「碁笥作りに桑の木が」
熱中するとその道具にも凝りだします。もう53年も前の若い頃から、囲碁に熱中していました。碁盤の良い物がほしい、碁石の良い物がほしい、そして碁石を入れる良い碁笥(ごけ)が欲しい。と探しました。
碁笥は身近に手に入ったイチイのものになりました。その時聞いたのは「桑の木の碁笥も良い物なのだ」と知りました。なかなか太く育ち碁笥に作れそうな桑の樹は見つかりません。したがって桑の碁笥は手に入りませんでした。
「桑の木がカムイラビットの庭にも」
何時種が運ばれてきたのでしょうか、札幌に家を建てて20年も過ぎてから桑の木が出てきました。桑の実が小鳥によって運ばれてきたからなのでしょう。あの小粒の種子が新地に芽生える姿にぴっくりです。
桑の新芽はテンプラ揚げにすると桑のふわっとした香りが口の中に広がり美味であり、桑の葉のお茶も健康に良いので切り倒すこともなく育てていました。そうしましたら大変な勢いで大きくなり驚いています。一階の屋根を超すほどになりました。新芽をテンプラにするため我が家に共存しているのです。
今年はあまりに大きくなり、この秋には大きく枝を切り落としました。とうとう邪魔になるほど大きくなっていたのです。枝を切り落としてもまた小枝を出しますので春の珍味はいただけます。我が家の桑の木は実を付けない桑の木なので、味覚の方の恩恵は受けていません。
戦時下には糸が手に入らなく、我が家でも農家でありませんが蚕(カイコ)を買いました。まだ小学校の低学年でしたが桑の葉(枝付き)をとってくるのを手伝いました。寒い北海道でも養蚕業をしていた家が結構あったらしいのです。
札幌の桑園という地名もお蚕さんを飼っていたということを今に残しています。東川町にも養蚕農家が残され、札幌の開拓の村にも大きな養蚕農家の家が展示されています。