goo

ポップの勇気

毎日のように自信がない。
どうしてこんなに自己嫌悪の時間ばかり
過ごさないといけないのだろう。

もっと簡単な道が選べたろうに。
もっと楽な生き方があっただろうに。

僕がもしも、もう一人の僕に会ったら、誰よりも君を称えてあげたいよ。

ーーー

村の勇者がおりました。

彼は村一番の力自慢。
幸せにいきて、小さなモンスターからいつでも村を守れる英雄。

ある日その村に一人の少年が現れました。
ボロボロのその子は、魔王を倒しに行くたびの途中というのでした。

小さなモンスターに襲われていた少年を村の勇者が助けました。
少年はその人に感謝を述べながら聞きました。

どうしてそんなに強いのに、魔王に挑みに行かないの?と。
村の勇者は答えました。

それは僕の範疇を超えているよ、僕はここをちゃんと守るのが仕事さ。

少年はその村を出て、町に向かって歩きはじめました。
道の途中でまた怪物に襲われて、町の勇者に助けられました。

少年は町の勇者にも聞きました。
どうしてそんなに強いのに、魔王に挑みに行かないの?と。

町の勇者も村の勇者と同じ答えをくれました。

少年は町の勇者にも村の勇者にも憧れながら、
深く傷ついていきました。

ああ、誰も 本当には世界を救ってくれないんだなって。

少年は途方にくれました。
僕より力のある人が、どうして世界を救うために全身全霊にはなってくれないのだろう。

少年はそれでも道をあるき続けました。
知らない土地へいつも行きます。
いつも自分より強いものと、未知なるものと戦う日々です。

少年はいつも死と隣り合わせで、日々の夜に怯えて、剣を抱えて眠ります。

「誰か一緒にこの道をいきませんか?」とは
少年は言えませんでした。
魔王に勝てる保証なんてないのですから。
途中の道で自分は仲間を守る力もありませんから。

月明かりに照らされて、妖精がふわふわと剣にとまりました。
妖精は少年に問いました。

「もうこの冒険をやめたら楽になれるよ? 
 あなたじゃ魔王には敵わないのだから、意味などなくないかい?」

少年は泣きながら答えました。

「それもいいかもね。

 でも、まだもうちょっとだけ、この冒険をつづけてみるよ」

そういって、少年は、また傷つく道をあるき出しました。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )