ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

Jew Suss - Rise and Fall

2010-02-28 22:03:40 | 映画(数字・アルファベット)
2010年・オーストリア、ドイツ・Jud Süß - Film ohne Gewissen
監督:オスカー・レーラー
(IMDb:4.0 Metacritic:× Rotten:×)

第60回ベルリン国際映画祭にて鑑賞。



「壁のあと」「アグネスと彼の兄弟」「素粒子」という作品(いずれも未見)の高評価により、
今、ドイツで最も注目を集めている映画監督の一人らしいオスカー・レーラーの新作。
本作の前評判と注目度は高く、前日にはテレビで特集が組まれているほどだったし、
かく言う僕もその番組を見て、見に行こうと決めた一人である。
当日の館内も僕が見たコンペ作品の中で一番の混雑だった。

しかし、残念ながら、「Jew Suss」はコンペティション部門の中で、最低の評価を得てしまった。
翌日の新聞の星取表でも見事、最下段にタイトルが刻まれていた。

確かに欠点は多いが、僕は嫌いではない。
少なくともブーイングを浴びせるほどの酷さではなかったと思う。
かといって、拍手をするほどでもなく、良い要素と悪い要素が半々ぐらいで混在している作品だ。



ストーリーは、ナチスのプロパガンダ映画「Jud Süß」(ユダヤ人ズュース)に出演せざるをえなくなった主演俳優の苦悩を描く。
1940年のドイツ。フェルディナンド・マリアンは、ファイト・ハーマン監督の
プロパガンダ映画「Jud Sus」(ユダヤ人ジュース)の主役に抜擢される。
彼の栄光は、この映画がベネチア国際映画祭でプレミア上映されるまで続くが、
その頃になって、彼もようやくこの映画の持っている社会的な意味や危険性を認識し始める。
彼の友人のユダヤ人たちは移民を始め、彼も、家族をユダヤ人の友人の別荘に隠すが、
家族はメイドの密告で見つかってしまう。彼は、自棄になって酒に溺れる。
しかし、その行為がまた非難の対象となり、ゲッペルスの不興を買って、妻が国外追放になってしまう。
チェコ人の愛人ブラスタももう彼を守ることはできない……。

というもの、成功していれば間違いなく大傑作になったであろう魅力的なプロットである。



この作品の評価するべきところはまず、その映像のクラシック映画のような様式的な美しさにあるだろう。
セット撮影を基調とした(実際、ロケ撮影が出てくるのは終幕15分前ほどになってからである)
モノクロ映画のような抑えた色調の映像は時代の雰囲気をよく表しており、見事だ。

また、主人公マリアン役のトビアス・モレッティとゲッペルスを演じたモーリッツ・ブライプトロイの演技が
素晴らしく、序盤から中盤にかけては、ほとんどこの二人の会話だけで構成されているので、
その演技合戦に圧倒される。

非常に舞台的な要素が強い作品だ。



しかし、この作品の欠点は上記のストーリーがほとんど語られていないという点にある。
観客が期待するマリアンのプロパガンダ映画「Jud Sus」に出演したことによって、兵士や国民の
戦意を向上させ、多くのユダヤ人犠牲者を出していることへの苦悩は劇中、ほとんど描かれない。
代わりに、マリアンが「Jud Sus」に出演するかどうかで悩み、ゲッペルスに説得されるシーンが延々と続く。
はっきり言って、“逃げ”だと受け取られても仕方がない。
また、マリアンの恋愛事情もどうでもいい割に、比較的丁寧に描かれており、
2度も登場するベッドシーンはあまりの演出過多ぶりに失笑が漏れるほどであった。

マリアンの苦悩はカメラがセット撮影から始めて開放されたドイツ軍キャンプでの
「Jud Sus」の上映会のシーンで、ほとんど初めてしっかりと描かれ、その約15分後、
映画はマリアンの突然の自殺を持って、終幕する。
マリアンの葛藤がほとんど見出せないために、マリアンの自殺があまりにも突然に感じられ、唖然とさせられる。
もっと早い段階から、マリアンの映画出演後の葛藤を丁寧に描写していれば、
登場人物の感情に観客が寄り添うことのできる傑作にもなりえただけに、非常にもったいない。
監督がマリアンの描き方を見誤ったとしか言いようがない。

〈65点〉

2010年 注目!の作品 vol.4

2010-02-28 18:45:02 | 映画全般
2010年もあと10ヶ月となったところで、遅ればせながら、2010年注目のホラー映画です。
遅すぎて、どうでもいい?そんな固いこと言わないでください!

(期待度★~★★★★★)

「ホラー映画編」

「パラノーマル・アクティビティ」(1/30)★★★
制作費150万円で、まさかの大ヒット。スピルバーグ大絶賛。
しかし、本作よりも気になるのは続編の行方。
ブライアン・デ・パルマ、ブラッド・アンダーソンらが候補になる面白い展開。
「ブレアウィッチ2」のような結果にはしたくないはず。

「処刑山/デッド・スノウ」(2/13)★★★



ノルウェー産ナチス・ゾンビ映画。
ヴィジュアル的にもかっこいい上、実はコメディ系のスプラッターらしい。
評判がいいようだが、関西での公開は未定。

「渇き」(2/27)★★★
復讐三部作で知られるパク・チャヌク監督のヴァンパイアになった神父が主人公の異色ラブストーリー。
2009年カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞。
性描写が話題となり、全世界ではR18指定で公開。ただし、日本ではボカシありのR15指定になる模様。
わざわざボカシを入れても、15歳から18歳の人が見に来るとはハナから思えませんが。

「シャッター・アイランド」(4/9)★★★★★



今年の賞レース狙いでの公開が予定されていたものの、突然の延期。
映画の墓場(2月)送りで、完成度が心配されたが、それを吹き飛ばす高評価。
来年のアカデミー賞を本気で狙っていくらしい。

「第9地区」(4/10)★★★★★



驚きのアカデミー賞作品賞ノミネートを果たしたSFモキュメンタリー「District9」がついに日本公開。
SF映画でここまでの高評価は珍しい。
制作費はSFにしては破格の何と30億円、日本映画界もアイデアと頑張りさえあればここまでできるはず!

「ウルフマン」(4/23)★★★
延期、延期の「ウルフマン」がやっとのことで完成、公開。
ただの怪物映画かと思えば、ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、
エミリー・ブラント、ヒューゴ・ウィービングと出演者は異様に豪華。
約1年の再撮影が成功していることを祈ります。

「サバイバル・オブ・ザ・デッド」(6/12)★★★★



「・・・OF THE DEAD」として以前紹介したロメロの新作「Survival of the Dead」です。
ヴェネチア映画祭のコンペに乗るとは意外でしたが、それだけ、よくできているということなのでしょうか。
ゾンビとの共存への模索を描いた哲学的なゾンビ映画だそうです。
ゾンビを哲学にするとは、さすがゾンビの神様です。

「プレデターズ」(夏)★★★★
ロバート・ロドリゲス監督がプロデュースと脚本を務めるグラインド・ハウス版「プレデター」
作ると言い出してからの早さにいつもながら驚きですが、多忙なロドリゲスは残念ながら、
監督は務めず、代わりに3月に「アーマード/武装地帯」が公開されるニムロッド・アーントルが監督を務めています。

「エルム街の悪夢」(年内)★★



爆発バカことマイケル・ベイ監督が金儲けのためだけにホラー映画に興味がないくせに経営している
勝手に名作ホラーリメイク会社プラチナム・デューン社の新作。
試写の評判が悪かったらしく再撮影が行われました。またかよ……。

「ようこそゾンビランドへ」(年内)★★★★★



DVDスルーの噂もありますが、ぜひとも劇場公開していただきたい!
絶対に面白いと確信。
だって、予告編で、フリスビー型絶叫マシンにゾンビがなぎ倒されてましたよ。
(映画オタクであり、遊園地オタクでもあるので、ツボ)

「ザ・ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト」(年内)★★★★

スティーブン・キングが2009年のベスト10で第二位にランクインさせたことが話題(どこでだ)のホラー。
ウェス・クレイブンの「鮮血の美学」(あいにく未見)のリメイク。
ちょっと前にレンタルしたDVDになぜか予告編が付いていたのですが、あれはいったい何だったのでしょうか。

「レット・ザ・ライト・ワン・イン」(年内)★★★★★



ついに出ました全世界を震撼させた(残念ながら数年前に)傑作ホラーがついに日本上陸との噂。あくまで、噂。
少年とヴァンパイア少女の叶わぬ恋を描き、史上最高のヴァンパイア映画とも言われた。
ハリウッドリメイク版も「クローバーフィールド」のマット・リーヴス監督で進行中。
それまでには公開されるはず?


