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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.3.2 Newsモーニングサテライト

2017年03月02日 16時47分47秒 | MS
■マーケット

NYダウ大幅反発 2万1100ドル台突入
1日のNY株式市場でダウは2万1,100ドル台に突入。トランプ大統領の議会演説やFRB高官の発言が好材料と捉えられ、ダウの上げ幅は300ドルを超えました。トランプ大統領の演説では期待していたほどの中身はなかったものの、大統領らしい振る舞いに安心感がただよいました。一方、ニューヨーク連銀のダドリー総裁から今月の利上げに前向きととれる発言が飛び出し、金利が上昇。それにつれてドル高が進み一時、9日ぶりとなる1ドル114円台をつけました。市場が予想する今月利上げの確率も前の日の35%から66%に急上昇。物価や製造業の景況感改善も確認され、リスクオンムードが市場をおおっています。終値はダウが303ドル高の2万1,115ドル。ナスダックは78ポイント上昇し5,904。S&P500は32ポイント上昇の2,395でした。

【NY証券取引所中継】米株↑の背景
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏

--ここまでの上昇はちょっと予想外でしたかね。

そうですね。ニューヨーク株式市場は上昇しまして、ダウは2万1000を突破しました。利上げ観測が広がる中で金融セクターの上昇が目立ったほか、エネルギーセクターも堅調な動きを見せています。

--もう少し詳しく、この株価上昇をどう見ていますか。

昨日のトランプ大統領の議会演説で、特に大きなマイナス材料が見られなかったことに加えて、利上げ観測からの金利上昇を受けて、金融セクターが大きく買われたことが背景にあります。ニューヨーク連銀のダドリー総裁が昨日、雇用状況のさらなる改善やエネルギ価格の上昇などを理由に、「金融引き締めの主張は一段と説得力を増している」などとしたことで、早期利上げへの思惑が広がっています。

--その3月の利上げ予想確率も大きく上昇しますよね。

そうですね。ただダドリー総裁は消費者や企業のセンチメントの改善を認めているものの、それだけで利上げのタイミングを判断するのは時期尚早であるとみています。3月の利上げ予想するうえでは、センチメントの改善がハードな数字、具体的には来週末の2月の雇用統計、特に「平均時給や労働生産性」にどう表れるのか、こういった点を見極める必要があると考えています。
 

【NY証券取引所中継】「5G」に期待
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏

--久々に目が覚める上昇でしたね。

そうですね。ニューヨーク株式市場は上昇しました。前日夜のトランプ大統領による演説の内容や、連銀関係者のタカ派のコメントを受けて、利上げ観測が広がり、金融セクターの上昇が目立った1日となりました。

--ネット環境がさらに進化する見通しのようですね。

毎年この時期にスペインのバルセロナで開催されているモバイル・ワールド・コングレスにおける今年の話題は、無線ネットワークの次世代規格「5G」でした。「5G」はなんと既存の「4G LTE」の約100倍の通信速度と言われています。
(フリップ:高画質の映画ダウンロード速度)
例えばこれまでの「4G LTE」では30秒ほどかかっていた高画質の映画のダウンロードが、1秒ほどで可能となるくらいの速さです。早ければ2019年にも無線ネットワークの世界標準となると言われています。

--もちろん企業も力を入れているわけですよね。

そうですね。インテルやAT&Tなど、多くの企業が5Gの研究そして開発に取り組んでいます。また通信用の半導体を手掛けるクアルコムは「5Gが人間社会に“電気の発明”と同じ規模のインパクトを与える」との見通しを示しています。現在、先進国の多くで普及が進んでいる「4G LTE」がデビューしたのは6年以上も前ですから、この次世代規格に対する期待は大きいようです。尤も周波数などの企画がまだ定まっていないという懸念もあります。

