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清水眞砂子さんの言葉

2020-06-14 | パフォーマンス
アーシュラ・K・ル=グィンの「生前最後のエッセイ集」
『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』(河出書房新社)を
読んだら・・・

なんと、テレビで清水眞砂子さんを拝見!
この偶然・・・嬉しすぎるっ!!

清水眞砂子さんは、ル=グィンの「ゲド戦記」の翻訳者!
児童文学評論家としても、長年、ご活躍なさいました。





清水さんが、ご出演になったのは
この日の放送のサブタイトルは「己の影を抱きしめて」でした。

戦後、朝鮮から引き揚げたことから始まり、ご自身の人生を振り返りながら、
文学との関わり、とりわけ児童文学についての想い、
「ゲド戦記」との出会いなど、ゆったりとした言葉で語って下さいました。

動く清水眞砂子さんを拝見するのは初めてです。
いつも鋭い評論や批評をなさるので、
もっと、厳しい雰囲気をイメージしたのですが・・・

全然、違います!
やわらかな笑顔に、ゆったりした語り口で・・・

失礼ながら、若さとは違う美しさ、聡明さのうかがえる方でした。
この魅力は、ル=グウィンと通じます!!
雰囲気の違いは、アメリカ女性と日本女性ゆえでしょうかw



60分間を、うんうんと頷きながら聞いていましたが・・・
番組の最後・・・

大病を患い、今、サバイバーでいらっしゃることを明かした清水さんが
語られました。

病室の窓から、冬のオリオン座が見えた・・・
オリオンの物語がなかったら、ただの星のまたたきだったはず・・・
物語を創ってくれた古代ギリシアの人々に、思わず「ありがとう」と言った・・・

「自分の目で見ていても、見ているものは多くの人々に助けられているんですね」
と、おっしゃいました。


さらに続けて・・・

昔話は、かならず「めでたしめでたし」で終わるHAPPY ENDINGばかり。
こんなにうまくいくはずないじゃないか、甘い・・・と、かつては考えていた。

でも、あるとき気づいた。

昔話を伝えてきた人たちは、現代よりも過酷な時代を生きていた・・
その人達が現実の厳しさを知らぬはずがない・・・

HAPPY ENDINGは、
語り手の「こうあってほしい」という祈りだったのではないか・・・
自分たちが惨めさを体験して、なお、祈りを手放さなかったからだ・・・

「そういう人間の力にひれふしたいくらい・・・
人間ってすごいです」

番組は、清水さんの、この言葉で結ばれました。



こういったことを、今、思い返し・・・あらためて心が熱くなっています。

気の遠くなりそうな長い間、人は、どんなに惨めな過酷な状況でも、
祈りを手放さず、物語を伝えてきた・・・
それは無名の人たち・・・


「希望があるとしたら、それは世界の名もなき人にある」・・・
「ゲド戦記」で、清水さんの一番好きな言葉だそうです。

原作者ル・グィンにそう伝えたとき、彼女もうなずいてくれた・・・
「きっと、これを言いたかったのだと、感じました」と、
原作者と翻訳者の2ショット写真を前に、おっしゃいました。




今、コロナ渦による未曾有の中・・・
わたしも「世界の名もなき人」・・・
そのことに誇りをって、一生懸命に生き抜こう・・・

心励まされました。


それにしても・・・
ル・グィンのエッセイに、清水眞砂子さんご出演・番組・・・
なんて素晴らしい偶然・・・感謝、感謝。


◆あじさいは、小机城趾で撮影。
書影は版元ドットコムよりお借りしました。

「ゲド戦記」は、外伝も含め、6巻ありますが、90年代に入ってからの本は
途中でついて行けなくなって・・・書影も3冊だけにしました。
お許しあれ。

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