。ただ、これは利食いの売りですから、トレンドを変えるような大きいものではないというふうに考えていますね。」


・ きょうの経済視点 「コーンvsナバロ」

「コーンというのは、国家経済会議の委員長のゲイリー・コーンさんのことですね。それからナバロというのは、ピーター・ナバロさん。この方は国家通商会議の委員長ということで、今ホワイトハウスの中で、コーンvsナバロというのが、経済政策とか、通商政策を巡って対立していると言われているんですね。ご存知の通り、コーンさんというのはゴールドマンサックスの出身で、非常にリベラルな考えを持って自由貿易主義者。それに対してナバロさんは非常にラディカルな保護貿易主義者ということで、この2人のうち、どちらが主導権を握って、これから経済政策・通商政策をやっていくかということで、大きくトランプさんの政権の方向性が変わるということですね。」

--ナバロ氏に関しては、やはりトランプ氏もサポートしてきてくれただけに、粗末には扱えないというところもありますね。

「そうですね。イデオロギー的にはある意味トランプさんのバックボーンになってきた方ですから、ただ、やっぱり大事なのは経済ですから、そういう意味では一番力を持って、物事をよく分かっている人に、主導権を渡していくんじゃないかなというふうに思いますね。」

--そういう流れにはなりつつあるというふうなこともありますけれども、ホワイトハウスはちなみに・・・。

「コーン氏だと思います。」