--なるほど、もちろん経済へのインパクトも大きそうですね。

そうですね。ある調査会社は2035年には世界のGDPを12.3兆ドルほど押し上げる効果があると予想しています。これは2016年のアメリカの個人消費に匹敵する額なんですね。今後、モノのインターネット(IoT)や自動運転車の開発などにおいては、「大量のデータをいかに早く送信するか」が焦点となってきますので、「5G」の普及は、今後こういった技術の進歩を大きく左右する重要なカギとなることが予想されています。
 

【為替見通し】注目ポイントは「米2年債利回りと株式相場」
解説は三菱東京UFJ銀行の内田稔氏

--NY市場はドル高が進みましたね。

そうですね。米国債の利回り上昇を受けたドル高と、堅調な欧米株を受けた円安により、ドル/円は一時114円台を記録しました。

--今日の予想レンジは、113.20~114.40円です。

トランプ大統領の演説を無難に通過し、市場の焦点は3月中旬に控える予算教書やFOMCに集まって来ました。特に足下で急速に3月の利上げに対する織り込み度合いが高まっており、本日は日本株の堅調推移も見込まれる中、ドル円もしっかりと推移しそうです。

--注目ポイントは「米2年債利回りと株式相場」です。

(フリップ:大統領選後の最高水準、上回る)
そうですね。アメリカの金融政策も敏感に織り込む2年債の利回りが、大統領選後の最高水準を超えてきました。但し、このままドル円が日米金利差拡大にどう反応するかは、米国の株式相場次第と言えます。例えば3月の利上げは米経済が好調である証拠であるとポジティブに受け取られ、米国株式相場が堅調さを維持するのであれば、ドル円は金利差拡大で素直に反応し、上昇すると考えられます。一方、年2回程度の利上げしか見ていなかった株式相場が、利上げペースの加速であるとか、その後のバランスシート縮小、こういったものを念頭に不安定化すると、株安円高との可能性も浮上します。本日からまた多くのFOMCメンバーの発言機会を控えていますが、発言の内容のほか、2年債の利回りと株式相場の動向に注目が必要です。

【日本株見通し】注目ポイントは「春の株高開始」
解説は大和証券の木野内栄治氏
 
--きょうの予想レンジは、19500~19800円です。

本日は好調な経済指標に裏付けられましたアメリカの大幅高やドル堅調ですから、日本株には申し分ない投資環境です。ブレイナードFRB理事が東京寄り前にお話をされますので、為替の動きを確認する必要はありますが、本日、日本株は年初来高値を上っ離れる可能性が出てきていると思います。

--注目ポイントは「春の株高開始」です。

(フリップ1:3月相場入りの第一週は?)
昨日、3月相場入りとなりました。そこで過去の3月相場入りをした週の日本市場を見ますと、外国人買いと日経平均の上昇が続いていることが分かります。アメリカ株には「5月に株を売れ」と言われる季節性がありますが、今の時期から5月にかけては株高の季節性があるということです。背景は例年2月から始まる巨額な税還付金なんですが、このアメリカの良好な資金需給やアメリカの株高の恩恵が、そろそろ日本株に及んでくる時期が今週なんだというふうに見ています。

--そうですか、ただ一方で年度末ということを考えると、国内機関投資家を中心に決算に向けた売りも出る時期ではありませんか。

そうなんですね。今年は国内金融機関がここ2週間ほど売り越しを続けています。しかし例年こうした決算対策の売却圧力というのは、年度末の3月末までぎりぎり続く、こういうことはほとんど無くて、遅くとも来週SQまでには終わるということが多いです。
(フリップ2:3月に入り上値軽く)
昨年の例で日経平均を見てみますと、国内投資家の買いで、3月に入ると急に上値が軽くなりました。今年の国内需給もそろそろ改善しまして、日本株の出遅れ修正、上っ離れ、これが期待できる時期を迎えたというふうに考えています。
 



■【プロの眼】米仕事奪うのは移民?ロボット?
アメリカで仕事を奪うのは移民かロボットか。トランプ政権は不法移民だとして移民に制限をかけ、街では不法移民の摘発も始まった。その一方で仕事を奪うのはロボットだとの議論もIT業界では台頭している。一部ではロボットにも所得税を課すべきかということが真剣に議論されているという。解説は東短リサーチの加藤出氏。

--さて「アメリカで仕事を奪うのは移民か、それともロボットか」ということで、これはもちろん今、不法移民が仕事を奪っているとして、トランプ政権が移民に制限をかけていますが、加藤さんは実際につい最近までアメリカに行っていて、街の様子の実感は・・・?

