ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

2010年 注目!の作品 vol.2

2010-01-29 18:14:22 | 映画全般
昨年に引き続き、2010年の注目作品を期待度とともに。

(期待度★~★★★★★)

「下半期・大作編」

「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」(7/3)★★★★★


待ってました!
「踊る大捜査線THE MOVIE2~レインボー・ブリッジを“ムーシャ”せよ~」から7年振りとなる新作。
本広監督には近作の不調を吹き飛ばしていただきたい。

「トイ・ストーリー3」(7月)★★
質が高いであろうことは分かっているけど、今更興味が持てないのも事実。
どちらかといえば、2月に公開される「1」「2」の3D版の方が見たい。

「インセプション」(7月)★★★★★


心の師匠、クリストファー・ノーラン監督の新作。
予告編の時点で鳥肌が立ちました。
「ダークナイト」の続編も楽しみにしてます。

「エアベンダー」(7月)★★★


大好きです。シャマラン!
「サイン」「ヴィレッジ」など周りの酷評が理解できず。
シャラマンをコテンパンに言う人、冷静に考えてみてください、
才能がない監督がハリウッドでこれだけの大作を作り続けていられると思いますか?

と、持ち上げたのも束の間、この作品、微妙そう……

「バイオハザード4(仮題)」(9月)★★★
ゲーム版「バイオハザード」が傑作だと思っているので、ホラーゲームの映画化としては好イマイチ、
しかし、単純にお馬鹿なアクション映画だと割り切って見れば、好きという複雑な心境のシリーズ。
ポール・アンダーソンが監督として復帰!

「ナイト&デイ」(秋)★★★★
予告編を見て、面白そうだったので入れてみました。
トム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演するアクション・コメディ。
監督は「アイデンティティー」「ウォーク・ザ・ライン」「3時10分、決断のとき」などの
隠れた名作職人ジェームズ・マンゴールド。

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1(仮題)」(11月)★★★★


デビッド・イェーツ監督の演出が好みなので、楽しみ。
前後編に分けられることで、あの巧みな省略術が見られなくなるかもしれないが。

3D化されるのはどうかと思う。しんどいだけで、3Dの意味があるものになるのか。
あと、前作から予想されるストーリーも、簡単に言うと宝集め、ゲーム的で面白くなるのか?と不安。

「シュレック フォーエバー」(12月)★★


「2」が素晴らしい、「シュレック」の新作だが、
またかよ、という印象強し。
にしても、日本での公開が遅いなぁ。(アメリカでは5月の予定)

「ナルニア国物語/第3章:朝びらき丸 東の海へ」(12月)★★


制作会社が変わりまさに再出航となる「ナルニア」。
今作からカスピアン王子が主人公となるようです。

前作?寝ましたよ。全く冒険にスリルも感動もなかったので。
だって、例え、グラディエーターのように決闘しようとも、ディズニーの映画で子どもが殺されるわけがないですから。

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(12月)★★★
傑作であろうが、駄作であろうが、今年見るのが一番楽しみかもしれない。
予告編を見ても、邦画にしては美術デザインなどに高級感あってよさそう。

「トロン:レガシー(原題)」(12月)★★★★


SFカルト「トロン」のまさかの続編。
前作のように新時代を開けるのか?
あれ!「アバター」がやってしまった?

邦画編へ続く……

おとうと

2010-01-24 17:42:47 | 映画(あ行)
2009年・日本・About Her Brother
監督:山田洋次
公式HP

山田洋次監督が市川崑監督の『おとうと』にオマージュをささげて制作した久々の現代劇。
第60回ベルリン映画祭のクロージング上映に選ばれた。

激しいネタバレの上、ストーリーの解説はほとんどなく不親切なので、
未鑑賞の方はお読みにならないでください。
素晴らしい作品ですので、前知識なく、ご覧になることをオススメします。



市川崑監督へささげる。
という宣伝文句には少し疑問を感じてしまう。
確かに市川監督の「おとうと」は本作の発想の原点にはなっているかもしれないし、
オマージュを感じさせる部分もあるが、それはこの作品の一端でしかない。
それよりもはるかに山田洋次監督の心は小津安二郎へと傾倒しているように見える。

正面から人物を捉えた会話。
廊下のローアングル。
さらには、赤いヤカン!

