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アーシュラ・K・ル=グィンの「生前最後のエッセイ集」
『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』(河出書房新社)を
読んだら・・・
なんと、テレビで清水眞砂子さんを拝見!
この偶然・・・嬉しすぎるっ!!
清水眞砂子さんは、ル=グィンの「ゲド戦記」の翻訳者!
児童文学評論家としても、長年、ご活躍なさいました。
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清水さんが、ご出演になったのは
この日の放送のサブタイトルは「己の影を抱きしめて」でした。
戦後、朝鮮から引き揚げたことから始まり、ご自身の人生を振り返りながら、
文学との関わり、とりわけ児童文学についての想い、
「ゲド戦記」との出会いなど、ゆったりとした言葉で語って下さいました。
動く清水眞砂子さんを拝見するのは初めてです。
いつも鋭い評論や批評をなさるので、
もっと、厳しい雰囲気をイメージしたのですが・・・
全然、違います!
やわらかな笑顔に、ゆったりした語り口で・・・
失礼ながら、若さとは違う美しさ、聡明さのうかがえる方でした。
この魅力は、ル=グウィンと通じます!!
雰囲気の違いは、アメリカ女性と日本女性ゆえでしょうかw
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60分間を、うんうんと頷きながら聞いていましたが・・・
番組の最後・・・
大病を患い、今、サバイバーでいらっしゃることを明かした清水さんが
語られました。
病室の窓から、冬のオリオン座が見えた・・・
オリオンの物語がなかったら、ただの星のまたたきだったはず・・・
物語を創ってくれた古代ギリシアの人々に、思わず「ありがとう」と言った・・・
「自分の目で見ていても、見ているものは多くの人々に助けられているんですね」
と、おっしゃいました。
さらに続けて・・・
昔話は、かならず「めでたしめでたし」で終わるHAPPY ENDINGばかり。
こんなにうまくいくはずないじゃないか、甘い・・・と、かつては考えていた。
でも、あるとき気づいた。
昔話を伝えてきた人たちは、現代よりも過酷な時代を生きていた・・
その人達が現実の厳しさを知らぬはずがない・・・
HAPPY ENDINGは、
語り手の「こうあってほしい」という祈りだったのではないか・・・
自分たちが惨めさを体験して、なお、祈りを手放さなかったからだ・・・
「そういう人間の力にひれふしたいくらい・・・
人間ってすごいです」
番組は、清水さんの、この言葉で結ばれました。
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こういったことを、今、思い返し・・・あらためて心が熱くなっています。
気の遠くなりそうな長い間、人は、どんなに惨めな過酷な状況でも、
祈りを手放さず、物語を伝えてきた・・・
それは無名の人たち・・・
「希望があるとしたら、それは世界の名もなき人にある」・・・
「ゲド戦記」で、清水さんの一番好きな言葉だそうです。
原作者ル・グィンにそう伝えたとき、彼女もうなずいてくれた・・・
「きっと、これを言いたかったのだと、感じました」と、
原作者と翻訳者の2ショット写真を前に、おっしゃいました。
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今、コロナ渦による未曾有の中・・・
わたしも「世界の名もなき人」・・・
そのことに誇りをって、一生懸命に生き抜こう・・・
心励まされました。
それにしても・・・
ル・グィンのエッセイに、清水眞砂子さんご出演・番組・・・
なんて素晴らしい偶然・・・感謝、感謝。
◆あじさいは、小机城趾で撮影。
書影は版元ドットコムよりお借りしました。
「ゲド戦記」は、外伝も含め、6巻ありますが、90年代に入ってからの本は
途中でついて行けなくなって・・・書影も3冊だけにしました。
お許しあれ。