「なんか大騒ぎになっていて、不法移民の摘発、強制送還がかなり大規模に始まっていて、特にヒスパニック系の人が車を運転していると、警官が尋問をして『免許を持っているか』と・・・、無免許だと分かると犯罪者だということで強制送還みたいなことになるので、極力、車に乗らず、あるいは家に籠っている傾向が出ちゃっているような、ちょっと戦々恐々としたムードになっていますね。ただ問題なのは、農業とか建設業とか、メキシコからの人達がいないと、もう成り立たない産業もいっぱいありますので、やっぱりやりすぎると経済成長に打撃を及ぼすという、そのバランスの問題になってきていますね。」

--そうですね。それに昨日も番組でお伝えしましたが、シリコンバレーなどでの高技能移民の問題になってきていると・・・。

「そうですね。ITエンジニアに発給するH-1Bビザを制限されちゃうと、インドなどからエンジニアを連れて来れなくなりますので、そこはシリコンバレーにとって大問題ですが、逆にシリコンバレーとしては論点・争点を変えたいみたいで、『むしろ問題なのはロボットじゃないか』、みたいな議論が盛んに出てきていますね。」

--それは仕事を奪うという観点でですか。

(フリップ1:ロボットが仕事を奪う?)
「そうですね。先週、アメリカでもすごく話題になっていましたが、ビルゲイツが、これからロボットに仕事を奪われちゃって、収入が無くなる人がいっぱい出てくるから、所得税を政府がかけられなくなるから、ロボットに課税をしないとということが、冗談じゃなくて真剣にそういう議論がずいぶん出ていましたね。」

--イーロン・マスク氏も「近い将来ベーシックインカム必須に」と・・・。

「これもITに仕事を奪われる人がいっぱい出てくるので、お金を国民に配る。『生活コストを賄うお金をみんなに配っっちゃえというベーシックインカムという議論がないと、消費者がいなくなっちゃうぞ』、というような議論もありますね。」

--これは日本にいるとそれほど感じないんですけど、そこまで脅威に思っているんですか。

「そうですね。私も先週、食事したエコノミストが、ロボット課税の話を真剣に議論するので、それは今の議論なのかと思ってビックリしたんですけれども、確かに身の回りのIT環境の変化がアメリカは早いので、生活実感としてそういう話がすぐに出てくるようです。」

(フリップ2:全自動のロボット化したレストラン)

「例えばこの写真は最近、ニューヨークにもできたんですけれども、全自動のロボット化したレストランで、タブレットで注文すると、棚に名前入りでサラダが出てきたりするんですが、これがすごいスピーディで結構、流行っているんです。そしてこれは全然人がいないわけです。オートマチックでして、ちょっとSFっぽい感じで、ここの会社の求人募集も、シェフとかウェイター、ウェイトレスの募集はあまり見られなくて、専らコンピュータープログラミングの募集ばっかりなんですが、そうするとある種の先駆け的な感じですけれども、今後そうなって行きやすいんでしょうね。」

--これはそうなると、他人ごとではなくて、日本もある程度そういう先々を見据えた教育や投資が必要になってきますか。

「人手不足の日本ですから、こういう方向で行くべきですが、ただどんどん進んでいくと、本当にプログラミング技術のない人は仕事がなくなるという現実が出てきますから、やっぱりいかに若い時から、および中高年もコンピューター教育をやっていかないと、第3次IT革命に勝ち残れないという深刻な問題になってきますね。」


■【ワードバンク】労働生産性
経済の旬な言葉を解説するモーサテワードバンク。今回のキーワードは労働生産性です。国際比較などマクロ経済を分析するのによく利用される経済指標ですが、官民を挙げての働き方改革が推進される中で、最近ではあ企業の労働生産性に注目が集まっています。この労働生産性をいかに上げていくかで今後の企業の業績を左右するといいます。

《佐々木キャスター、森田キャスター》

--(森田) 労働生産性は、働き方改革が推進される中、カギとされる言葉です。労働生産性とは、労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを数値化したものです。

(フリップ1:労働生産性の数式)
数式にすると、
労働生産量=生産量(GDP)/労働投入(就業者数や労働時間)
となります。

(フリップ2:労働生産性のランキング)
労働生産性国別ランキング(OECD加盟国)
 1位 アイルランド
 2位 ルクセンブルク
 3位 米国
 4位 ノルウェー
 5位 スイス
21位 ギリシャ
22位 日本

--(佐々木) あらためてランキングを見てみると、日本はいま22位で、ヨーロッパ危機の中心になっていたギリシャよりも低いということですか。

--(森田) ギリシャというのは失業率が高いので、分母の労働投入が少ないという要因があると考えられます。また1位のアイルランドは、法人税率が低いため、海外の企業が本社機能を移転するケースが増えていて、分子の生産量が増えたと指摘されています。そして一方、最近では企業別の労働生産性も重視され始めています。
SMBC日興証券は先月、時価総額500億円以上の企業を対象に、労働生産性を計算。業種平均よりも高い企業をリストアップしました。

《SMBC日興証券/圷正嗣氏》
「労働生産性というのは、一般的にマクロ経済を分析する時の考え方ですけども、ただそうすると株式市場への影響という意味では、いまいち分からないことがありました。ですから個別銘柄でどういったふうに労働生産性が動いているのか、そしてパフォーマンスはどう動いているのか、それを見ることによって、株へのインプリケーション(関連性)を考えてみようというのが今回の趣旨です。」

(フリップ3:労働生産性が高い企業上位10社(業界平均比))
1位ファナック、2位富士重工、3位カカクコム、4位日本オラクル、5位NTTドコモ、6位ディスコ、7位ジャムコ、8位住友金属鉱山、9位日産化学工業、10位カルビー

--(森田) 生産の自動化を進める電気機器メーカーのファナックや、残業時間が短いほど賃金の割増率を高めている精密機器メーカーのディスコ、成果主義を徹底するカルビーなどがランクインしています。こうした企業の株価のパフォーマンスを見ると、あるトレンドが分かったと言います。

(フリップ4:2012年後半から株式市場の評価↑)
《SMBC日興証券/圷正嗣氏》
「ちょうど2012年後半ごろから労働生産性の高い銘柄の高パフォーマンスがより顕著になっているんですけれども、これは短観の雇用判断DIの上昇が一層顕著になってきたからです。つまり人手が2012年後半から足りなくなる中では、労働生産性の高低によって、業績の格差が生じやすくなって、それが株式市場での評価に表れやすくなった。」

--(佐々木) そうなんですね。今後も人手不足は続くし、働き方改革で残業時間が抑えられていきますから、やはりこういう企業の労働生産性というのが投資材料になるということですね。

--(森田) はい、そうですね、そして企業側は、自社の労働生産性を理解して、経営戦略につなげていく必要がありますけれども、そこにビジネスチャンスを見出す企業、これを取材しました。

人材サービスと展開するITベンチャー企業「ビズリーチ」(東京・渋谷区)。勤務時間や給与といった人事機能をクラウド上で管理できるサービス「ハーモス」を去年、発表しました。ビズリーチは、現在、このサービスに新しく加える労働生産性を見える化するシステムを開発中です。

労働生産性を図る一つの方法として、常に持ち歩くスマホから社員の行動情報を集めます。単純な行動時間だけでなく、歩いて移動したのか、車なのか、電車なのか、といった情報まで、スマホで検知し、労働生産性の分析に生かそうとしています。一方、管理部門やクリエイティブといった生産量が分かりづらかった部署でも、見える化を進めたいと言います。

(フリップ5:人事部向けシステム)
既に人事部向けに取り入れられているシステム。縦軸は内定承諾件数、横軸が辞退件数を表しています。左上に位置するほど内定が多く辞退が少ない、生産性の高い採用担当者を表し、右下ほど低いと一目で分かります。中途採用がメインのベンチャー企業では、採用担当者は人材を口説く力が求められています。

最終的には各企業・各部署・社員ごとの労働生産性を見える化し、一元管理をできるサービスの提供を目指しています。

《ビズリーチ、チーフプロダクトオフィサー/竹内真取締役》
「たくさんの会社から労働生産性を可視化して、企業の生産活動に?げていきたいという要望をたくさんいただいておりますので、今までは組織として戦っていたというのが、基本的なビジネスの考え方だと思うんですけれども、昨今、特にテクノロジーの業界ではすごく顕著だとは思うんですけれども、この人1人、この少人数のチームで、どこまでレバレッジが効いた成果を出せるのか、というところに非常に強い注目を帯びているように感じます。」

--(佐々木) 今まで曖昧だったものをデータ化して、それを分析していくということですよね。労働生産性にまつわるいろんな事業展開は今後も広がっていきそうです。
 

■日経朝特急

ヤマト、残業1割削減
宅配便の便利さの追求に限界が迫っている。ヤマト運輸はきのう従業員の労働環境の改善を目指し、来年度の残業時間を今年度と比べて、1割減らす方針を固めた。日本流のきめ細かなサービスが労働負荷を高めているため、事業のあり方を抜本的に見直す。荷受けの総量を抑制する値上げや配達の時間帯指定の廃止を検討する。一方で、消費者への影響を抑える手法も探る。
 

素材大手が働き方改革
JFEスチールは4月、社員1人1人が定時退社日を決められる新制度を導入する。1週間に1回以上、課長など管理職と相談して定時退社日を決め、残業をしない。また三菱ケミカルホールディングスは会議の半減に取り組む。素材メーカーは産業界の要で多くの取引先を持つため、他社の働き方にも影響を与えそうだ。
 

「ちょい乗り」に効果
1月末に始めたタクシーの初乗り運賃引き下げで、大手3社の短距離の利用が増えたことが分かった。2kmまでの利用回数が前年比で国際自動車は2割、大和自動車交通は15%それぞれ増えた。「ちょい乗り」需要の開拓に一定の効果があったと言えそうだ。
 

東洋ゴム「非自動車」売却へ
東洋ゴム工業は、建材や産業用資材などの非自動車を売却する方針を固めた。売却額は100億円を超えるとみられる。東洋ゴムは建物の揺れを防ぐ免震ゴムの品質偽装問題で、合計1100億円を超える特別損失を計上し、去年12月期は最終赤字に転落した。
 

■日刊モーサテジャーナル

トランプ大統領の議会演説「大統領らしく振る舞った」
アメリカの新聞各紙の一面はやはりトランプ大統領の議会演説。大統領に対して辛口の新聞も含め、「大統領らしく振る舞って、これまでとは違う姿を見せた」、と高く評価している。今回の演説について各紙は、「就任式とは違って前向きで、アメリカの一致団結を呼びかけた」、と解説。
NYタイムズは、「トレードマークの真っ赤なネクタイではなく、青と白のストライプのネクタイを締めたトランプ大統領は、用意された原稿をきちんと読み、少なくとも1時間は自制心を保つことができた」、と指摘。「“すぐに誰かをクビにする上司”といった感じではなく、“株主を説得するCEO”といった雰囲気を醸し出していた」、としている。
ただ各紙とも政策の具体策が出なかったことに批判的。ウォールストリートジャーナルは、「税制改革について一般論から抜け出せず、減税の方法などで紛糾している議会をまとめるには不十分」、と失望感を示している。
 

