(東洋経済オンライン)
『 9月11日、「船の科学館」(品川区)の敷地内に開設されていたプレハブ施設で、コロナ患者への治療が始まった。医師の往診による診察で、酸素投与や点滴を行う。往診で治療を実施する宿泊療養施設は、都内で初となる。
■病床不足に臨時施設は不可欠
「8月中に運用が始まる予定だったが、都の調整が難航していた」
そう話すのはこの施設を開設した日本財団の担当者だ。日本財団が、船の科学館の駐車場にプレハブ施設を設置したのは、2020年7月。10月には東京都に引き渡され、軽症者を受け入れる宿泊療養施設として運用されていた。
感染者が急増した今年8月、周辺の医療機関からの要望でプレハブ施設の一部を医療施設として運用する話が持ち上がった。
感染者は減少しているものの、重症者用の病床使用率(厚生労働省の基準)はいまだに90%を超えておりまったく余裕がない。それにより、重症用以外の病床も不足する事態を招いている。
中等症・軽症患者の受け入れ医療機関である「東京曳舟病院」(墨田区)では、コロナ患者向けに最大18床を確保しているが、13~15床ほどの稼働が限界だという。その理由について、三浦邦久副院長はこう話す。
「重症化しても、重症者に対応する病院が満床状態のため転送できない。重症者も自院で治療し続けるしかなく、その分人手がかかる。今いる患者が重症化したときにも備えると、余力を残しておかなければならない」
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患者受け入れが遅れた理由は、大きく2つある。1つは施設への受け入れ基準だ。
「どれくらいの血中酸素濃度ならコロナの感染者を受け入れるか。症状が再び悪化した場合はどうするのか。こうした受け入れに当たっての基準やマニュアル作りに、当初想定していたより時間がかかっていた」(日本財団の担当者)
もう1つの理由は、医療スタッフの確保だ。軽症者向けの宿泊療養施設としての運用では、医師1人、看護師が4~5人で対応していた。だが、酸素濃縮器を導入し、回復中の患者の経過観察をするとなると、さらにスタッフ数が必要だった。
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コロナ感染者の急増を受けて、厚生労働省と東京都が都内の医療機関に医師や看護師の派遣を要請したのは、8月23日のことだ。
自宅療養者の数は8月下旬にピークだった。7月31日時点で自宅療養者の数は1万人を超え、1カ月前に比べ10倍ほどに膨れ上がっていた。その数が最大になったのは、8月21日の2万6000人だ。』
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回復中の患者を受け入れる病院は是非とも必要だと思っていたが、やっと東京都でもプレハブ施設37床ができたようで、良かったです。でも病床数があまりにも少なすぎるような。