レストラン創業時から20代の男性スタッフで、どうも女性より男性の方が好きな組合の方らしい。彼はイムスからトライスキルで５分程度のところに住んでいて、家族と一緒だ。以前「社内親睦プールBBQ大会」の時小学生の弟を連れて来て、弟の面倒を見る優しいおにいさんなのだ。
最初から非常に大人しく頼りない感じの青年だったが、真面目で誠実な人柄が私も気に入っていた。しかしひとつ気になる事があった。どうもお客に愛想が無いのだ。笑顔が少ない。
しかし注意したところで直りようが無いので、やんわり指導していた。しかし、これには理由が有ったのだ。彼の前歯は虫歯が多く黒くくすんでいたので、恥ずかしくて歯を出して笑う事が出来ず、長年気にするうちに人相も暗い感じになっていたのだ。
ある日彼から歯医者で前歯を直したいので前借したいと申し出があった。10000ペソを彼に貸して給料から少しづつ天引きする事にした。数日後素晴らしい笑顔が戻った彼が出勤してきた。術後、歯に自信がついたのか笑顔も輝く好青年、仕事にも積極的に取り組んでくれるようになった。
ところで彼になんで今まで歯を直さなかったのかと質問すると、前の仕事の給料が安かったそうだ。イムスのムスリムの家庭用品雑貨に勤めていて、なんど朝5時から夜11時まで働いて180ペソだったそうだ。当然イムス市の最低賃金は480ペソで設定されているのだが、最賃を大幅に下回る待遇だ。リアルでは当然仕事が欲しい人は最低賃金を少し下回っても応談の上仕事に就くが、さすがに180ペソは可哀そうだ。