その他の映画編へとまだ続く……

2010年 注目!の作品 vol.3

2010-02-27 13:03:02 | 映画全般
2010年もあと10ヶ月となったところで、遅ればせながら、2010年注目の邦画です。
遅すぎて、どうでもいい?そんな固いこと言わないでください!

(期待度★~★★★★★)

「邦画編」

「ランブリングハート」(1/16)★★



2010年最も注目すべき女優と勝手に位置づけている臼田あさ美の主演作。
いやいや、注目すべきは仲里依紗だろ、という声がどこかから聞こえてくる……。
近日中に『この女優が気になる』で、特集予定。

「コトバのない冬」(2/20)★★★
「愛のむきだし」での怪演が記憶に新しい渡部篤郎の初監督作品。
俳優さんの監督デビュー作ってろくなことがないけど、この作品は良さそう。
ほとんどセリフなく、あってもアドリブというのは一種の憧れ。

「ゼブラーマン2/ゼブラシティの逆襲」(5/1)★★★



今年も出ました三池監督の新作です。いつの間に撮ってたんだ?
前作は見ていませんが、予告編を見る限り、カオス……。
「ゼブラーマン」って、こんな感じでしたっけ?

「ヒーローショー」(5/29)★★★★
井筒監督の久々の監督作ということで期待したいところですが、
ジャルジャルの面白さってイマイチわからないです。
そんなこと言えば、今のお笑いの人たちほとんど全ての面白さがわかりませんが。
沖縄国際映画祭のラインナップって見るだけで、苦痛です。
こんなので映画界が元気になるとは到底思えません。

「告白」(6/5)★★★★★



今年の邦画のなかで、期待値ナンバーワンがこれ!
あまり期待しすぎないよう自分を押さえて公開まで待ちたいと思います。

「アウトレイジ」(6/12)★★★★★



北野武監督が原点であるヤクザ映画に回帰した新作。
「映画の破壊」三部作(勝手に命名、「北野武の破壊」三部作?)は批評、興行ともに微妙でしたからね。

「FLOWERS フラワーズ」(6/12)★★★★
蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子 が共演する約2時間の大作CM。
何か恐ろしい組み合わせだが、
監督が「タイヨウのうた」「ガチ☆ボーイ」の小泉監督ということで、期待できるのでは?

「ACACIA」(6月)★★★



ミッキー・ロークではなく、アントニオ猪木が主演する日本版「レスラー」
いや、「レスラー」のただのパクリ?
監督は「サヨナライツカ」の原作者、辻仁成。やっぱり、パクリ?

「BECK」(9/4)★★★
堤監督、意外と好きなんですよ、だからこそ「20世紀少年」を最低映画に選んだんです。
その証拠に……この作品にエキストラ出演しました。またか。
映っているか確認に行きます。

「鴨川ホルモー」   5秒ほど
「クローズZEROⅡ」0秒
「色即ぜねれいしょん」30秒ほど
「京都太秦物語」   5秒ほど

「十三人の刺客」(秋)★★★★



これも三池監督。
毎年恒例、秋の時代劇大放出スペシャルが今年も開催されます。
映画会社が張り合っているだけで、何のメリットもないような気がしますが。

昨年は
東宝「BALLAD 名もなき恋のうた」
松竹「カムイ外伝」
東映「火天の城」
WB「TAJOMARU」

で、ギリギリトントンもしくはコケ

今年は
東宝「十三人の刺客」
東宝「雷桜」 
松竹「大奥」
東映「桜田門外ノ変」

いい加減やめましょう。

「ノルウェイの森」(12月)★★★★



見たいような見たくないような。
村上春樹って映像化が一番難しい作家の一人だと思います。
大作映画で原作のような描写は可能なのでしょうか?


