2009年・ニュージーランド/アメリカ・The Lovely Bones
監督:ピーター・ジャクソン
(IMDb:6.7 Metacritic:42 Rotten:32)
公式HP
「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」のピーター・ジャクソン監督作品。
最初にスチールや予告編を見たときはなぜ、これをピーター・ジャクソン監督が、と頭を
捻ってしまったのだが、実際に本編を見てみると、ピーター・ジャクソン監督らしい
ある種の悪趣味さにまみれていて、ホッとした。
この作品の面白さをグラフで表すと、綺麗なⅤ字が出来上がるだろう。
シアーシャ・ローナン演じるスージーが殺されるまでの序盤。
そして、妹のリンジーがアカデミー賞候補にもなったスタンリー・トゥイッチ演じるハーヴィの家へと侵入
してからの終盤が素晴らしい。
一方で、中盤は天国と現実の狭間の描写が、軽薄なCG以外の何者でもないために、表面的な美しさにとどまっていて、
画的な魅力に乏しいことや、スージーなき家族のドラマがスーザン・サランドラン演じる祖母が
ハチャメチャな家事で暴れるだけで、あまり盛り上がらないのも問題点である。
唯一、観客の目を覚まさせるのが、カメラ屋で8㎜を回す監督のカメオ出演だけと言うのはあまりにもさびしい。
(その前にショッピングモールの本屋で「指輪物語」が登場。笑った)
135分と言う長さが中だるみの原因であるは間違いないが、
それだけ、序盤と終盤が魅力的であるともいえる。
「私は殺された」という主人公の衝撃的なナレーションからこの作品は始まり、一気に引き付けられた。
後にも何度となく、ナレーションは登場するのだが、シアーシャ・ローナンはとにかく上手い。
日本人が英語で聞いて上手いと思うのだから、余程上手いのだろう。
もちろん、演技も素晴らしい。
この作品の魅力の多くはキャスティングにあって、シアーシャ・ローナン、スタンリー・トゥイッチを
はじめ、マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、スーザン・サランドンら皆、とにかく上手い。
マーク・ウォールバーグがこんなに魅力的に見えたのは初めてだ。弱い父親役と言うのが似合っている。
告白からトウモロコシ畑での惨劇への流れるような展開。
それまでの楽しげな音楽がプツリと消え、不気味な静寂が広がる。
そして、逃げ出すスージーというアクションへの転換。
この地下室に入ってからのサスペンスには本当にドキドキさせられた。
サスペンスといえば、妹のリンジーがハーヴィの家へと侵入するシーンも見事だ。
サスペンスを生み出すのが、ただの床板というのが、上手い。
そして、ここでも先と同じようにアクションへの息も詰まるような転換がなされている。
何よりもラスト・シーンが面白い。
あんなシーンを面白いと言えば、変態に思われるかもしれないが、映画的に面白いのだ。
初恋の相手とのキスを遂げるスージーとスージーの死体を捨てるハーヴィのカットバック。
非常に悪趣味だが、とても強烈で、印象的なラブシーンだった。
この「ラブリーボーン」、長い割にはどうも総集編のような趣がある。
おそらく、脚本段階、撮影段階では、原作に忠実な展開、ストーリーテリングだったのが、
編集段階で大幅にピーター・ジャクソン印に変更されたのだろう。
中盤は特にシーンの切り貼り感が強く、物語が上手く流れていなかった。
また、エンド・ロールは地獄のように長く、おそらく10分近くあったので、ブライアン・イーノ
の音楽を堪能するしかないという不思議な空間が映画館内に広がった。
〈75点〉
監督:ピーター・ジャクソン
(IMDb:6.7 Metacritic:42 Rotten:32)
公式HP
「ロード・オブ・ザ・リング」「キング・コング」のピーター・ジャクソン監督作品。
最初にスチールや予告編を見たときはなぜ、これをピーター・ジャクソン監督が、と頭を
捻ってしまったのだが、実際に本編を見てみると、ピーター・ジャクソン監督らしい
ある種の悪趣味さにまみれていて、ホッとした。
この作品の面白さをグラフで表すと、綺麗なⅤ字が出来上がるだろう。
シアーシャ・ローナン演じるスージーが殺されるまでの序盤。
そして、妹のリンジーがアカデミー賞候補にもなったスタンリー・トゥイッチ演じるハーヴィの家へと侵入
してからの終盤が素晴らしい。
一方で、中盤は天国と現実の狭間の描写が、軽薄なCG以外の何者でもないために、表面的な美しさにとどまっていて、
画的な魅力に乏しいことや、スージーなき家族のドラマがスーザン・サランドラン演じる祖母が
ハチャメチャな家事で暴れるだけで、あまり盛り上がらないのも問題点である。
唯一、観客の目を覚まさせるのが、カメラ屋で8㎜を回す監督のカメオ出演だけと言うのはあまりにもさびしい。
(その前にショッピングモールの本屋で「指輪物語」が登場。笑った)
135分と言う長さが中だるみの原因であるは間違いないが、
それだけ、序盤と終盤が魅力的であるともいえる。
「私は殺された」という主人公の衝撃的なナレーションからこの作品は始まり、一気に引き付けられた。
後にも何度となく、ナレーションは登場するのだが、シアーシャ・ローナンはとにかく上手い。
日本人が英語で聞いて上手いと思うのだから、余程上手いのだろう。
もちろん、演技も素晴らしい。
この作品の魅力の多くはキャスティングにあって、シアーシャ・ローナン、スタンリー・トゥイッチを
はじめ、マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、スーザン・サランドンら皆、とにかく上手い。
マーク・ウォールバーグがこんなに魅力的に見えたのは初めてだ。弱い父親役と言うのが似合っている。
告白からトウモロコシ畑での惨劇への流れるような展開。
それまでの楽しげな音楽がプツリと消え、不気味な静寂が広がる。
そして、逃げ出すスージーというアクションへの転換。
この地下室に入ってからのサスペンスには本当にドキドキさせられた。
サスペンスといえば、妹のリンジーがハーヴィの家へと侵入するシーンも見事だ。
サスペンスを生み出すのが、ただの床板というのが、上手い。
そして、ここでも先と同じようにアクションへの息も詰まるような転換がなされている。
何よりもラスト・シーンが面白い。
あんなシーンを面白いと言えば、変態に思われるかもしれないが、映画的に面白いのだ。
初恋の相手とのキスを遂げるスージーとスージーの死体を捨てるハーヴィのカットバック。
非常に悪趣味だが、とても強烈で、印象的なラブシーンだった。
この「ラブリーボーン」、長い割にはどうも総集編のような趣がある。
おそらく、脚本段階、撮影段階では、原作に忠実な展開、ストーリーテリングだったのが、
編集段階で大幅にピーター・ジャクソン印に変更されたのだろう。
中盤は特にシーンの切り貼り感が強く、物語が上手く流れていなかった。
また、エンド・ロールは地獄のように長く、おそらく10分近くあったので、ブライアン・イーノ
の音楽を堪能するしかないという不思議な空間が映画館内に広がった。
〈75点〉