3月は重要イベント続く、米債務上限にも注意を
マーケットに強気のムードが漂う中、フィナンシャルタイムズは、「3月は重要イベントが目白押しで気が抜けない」、と報じている。10日はアメリカの雇用統計、15日はFOMCとオランダの総選挙、31日までにイギリスがEU離脱をヨーロッパ委員会に通知する見通しだ。さらにワシントンポストが警戒しているのは、アメリカ政府の債務上限引き上げ問題である。「期限の15日までにトランプ大統領と議会がまとまれない可能性もある」、と報じている。記事は、「インフラや国防費などで歳出が拡大する一方で、大型減税を約束するトランプ大統領の方針は、緊縮財政を重視する共和党の伝統的な考え方とは相反するものだ」、と指摘。今のところ、ムニューシン財務長官も、期限後もしばらく借り入れを続けられるよう、臨時の財政措置を適用するとみられるが、記事は、「共和党議員が協力するとは言い切れず、不透明感が漂う」、と見ている。
 

米資産効果で超高級車が絶好調(ウォールストリートジャーナル)
株価の上昇が続く中、超高級自動車市場がその恩恵を受けている。アメリカの大統領選挙が行われた去年11月から今年1月までの販売台数は前年比で、マセラティとロールスロイスは40%以上、フェラーリも30%近く増えている。記事は、「株価上昇による資産効果が現れている」、と分析している。超高級車メーカーの北米担当者に聞くと、「例年1月は休暇明けで、売れ行きは良くないが、今年は違った」、という。株価の上昇が続くと、こうした高額消費もまだまだ堅調に推移する可能性が高いと言えそうだ。
 

・ FRB幹部の発言に注目、今月の利上げはあるか?

--(「米資産効果で超高級車が絶好調」を受けて、)これはやはり金余りという今の状況がありますね。

《東短リサーチ/加藤出氏》
「やっぱり基本的には低金利の中で、お金が余っているということなんだと思いますので、FRBは必ずしも3月と言うつもりはなかったかもしれませんが、これだけ盛り上げってきちゃいますと、3月の可能性も雇用統計次第で十分、利上げが出てきたなということだと思います。」

--この織り込みが進むというのは、今の状況にとって、FRBにとってはいいことですか。

「ええ、あんまり行き過ぎると、やらないわけにはいかなくなっちゃうんで、バランスがあるんでしょうけれども、ただ確率はいま相当高くなっていると思います。」


■今日の予定

2月マネタリーベース
ユーロ圏2月消費者物価指数
ユーロ圏1月失業率
カナダ16年10-12月期GDP
米決算(コストコ、アバクロ)
 

■ニュース

ISM製造業指数 2年半ぶり高水準
アメリカの製造業の景況感を見る上で注目される2月のISM製造業景気指数は2年半ぶりの高い水準となりました。総合指数は57.7と、前の月に比べ1.7ポイント上昇し、市場予想を上回りました。好不況の境目である「50」を6ヵ月連続で上回っています。項目別では「生産」「新規受注」などがプラスとなった一方、「雇用」などが低下しました。また、調査対象の全18業種のうち、「家具」を除く17業種が「活動を拡大している」と回答しました。
《2月ISM製造業景気指数》
・ 総合指数57.7(前月比↑1.7、市場予想は56.0)
・ 項目別:新規受注↑4.7、生産↑1.5、雇用↓1.9
 

米個人消費支出↑0.2% やや減速
アメリカの1月の個人消費支出は、前の月から0.2%上昇したものの、伸びが大きかった12月からやや減速した形となりました。内訳をみると、ガソリン価格の上昇を背景に非耐久財が伸びたものの、自動車購入の減速などから耐久財は減少、サービスは横ばいでした。一方、FRB=連邦準備制度理事会が物価指標として重視する個人消費支出物価指数は、1年前に比べ1.9%上昇し、前年比としては4年3ヵ月ぶりの大きな伸びとなりました。
・ 内訳:非耐久財↑1.0%、耐久財↓0.3%、サービス横ばい
 

地区連銀経済報告 「アメリカ経済は緩やかに拡大」
FRB=連邦準備制度理事会は1日、地区連銀経済報告を公表し、1月初旬から2月中旬にかけアメリカ経済は緩やかに拡大している、との見方を示しました。報告によりますと、労働市場は需給が引き締まった状態で、いくつかの地区では人手が足りない状況が広がりました。また、賃金は大半の地区で緩やかに増加しました。
 

米新車販売↓1% 年率換算1,758万台
1日に発表されたアメリカの2月の新車販売台数は年率換算で1,758万台、1年前に比べおよそ1%減りました。アメリカ勢のうち、GM=ゼネラルモーターズは「シボレー」や大型車中心の「GMC」が好調だったことを背景に、4%あまり増加しましたが、フォードは4%、FCA・USは10%、それぞれ減少しました。日本勢はトヨタが7.2%のマイナス、でしたが、日産とホンダは販売台数を伸ばしました。
・ GM(ゼネラルモーターズ)↑4.2%、フォード↓4%、FCA・US↓10%
・ トヨタ↓7.2%、日産↑3.7%、ホンダ↑2.3%。
 

「売り手市場」続く 就職活動 本格スタート
来年春に卒業を予定する大学生らに対する会社説明会がきのう解禁され、今年の就職活動が本格的にスタートしました。きのう開かれた企業の合同就職説明会には、様々な業種から、およそ40の企業が参加、1,200人の学生が訪れました。企業の面接や筆記試験などが解禁される6月1日以降には、事実上の内定が出る見通しで、学生には3ヵ月間の「短期決戦」となります。ただ、人手不足を背景に、企業の採用意欲が強く、今年は、去年に引き続き学生が優位の「売り手市場」になる見通しです。
 

鴻海会長 東芝半導体出資に強い意欲
シャープを傘下に持つ台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長は、分社化が決まっている東芝の半導体メモリー事業への出資に強い意欲を示しました。
(鴻海精密工業・郭会長)
「鴻海は将来大量のメモリーが必要だ。東芝の獲得に自信がある」
会長はきのう、中国の広州で行われた液晶パネル工場の起工式に出席し、東芝の半導体メモリー事業について出資の可能性も含めて検討していることを明らかにしました。東芝は、アメリカの原発事業で生じる巨額の損失の穴埋めに半導体メモリー事業を売却する方針ですが、出資には鴻海のほか、アメリカの半導体大手、ウエスタンデジタルなど数社が名乗りを上げています。
(鴻海精密工業・郭会長)
「金額についてはいくら出せば合理的か答えられない。ライバルも多い。東芝に協力し、その技術を日本に残しつつ、全世界で商品を売っていく」
 

富士通 談合で社長ら7人処分
富士通は、東京電力と中部電力向けの電力保安通信用機器の納入で談合を繰り返していた問題で、関係役員の報酬を減額すると発表しました。田中達也社長ら7人が対象で、最大で月額報酬の30%を3ヵ月間減額します。富士通は、「早期の信頼回復を目指して再発防止の徹底に努める」としています。
 

中国2月製造業景況感が改善
中国国家統計局が発表した2月の製造業PMI=購買担当者景気指数は前の月に比べ0.3ポイント上昇の、51.6でした。好況不況の分かれ目となる50を7ヵ月連続で上回りました。政府による公共事業の拡大で景気は持ち直しの傾向が続いています。企業の規模別では、大企業の景況感が改善した一方、中規模企業は悪化しました。小規模企業は横ばいでした。
・ 中国2月製造業PMI(購買担当者景気指数) 51.6(前月比↑0.3)
・ 大規模↑0.6、中規模↓0.3、小規模変わらず
 