ホラー映画編へ続く……

キャタピラー

2010-02-25 11:39:04 | 映画(か行)
2010年・日本・Caterpillar
監督:若松孝二
(IMDb:6.4 Metacritic:× Rotten:×)
公式HP



今年のベルリン映画祭で話題を呼んだ日本の巨匠が二人いる。
若松孝二と山田洋次の両監督である。
この二人は極めて正反対な映画に対する姿勢を示しており、その二人が同じ映画祭から
愛されていることに面白さを感じずにはいられない。
簡単に比較するなら
若松監督が時代に即した早さと過激さ(とは言いつつも次第にこの姿勢自体が時代遅れにはなっているが)
を持って人間を描こうとするのに対し、
山田監督はそんな物に興味はなく、ただゆっくりと丁寧に人間ドラマを描きだしていくのである。

若松孝二監督の新作「キャタピラー」が世界的な映画祭のしかも
コンペティション部門に挙がったというのには非常に違和感を感じる。
周りのコンペ作品と比べても、その異物感は圧倒的である。



この作品はひたすら繰り返すのみである。

食べる、寝る、勲章、歴史、食べる、寝る、勲章、歴史

後半のセリフに登場するように「食っちゃ、寝」をひたすら繰り返すだけだ。
ほとんど山場らしい山場もなく、というよりは山場が似たり寄ったりで、
しかも、均一なタイミングで現れるので、盛り上がらない。
ラストも虚しい気持ちが残るだけである。
かといって、戦争の恐ろしさを描ききることができているかというと中途半端で、
いつもの若松作品よろしく、出演者の顔や衣装がきれいに整いすぎているし、
大西信満演じる久蔵の顔の特殊メイクが作り物臭く、惨さが足りない。
中国でのレイプシーンのエフェクトが安っぽければ、現在の久蔵とのカットバックも学生映画みたいだ。
竹槍や消火の訓練のゆるさも見ていられない。
反戦を高らかに謳う割には、残念ながら形ばかりで中身が伴っていない。
仏造って魂入れず。
いや、若松監督は魂を持っていたとしても、魂を映画へと入れ込む術を忘れてしまったのではないか。
もしかしたら、歳を取って少し丸くなってしまったのかもしれない。
それほど、この作品からは気迫や情熱を感じることができず、
ただ、こういうことをすれば話題にはなるだろうという気持ちだけが見え透いている。



やはり、この作品が賞を取るとしたら、女優賞しか考えられなかっただろう。
それだけ、寺島しのぶの演技は圧巻である。
彼女の周辺の妙な作り物感と相まって、虚しさを感じさせてしまうほどの熱演である。
寺島しのぶ演じるシゲ子が出兵前には暴力を振るっていた久蔵を支配していくことに
快楽を感じていく過程をもう少し丁寧に時間をかけて描いていたら、
寺島しのぶの熱演もあって、もっと面白くなったのかもしれない。

遠い東の国からやってきた異物をやはりベルリンの審査員は消化する事ができなかったようだ。
(日本人でもどう扱えばよいのか、困るような代物なのに)
その違和感、胸のつっかえが、賞を与えるということで、解消されるなら、
やはり、それには女優賞しか考えられなかったであろうということだ。

〈55点〉

第60回ベルリン映画祭 各賞

2010-02-23 15:03:16 | 映画全般
金熊賞 Bal【Honey】 
 監督:セミー・カプラノール

銀熊賞(グランプリ)Eu cand vreau sa fluier, fluier【If I Want to Whistle, I Whistle】 
 監督:フローリン・サーバン

銀熊賞(監督賞)ロマン・ポランスキー(The Ghost Writer)

銀熊賞(女優賞) 寺島しのぶ(キャタピラー)

銀熊賞(男優賞) Grigori Dobrygi&Sergei Puskepalis (Kak ya provel etim letom【How I Ended This Summer】)