そういえば、小津安二郎の名作を舞台化した「麦秋」の演出も行っている。
今年公開予定の新作「京都太秦物語」の英語タイトルも「Kyoto Story」であり、
これは明らかに小津安二郎の「東京物語」(「Tokyo Story」)を意識してのことだろう。
ここまで来ると「おとうと」というタイトルがつけられたのはただ単に市川崑監督が
亡くなった事もあり、追悼企画として企画が立てやすかっただけなのではないかと疑ってしまう。



ただし、市川崑や小津安二郎にいくら影響を受けていようとも、本作はれっきとした山田洋次の作品である。
山田洋次監督はそのフィルモグラフィー、何とこの作品が81作目!、の中の
ほぼ全ての作品の中で日本の家族を描いてきた。それは今回も変わらない。

家族という厄介な絆、まさに本作が描く家族の姿はこれだ。
家族の切っても切れない関係は作中のいたるところに象徴的に登場する。
それを如実の表現するのが、開かれた扉である。
開かれた扉、いや、正しくは開かれてしまう扉というべきか。
扉が開かれてしまうシーンは3つある。

一つ目は加藤治子演じる義母の絹代が部屋を出て行くシーンで、ガラス障子が
一度は閉じるが、跳ね返り、少しの隙間を作る。
二つ目は蒼井優演じる春子が嫁ぎ先を飛び出して、家に帰ってきたシーンで、
吉永小百合演じる吟子との喧嘩の末に階段を上っていく。
そこでもまた、扉は春子によって勢いよく閉じられるが、彼女自身お荷物が挟まり、
扉は少し開いた状態になるのだ。
ここでの扉の隙間から差し込む光を階段側から捉えたショットが美しい。
三つ目は加瀬亮が演じる、小春をひそかに想い続けていた幼なじみで大工の長田亨
と小春がけんかをし、雨が降る外へと亨が飛び出していくところで、
薬局のガラス扉が一度は閉まるがまた少し開く。
また、少しして亨が戻ってくることをもこの少し開いた扉は暗示させている。
扉に関連させて言うと、亨が薬局のトイレの扉を修理しに来るところでの小春の登場の仕方も
まるでホラー映画のように扉が有効に使用されており、印象的だ。

これらの扉は家族の切っても切れない関係を見事に表現している。
家族は些細なことでけんかをしたりして、その関係を断ち切ってしまおうとすることもある。
しかし、そんなことぐらいで、家族の絆は決して切れない。
扉が勝手に少し開いてしまうように、いつの間にかその絆は形を取り戻すものなのである。



家族という厄介な絆を描き続けてきた山田洋次監督。
この作品のラストは珍しく明るいハッピーエンドでは決してない。
むしろ、ラストカットは暗くバッドエンドのような表情すら見せている。
しかし、ここにも家族の絆はある。
小春の二度目の結婚式。「おじちゃんはまた来る」と。
家族という絆は死を乗り越えてまでも、切っても切れない関係なのである。

〈80点〉

キネマ旬報ベストテン2009 発表!

2010-01-13 12:34:08 | 映画全般
2009年のキネマ旬報ベストテンが発表されました。



◆日本映画
 1、「ディア・ドクター」       
 2、「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」   
 3、「劔岳 点の記」
 4、「愛のむきだし」
 5、「沈まぬ太陽」
 6、「空気人形」
 7、「ウルトラミラクルラブストーリー」
 8、「サマーウォーズ」
 9、「誰も守ってくれない」
10、「風が強く吹いている」

(予想)
 1、「ディア・ドクター」
 2、「劔岳 点の記」
 3、「愛のむきだし」
 4、「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」
 5、「サマーウォーズ」
 6、「沈まぬ太陽」
 7、「空気人形」
 8、「誰も守ってくれない」
 9、「のんちゃんのり弁」
10、「風が強く吹いている」

「のんちゃんのり弁」がはいらず、「ウルトラミラクルラブストーリー」だったことを除けば、
ランクイン作品はほとんど的中。ランキングもなかなか当たっている。
とはいえ、それは2009年の日本映画が不作だったことによるものだと思う。


◆外国映画
 1、「グラン・トリノ」
 2、「母なる証明」
 3、「チェンジリング」
 4、「チェイサー」
 5、「レスラー」
 6、「愛を読むひと」
 7、「アンナと過ごした4日間」
 8、「戦場でワルツを」
 9、「スラムドッグ$ミリオネア」
10、「イングロリアス・バスターズ」