米家電量販店ベストバイ 減収増益
アメリカの家電量販店大手ベストバイの去年11月から今年1月期の決算は減収増益となりました。増収を見込んでいた市場予想に反して売上高は1年前と比べて1%減少しました。アメリカ国内でのタブレット端末やゲーム機器、ウエアラブル端末などの販売不調が響いたとしています。決算発表を受け、ベストバイの株価は一時、およそ5%下落しました。
《ベストバイ 11-1月期決算(前年比)》
売上高  134億8200万ドル(-1%)
純利益    6億 700万ドル(+27%)
1株利益    1ドル95セント(予想を上回る)
 

両陛下 ベトナム国家主席の晩さん会出席
国賓としてベトナムを公式訪問している天皇、皇后両陛下は、国家主席夫妻が主催する晩さん会に出席されました。晩さん会にはおよそ90人が出席し天皇陛下は5分以上に渡って元気に挨拶をされました。晩さん会の冒頭では、天皇陛下が両国の友好について、スピーチされました。晩さん会の後半には、音楽プロデューサーの小室哲哉さんが現地の盲学校に通う子供達と童話の「赤とんぼ」など日本とベトナムの両国の音楽を演奏し、友好ムードを盛り上げました。両陛下はきょうは、終戦後も現地に一時残りベトナム独立運動に加わった元日本兵の家族らと面会されます。
 

森友学園理事長 自民・鴻池氏に陳情
自民党の鴻池元防災担当大臣は、国有地を格安で取得した学校法人「森友学園」の籠池理事長夫妻から土地の売買をめぐり3年前に陳情を受けていたことを明らかにしました。籠池夫妻からお金のようなものが入った封筒を渡され、「これでお願いします」と依頼されたものの、断ったということです。また、学園側から合計20万円の献金を受けていたことも明らかにし、返金する考えを示しました。
 

■【コメンテーター】東短リサーチ/加藤出氏

・ トランプ大統領の議会演説、税制改革は遅れる?

--トランプ大統領の演説は、マーケットは好感していますが、加藤さんはどう見ますか。

「かなり戦略的にソフトなイメージを出して、攻撃性を抑えたということで、不安を感じている人達に対してアピールしたということなんでしょうね。」

--ただ具体策、驚くような税制というのも出てこなかったわけですし、何時までマーケットの期待をつなげるか。実際、日曜日までアメリカに行っていた加藤さん、どう感じられますか。

「主要官庁の幹部クラスの官僚がまだ全然決まっていないということで、そうするとそこが固まらないと野心的な税制改革というのも、いろんな擦り合わせができないので、『これは相当時間がかかるのではないか』、とワシントンでは言われていて、『ムニューチン財務長官が言うよりもっと時間がかかるのではないか』、という見方も多いようですので、なおさらやっぱり今回はソフトな印象で、ハードなクレイジーな印象を弱めようという、そういう戦略だったんでしょうが、本質的な部分は変わってないと思うんですけどね。」
 

・ 今日の経済視点 「USAか、“DSA”か?」

「『ユナイティド・ステイツ・アメリカ』か、『ディバイディド・ステイツ・アメリカ』か、みたいな議論が、アメリカでありまして、トランプ氏の1月20日以降のやり方だと、アメリカがどんどん分断してしまうという心配があったわけですけれども、そういう意味で一昨日のスピーチがひとまず穏当な口調なので、ちょっとほっとしたというのもあるんだと思うんですが、ただ本質的にはトランプ氏が変わったわけではないでしょうから、今後も時々『そんなことをやっちゃうの?』というのがやっぱり出てくるでしょうからね。」

--そうですね。ただこれも1つの戦略というか、失望させてまた希望を持たせて、ということで実はあまり何も変わっていないのではないか。

「そうですね。やっぱり分断状況が深刻で、非常に批判する人たちがいるかと思うと、ワシントンのトランプホテルに行ってみたんですけど、ケーキセットが55ドルもするんですね。それなのにいっぱい人がいて、食べてましたね。トランプをも消させるのもしゃくなので、私は食べませんでしたけど、白人ばっかりなんですよ。」

--そこを修復できるかというのは重い課題ですね。