銀熊賞
芸術貢献賞(撮影)Pavel Kostomarov(Kak ya provel etim letom【How I Ended This Summer】)

銀熊賞(脚本賞) Wang Quan'an and Na Jin(Tuan Yuan【Apart Together】)

アルフレッド・バウアー賞 Eu cand vreau sa fluier, fluier【If I Want to Whistle, I Whistle】)





映画を見る人がいるんだ

2010-02-10 19:46:45 | その他
午前十時の映画祭へ行った。

が、満席で入れなかった。

ガッカリしたが、何だか妙にうれしかった。

年寄りみたいだが、まだ20歳。

これからも映画を見続けていこう。

そして、今週末からベルリン映画祭へ行く。

個人的ワースト・アワード2009

2010-02-10 19:41:28 | ベスト&ワースト
すっかり忘れていた、2009年版の個人的最低映画賞です。
ベストも近日中にアップします。

2009年は事前にしっかりと調べてから映画館へ行ったので、
世間で最低だといわれている作品は避ることができた。

【邦画】

作品賞
 「カムイ外伝」
 「ドロップ」
 「20世紀少年<第2章>最後の希望」
★「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」
 「プライド」

3部作全体としての「20世紀少年」に。
特に第2章と最終章はひどい。
単体では「カムイ」の方がもっとひどいかもしれない。


監督賞
 金子修介「プライド」
 崔洋一「カムイ外伝」
 品川ヒロシ「ドロップ」
 堤幸彦「20世紀少年<第2章>最後の希望」
★堤幸彦「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」

崔監督が口だけだとは分かったが、それでも何とか映画たらんとしていたように思う。
「20世紀少年」は映画とは呼べない。

 
主演男優賞
 唐沢寿明「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」
 櫻井翔「ヤッターマン」
 武井証「BALLAD 名もなき恋のうた」
 長瀬智也「ヘブンズ・ドア」
★成宮寛貴「ドロップ」

中学生役とは……それを鑑賞中に知り、思わず叫んでしまった。
ジャニーズの棒読み演技も相変わらず。


主演女優賞
 北乃きい「ハルフウェイ」
★黒木メイサ「クローズZEROⅡ」
 ステファニー「プライド」
 平愛梨「20世紀少年<第2章>最後の希望」
 常盤貴子「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」

前作でも大概意味はなかったが、続編では全くの無意味に。
プロモーションのために歌を歌うだけって。


助演男優賞
 及川光博「プライド」
 高嶋政伸「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」
 徳光和夫「20世紀少年<第2章>最後の希望」
★バナナマン「20世紀少年<第2章>最後の希望」
 水嶋ヒロ「ドロップ」

バナナマンだけに限らず、映画の緊張感を皆無にする
無意味なカメオ出演全般に対して。
恥ずかしい。


助演女優賞
 芦名星「鴨川ホルモー」
 倖田來未「カムイ外伝」
 サラ・ブライトマン「アマルフィ 女神の報酬」
 高島礼子「プライド」
★広末涼子「GOEMON」

なぜこんなに大作の良い役ばかりたくさんもっていけるのかわからない。

脚本賞
     「アマルフィ 女神の報酬」
 大森美香「ヘブンズ・ドア」
★宮藤官九郎、崔洋一「カムイ外伝」
 長崎尚志、浦沢直樹「20世紀少年 3部作」
 北川悦吏子、北乃きい「ハルフウェイ」

脚本と呼べないものが多すぎてあきれる。
純粋な脚本としてのひどさは「カムイ」がダントツ。


良質の作品が多く、該当作品が少ないため、それぞれ1作品のみの発表とする。

【洋画】

作品賞
★「13日の金曜日」

オリジナルの「13日の金曜日」も最低だけど、そこが良い所。
このリメイク版はただただ最低なだけ。


監督賞
★マックG「ターミネーター4」

俺に監督やらせろ!
娯楽作としては問題ないが、これは「ターミネーター」じゃない。


主演男優賞
★ジェイソン・ボーヒーズ「13日の金曜日」

ジェイソンもどき。

主演女優賞
★ジェイミー・キング「ブラッディ・バレンタイン3D」

ホラー映画のヒロインのわりに影が薄すぎ。

助演男優賞
★アーロン・ヨー「13日の金曜日」

東洋人のイメージダウン。ステレオタイプ。

助演女優賞
★脱いでは死んでいく女優たち「13日の金曜日」

顔も覚えていない。覚えているのは……

脚本賞
★ニール・マーシャル「ドゥームズデイ」

あまりにもとっちらかった展開に唖然。
ホラーがやりたいのか。アクションがやりたいのか。どちらも中途半端。


マンマ・ミーア!

