走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

国公立病院の再編成-地域格差

2019年11月05日 | 仕事
シリーズ4日目

医療機器の続き。

町医者が主だった頃は医療機器と言っても今のように多種類で、高額ではありませんでした。医療機器の発達のスピードは早く、新しいものが次々と出てきます。原価消化しないうちに買い替えの時期がやってきます。人口密度の低い地域では利用者が少ないので尚更です。このような医療機器の高度化や高額化も地方の小規模病院での経営を苦しめます。全ての病院が同じ最新機器を持つことより、それを病院間で共同で使うようにしたり、専門色を出し手分けするというのも手です。そう言うことを政府は勧めていると思います。これは理が通ります。

地域格差はどうでしょうか?これは深刻な問題です。田舎へ行けば行くほど急性期医療へのアクセスが悪くなる。都会の大学病院ではなんでもあるのに、胃カメラはあっち、CTはこっち、血管造影はこちらへと田舎に住んでいるばかりに、、、と国民の方が不安になるのはわかります。カナダは日本の国土26倍の土地に日本の1/5の人口が住む国です。地域格差は大きな課題です。しかし先に述べた理由で田舎に大病院を建設することは現実的ではありません。そのかわり検査や手術の為に交通費がかかれば州よりそれを支払ってもらえたりします。本来、外来で済ませることのできるガン治療が入院となる事もあります。小児であれば付き添う親への負担はかなり膨らみます。募金団体から支援を受けて病院近くのホテルに泊まるこもできるようになっています。しかしそうしてもアクセスやアクセスの精神的負担がゼロになるわけではありません。プライマリーケアは出来るだけ住み慣れた場所を離れなくても治療が受けられるように画策をします。テレヘルスと呼ばれる遠隔医療も進んでいます。以前も書きましたが、プライマリーケアが専門医に電話で即コンサルトできるシステムも配備させてあります。ジレンマを抱えながらも、水準の高い医療を集中させる事で経営のバランスを確保(医療崩壊を防止)することが今のベストの選択となっています。模索はこれからも続きます。はっきり1つ言えるのは高水準の医療施設を多く作ることは解決策ではない事。これは明らかです。

さあ、ここまで急性期病院について書き続けて来ました。次はその他の医療についてです。

続く



2000年前にはこんな建物が、そして囲いもなく自由に行き来できる。日本だったらレプリカにも触れないのに、それだけゴロゴロあちこちで見られるローマの遺跡。




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