(予想)
 1、「グラン・トリノ」
 2、「レスラー」
 3、「スラムドッグ$ミリオネア」
 4、「チェンジリング」
 5、「母なる証明」
 6、「チェイサー」
 7、「イングロリアス・バスターズ」
 8、「愛を読むひと」
 9、「カールじいさんの空飛ぶ家」
10、「戦場でワルツを」

「カールじいさん」と「アンナと過ごした4日間」が異なっていたことを除けば、こちらもほぼ的中。
「スラムドッグ$ミリオネア」「イングロリアス・バスターズ」が下位だったのは意外。
トップ3がイーストウッドとポン・ジュノとはゼロ年代最後にふさわしいランキングなのではないか。


◆個人賞
■監督賞 木村大作(「劔岳 点の記」)
■脚本賞 西川美和(「ディア・ドクター」)
■主演男優賞 笑福亭鶴瓶(「ディア・ドクター」)
■主演女優賞 松たか子(「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」)
■助演男優賞 三浦友和(「沈まぬ太陽」)
■助演女優賞 満島ひかり(「愛のむきだし」他)
■新人男優賞 西島隆弘(「愛のむきだし」)
■新人女優賞 川上未映子(「パンドラの匣」)

ほぼ順当な結果。

我ながら好成績で驚いた。
が、ベストテン、個人賞ともに順当すぎて面白みがないのも事実。

また、来年も予想したい。

2010年 注目!の作品 vol.1

2010-01-11 10:52:55 | 映画全般
昨年に引き続き、2010年の注目作品を期待度とともに。
取り上げた作品には日本で公開されなかったもの、製作が遅れて本国でも
公開されなかったものも含まれていたので、それらはさらりと紹介します。

暗い世の中にはファンタジーが必要とされているのか、
巨匠たちのファンタジー大作が次々と公開されるのは楽しみだ。

(期待度★~★★★★★)

「上半期・大作編」

「かいじゅうたちのいるところ」(1/15)★★★★★


変態映画「アダプテーション」のスパイク・ジョーンズ監督の新作にして、
モーリス・センダックの名作絵本を映画化したファンタジー。
当然、子どもも楽しめそうなヴィジュアルながら、大人向き、映画好きのための一作。
そのために、公開が延期されまくってきたいわく付きの作品でもある。
アメリカでの試写で子供たちが大泣きしたというのは本当か?

「Dr.パルナサスの鏡」(1/23)★★★★


変態映画「ローズ・イン・タイドランド」のテリー・ギリアムの監督の新作にして、
ヒース・レジャーの遺作となったファンタジー。
こちらも製作段階でのトラブルが話題となった作品。
製作中になくなったヒース・レジャーの意思を引き継ぎ、
ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが代役を務めた。

「ラブリーボーン」(1/31)★★★★


変態映画「ブレイン・デッド」のピーター・ジャクソン監督の新作にして、
アリス・シーボルトのベストセラー小説を映画化したファンタジー。
変態巨匠ダーク・ファンタジー三部作のトリを務める作品。
楽しみにしていた作品が毎週、公開されるとはうれしい限り!

「インビクタス/負けざる者たち」(2/5)★★★
傑作映画量産老人ことクリント・イーストウッドの新作。
近作の中では最も低い評価だが、それは他の作品のレベルが高すぎるだけ。

「シャーロック・ホームズ」(3/12)★★★


最低映画「リボルバー」しか見たことがないせいで、個人的な評価が最低な監督
ガイ・リッチーがシャーロック・ホームズをアクション映画として復活させた作品。

「NINE」(3/19)★★★
「8 1/2」のミュージカル版。主演はダニエル・デイ=ルイス。
主人公を取り巻く女性たちをマリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ニコール・キッドマン、
ケイト・ハドソン、ジュディ・デンチ、ソフィア・ローレン……恐ろしい。
監督、プロデューサーは大変だったろうな、という感想しか出て来ないに違いない。

「アリス・イン・ワンダーランド」(4/17)★★★★


いくらなんでもTVスポットを打ち始めるのが早過ぎやしませんか。
ヴィジュアルが濃すぎるので、最初のインパクトは大きくても、
公開の頃には飽きられるかも。
とはいえ、ジョニー・デップがいる……。

「のだめカンタービレ最終楽章 後編」(4/17)★★★
「前編」すらまだ見ていないのですが、ドラマ版が良かったので、期待。
上野樹里の唯一の当たり役が完結。次の当たり役を早く見つけないと!