2010-02-08 11:32:39 | 映画(ま行)
2008年・イギリス/アメリカ・Mamma Mia!
監督:フィリダ・ロイド
(IMDb:6.6 Metacritic:51 Rotten:53)
公式HP

とにかく何も考えることなく(もちろん登場人物も、観客も)、ひたすら
ABBAの歌に乗せて突き進み、1時間48分があっという間に過ぎ去ってしまう快作。



ストーリーはあってないようなもの。
母ドナと2人暮らしのソフィは、恋人との結婚式で、父親と結婚式のヴァージン・ロードを
歩くべく、父親であろう3人の男性に招待状を送ってしまっていた。
と、こんな感じだが、はっきり言ってどうでもいい。

ストーリーよりも歌そのものがメインの作品であり、ストーリーは進んでいるのか進んでいないのかわからないし、
ラストも終わったのか終わっていないのか分からないような有様であるが、
ここまで投げ出してしまうと、逆にすがすがしささえ覚えてしまった。
おばちゃんのキャットウォークで終わる映画など今まで見たことがなかったので、
ある意味で貴重な体験をしたということなのかもしれない。



メリル・ストリープ以下、おばちゃん三人組のコメディシーンは笑いを通り越して恐怖すら覚えるほどだった
おばちゃんたちの下ネタなど、男からすると聞きたくもないが、
ある一定の年齢層の女性にはバカ受けしそうな気もする。
それがABBA世代であるから、この映画は大ヒットしたのかもしれない。

スパイををクビになった元007のピアーズ・ブロスナンは2008年のラジ-賞で、
最低助演男優賞を見事に受賞しただけあって、素晴らしいオンチぶりを披露しているが、
その自信にあふれた表情と相まって、ギャグの域にまで達していた。
そこがまたラジー賞らしい。



ミュージカル好きにはたまらないミュージカルらしいミュージカルで、
映画的要素は残念ながら、皆無だった。

ミュージカルに違和感を感じる人なら、この作品は特に気味が悪いかもしれない。
ミュージカルは好きなので、突然、歌い出したりするのを気味悪く感じたことなど今まではなかったが、
この作品ではさすがに違和感を感じるところが数箇所あった。
唄とドラマパートとの切り替えが下手だというのも大きいが、
舞台設定があまりにも現実的なので、「オペラ座の怪人」や「シカゴ」のように
時代的にも、場所的にも、別世界のことだと捉えられなかったからかもしれない。



舞台の良さが滲み出ているだけで、映画版としての面白さは皆無のように思えたので、
舞台版はもっと素晴らしいものなのだろうと予想できるし、
映画版に見られる違和感も舞台なら問題ないに違いない。
そこを上手く脚色するのが、映画化の仕事だとは思うが。

〈75点〉

ディファイアンス

2010-02-05 23:09:49 | 映画(た行)
2008年・アメリカ・Defiance
監督:エドワード・ズウィック
(IMDb:7.3 Metacritic:58 Rotten:56)
公式HP



「ラストサムライ」「ブラッド・ダイヤモンド」など次々と傑作を生み出し続けている
天才エドワード・ズウィック監督は天才であると同時に、非常に不幸な運命を背負った監督だ。
それはこの「ディファイアンス」からも読み取ることができる。

ユダヤ人がロシア人と共にドイツ人を倒そうとするアメリカ製の戦争ドラマという
不思議な成り立ちのこの作品は、結局のところ、戦争へのメッセージ云々の前に、
エドワード・ズウィック節が炸裂した作品であり彼の過去の作品と同じく紛れもなく、一級の映画だ。
しかし、彼の作品は賞レースにおいて、2番手候補に甘んじていることが多く、
この作品もアカデミー賞では作曲賞一部門にノミネートされただけである。



