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「ライオンのおやつ」から~思ひ出す事など

2021-08-16 | パフォーマンス
おはようございます。

ドラマ「ライオンのおやつ」(NHK)が最終回を迎えました。
録画で観ており、まだ6話目までですが、私の記憶と重なってきます。
本日は、わたしの「思ひ出す事など 」に、どうぞおつきあい下さいませ。

(ドラマ初回の感想



わたしは、今でこそ、アラカンのサバイバーですが、
40代で病名を告知されたときは、もうもう・・・

一番、気持ちが楽だったのは、
手術のために入院したときだったかもしれません。



30代から70代まで、女性ばかりの6人部屋。

意外かも知れませんが・・・

あの部屋での患者仲間との日々は、楽しかったのです。
笑って、笑って、時には看護師さんや医師も巻き込んで・・・
毎日が女子会のようでした。

私の部屋だけではありません。
面会も一段落した、夕方になると、
どの部屋からも、賑やかな笑い声が聞えてきて・・・


患者仲間は、いろいろで・・・
既に余命宣告を受けて久しい人もいました。

「この薬も、そのうち効かなくなるのよねぇ」と、毎晩、嘔吐いている人。
患者仲間が「効かなくなったら、どうするの?」と尋ねると、
「死ぬんじゃない」と、彼女は、あっさり・・・

やりとりを聞いていた一同は、一瞬、息を呑みますが、

ご本人は、淡々としたもので・・・
その方は、私が退院してまもなく、旅立たれたそうです。
今の私よりお若い、50代半ばでした。



私も、先生に食ってかかって、大泣きをしたことがあります。

1センチにも満たなかったしこり、
よく自分で見つけたと褒められ・・・
「早期」と信じて疑わなかったのに・・・

手術中に行う検査の結果、
思いがけずステージが上がってしまった・・・
いずれは苦しい治療をしなければいけない・・・

それだけでも辛いのに、
後から手術を受けた人が、どんどん退院していくなか、
わたしはモロモロで、退院が遅れていました。

どうして?どうして?・・・
そんな思いが爆発してしまったのです。

穏やかな主治医は、パニックの私にいつも通り、落ち着いてご対応・・・
先生が去られたあと、患者仲間が、声をかけてくれて、
涙を流している方もおいででした。

皆さん、普段は抑えていても、大きな不安を抱えており、
どうしようもなくなって、爆発させたことを経験しています。
患者仲間でなければ、わからないことなのかもしれません・・・

ひとりひとりが、辛い思いや恐怖を抱えてるからこそ、前向きでいたい。
そうしなければ潰れてしまいそうだから?
最期の日々を明るく過ごしたいから?

想いは、それぞれだったはず・・・。

でも、みんなとにかく、笑って笑って・・・
「泣いたってどうにもならない。涙がもったいないよ」と言うくせに、
人のことでは泣いて・・・

精一杯、日々を過ごしていました。


(近藤ようこ『夢十夜』岩波現代文庫。出ているなんて知らなかった!
読みたいっ!)


「ライオンのおやつ」を観ていると、
あの日々を思い出すのです。

以前は、術後、秋口から始まった辛い治療の日々が蘇り、
心臓がバクバクしてしまうことがありました。
だから、ずっと秋は苦手でした・・・

けれども、いつの頃からか、秋を楽しんでいたのです。
そして、今年、サバイバーとして通っていた病院からも
ついに卒業できました。

ちょっと前の私なら、「ライオンのおやつ」なんて観られません。
それだけ、元気になったのでしょう。
ありがたいことです。



サバイバーとなってからは、
伝道師のごとく、周囲に検査を勧めてきました。
ブログの中で、申し上げたこともあります。

ところが・・・

コロナ禍の今、医療現場の崩壊が叫ばれる中、
通常医療に制限などの影響が及ぶかも知れないとのこと・・・
・・・そんなことがあっていいはずがありません!

・・・すみません、激してしまいました。
とにかく・・・
コロナ禍が早く収まることを願うばかりです。


本日8月16日。

私の家では、今日までが、お盆です。
同じ病室で過ごした患者仲間、旅立たれた方々を、思いだしています。
亡き人を偲ぶことが、せめてご供養になればと・・・

「ライオンのおやつ」から、思い出したこと・・・
私の「思ひ出す事など」に、おつきあいいただき、
どうもありがとうございました。


◆「思ひ出す事など」は、夏目漱石が死線をさまよった
「修善寺大患」を振り返った随筆です。
大漱石にあやかってしまいました、お許しを!

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