「アーサーと魔王マルタザールの逆襲」(4/29)★★


最近、監督作品よりもプロデュース作品のほうがはるかに面白いリュック・ベッソンンの監督作品。
明らかに金のことしか考えていない中途半端なお子ちゃま向けの映画を作ってないで、
原点回帰して欲しいと、全世界(フランス以外?)の映画ファンが思っているに違いない。

「劇場版TRICK/霊能力者バトルロイヤル」(春)★★★★
大好きな「TRICK」の新作。
いつも通り期待せずにゆるりと楽しみたい堤作品。
それにしても堤監督、仕事しすぎ。
それに伴って、質も低下しているように思うので、一作一作を大事にしてください。

「アイアンマン2」(6/11)★★


「アイアンマン」のアメリカでの評価の高さには驚かされる。
前作は期待していたほどでもなく、今作の予告を見ても、さほど魅力を感じない。
アメコミの映画化作品は「デアデビル」ですらも面白いと思うのに、
謎だ……。

下半期へ続く……

早くもキネマ旬報ベストテンを予想する

2010-01-03 12:22:17 | 映画全般
どの映画がベストテンに入るかの予想です。
毎月更新し、最後の更新の時には10本にまで絞ります。

まずは敵を知ることから・・・。
2008年のベストテンを見てみると、

邦画 ()は個人的な得点。
1位 おくりびと(75)
2位 ぐるりのこと。(70)
3位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(60)
4位 トウキョウソナタ(75)
5位 歩いても 歩いても(85)
6位 闇の子供たち(80)
7位 母べえ(70)
8位 クライマーズ・ハイ(80)
9位 接吻(70)
10位 アフタースクール(65)
次点 百万円と苦虫女(85)

邦画は比較的順当な結果。
様々な映画賞を取った作品が並んでいる。
毎年1位はわかりやすい1位になる。
少し意外なのは「母べえ」。年配の批評家の支持か。
「アフタースクール」のような比較的一般受けしやすいものもある。
「人のセックスを笑うな」「パコと魔法の絵本」は洩れた。

1位 ノーカントリー(60)
2位 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(80)
3位 ダークナイト(90)
4位 イントゥ・ザ・ワイルド(60)
5位 ラスト、コーション(80)
6位 イースタン・プロミス(55)
7位 その土曜日、7時58分(未見)
8位 エグザイル/絆(未見)
9位 つぐない(70)
10位 チェチェンへ アレクサンドラの旅(未見)
次点 12人の怒れる男(未見)

邦画に比べてかなり難しそうだ。
「イントゥ・ザ・ワイルド」「エグザイル/絆」
「チェチェンへ アレクサンドラの旅」「12人の怒れる男」
は予想の難しいところ。
中国映画が高い評価を得ることが多く。
また、ヨーロッパの巨匠枠もある。
「ジュノ」「ミスト」「パラノイド・パーク」などが入っていない
時点で信用できないが・・・。

邦画
(1月3日版)

 1、ディア・ドクター
 2、劔岳 点の記
 3、愛のむきだし
 4、ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~
 5、サマーウォーズ
 6、沈まぬ太陽
 7、空気人形
 8、誰も守ってくれない
 9、のんちゃんのり弁
10、風が強く吹いている
次点、南極料理人

大阪ハムレット
ウルトラミラクルラブストーリー
パンドラの匣
精神

洋画
(1月3日版)

 1、グラン・トリノ
 2、レスラー
 3、スラムドッグ$ミリオネア
 4、チェンジリング
 5、母なる証明
 6、チェイサー
 7、イングロリアス・バスターズ
 8、愛を読むひと
 9、カールじいさんの空飛ぶ家
10、戦場でワルツを
次点、マイケル・ジャクソン THISISIT

ウェディング・ベルを鳴らせ!
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
それでも恋するバルセロナ
子供の情景
レイチェルの結婚
マン・オン・ワイヤー
扉をたたく人
アバター