ズウィック監督の特徴、それは娯楽性と作家性のバランスにある。
大ヒットするには娯楽性が少ない、アクションもどちらかといえば、リアル志向だし、
ストーリーも暗めというか、本質をえぐるような社会派的な色があり、
かといって、賞を狙うような作品かというと、全体的にハリウッドスタイルで撮影が行われており、
スターも登場すれば、激しい爆発も起きるし、ドラマの重さや深刻さとも無縁だ。

興行的成功と批評的成功。
それらの狭間の非常に中途半端な立ち位置にいるのだ。
言い換えれば、相反する二つの側面の両立を目指しているともいえる。

では、ズウィック監督を応援すべきなのは誰か。
それは映画ファンに他ならない。

巷で大ヒットするような大衆に媚びた映画は見たくないし、
かといって、映画祭で上映されるようなアート気取りな作品も嫌だ

そんな映画ファンのわがままに答えてくれるのが、我らがズウィック監督なのだ。



「ディファイアンス」について評価するべきなのに、ほとんどできていない。
それは紛れもなく、「ディファイアンス」が興行的にも批評的にも中途半端な立ち位置にある証拠だ。

それでも多くの映画的快楽にあふれた素晴らしい作品であることに変わりはない。
結婚式のダンスと銃撃戦のカットバックは圧巻。
画面に映し出されるのは、森ばかりで、地味かもしれないが、
完成度は圧倒的であり、いつまでも見続けることのできる普遍的な作品だろう。

〈80点〉

アカデミー賞 ノミネート結果2010 (2)

2010-02-04 11:28:03 | 映画全般
以下、技術賞

撮影賞
★「アバター」
・「イングロリアス・バスターズ」
×「NINE」
 →「白いリボン」
☆「ハート・ロッカー」
×「マイレージ、マイライフ」
 →「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

編集賞
☆「アバター」
・「イングロリアス・バスターズ」
×「(500)日のサマー」
 →「第9地区」
★「ハート・ロッカー」
×「マイレージ、マイライフ」
 →「プレシャス」

美術賞
★「アバター」
×「イングロリアス・バスターズ」
 →「シャーロック・ホームズ」
×「スタートレック」
 →「Dr.パルナサスの鏡」
☆「NINE」
・「ヴィクトリア女王 世紀の愛」

衣装デザイン賞
×「アバター」
 →「ココ・アヴァン・シャネル」
×「イングロリアス・バスターズ」
 →「Bright Star」
・「Dr.パルナサスの鏡」
☆「NINE」
★「ヴィクトリア女王 世紀の愛」

メイキャップ賞
×「第9地区」
 →☆「イル・ディーヴォ」
×「Dr.パルナサスの鏡」
 →「ヴィクトリア女王 世紀の愛」
★「スター・トレック」

視覚効果賞
★「アバター」
☆「スター・トレック」
×「2012」
 →「第9地区」

録音賞
★「アバター」
・「スター・トレック」
×「第9地区」
 →「イングロリアス・バスターズ」
×「NINE」
 →「トランスフォーマー リベンジ」
☆「ハート・ロッカー」

音響効果賞
★「アバター」
・「イングロリアス・バスターズ」
☆「スター・トレック」
・「ハート・ロッカー」
×「2012」
 →「カールじいさんの空飛ぶ家」

作曲賞
☆「アバター」
★「カールじいさんの空飛ぶ家」
×「スター・トレック」
 →「シャーロック・ホームズ」
×「マイレージ、マイライフ」
 →「ハート・ロッカー」
×「A Single Man」
 →「Fantastic Mr. Fox」

主題歌賞
☆「Almost There」(プリンセスと魔法のキス)
×「Cinema Italiano」(NINE)
 →「Take It All」(NINE)
×「I See You」(アバター)
 →「Down in New Orleans」(プリンセスと魔法のキス)
★「The Weary Kind」(Crazy Heart)
×「Winter」(マイ・ブラザー)
 →「Loin de Paname」(幸せはシャンソニア劇場から)