走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

VITT とTTS

2021年05月11日 | 仕事
日本のコロナワクチンは現在ファイザーのみですが、モデルナ、そしてアストロゼニカも今後入ってくるそうですね。ファイザーとモデルナは同じmRNA ワクチン。しかしアストロゼニカはアデノウイルスを使ったワクチンです。で、今注目されていのが副作用の

Vaccine induced immune thrombotic thrombocytopenia (VITT)
Thrombosis with thrombocytopenia syndrome (TTS)

ビットとティスと呼んでいます。その可能性は以前にも書きましたが、発生率は非常に低いのですが、接種率が多くなるから各地で発生しています。ケベック州ではお亡くなりになりました。BC州でも一件発生しましたが安定した状態と聞いています。前回書いたように副作用の可能性はあっても昨日書いたようにコロナに感染すれば血栓症の可能性は比べ物にならないほど高いので、使用に踏み切っています。

先週の記者会見でヘンリー博士がキッパリ言います。血栓症になっても医療機関を受診すれば直ぐに治療してもらえるので安心して欲しい。家庭医も救急医もNPも治療方法を熟知していると言いきりました。さあ、アストロゼニカを迎える日本の医療者の方、VITTとTTSの鑑別診断と治療方法をご存知ですか?

私は先週まで知りませんでした。でも今は知っています。何故なら先週のうちに全ての医師とNPにVITTとTTSについての診断、システム整備、治療についてのメモが発送されているからです。4ページのメモがあるから見逃しや誤った治療をする可能性が低く、早期対応ができるというわけです。

このような手回はとても重要だと思います。最速で進んでいるコロナ関連の医療。毎日の仕事に追われている最前線のものにとって根拠と参考文献が書かれていて、何をしたら良いか?明確に書かれている文書は役立ちます。そして州民を救います。

日本のトップの方々もこのような努力をされている事を願うばかりです。

注釈
前回の記事から時間が経っているので、発生確率が修正されています。

アストロゼニカワクチンによる血栓症の可能性は 1:100,000
コロナに罹患して血栓症発生の確率
入院する必要のない軽症グループ 1:100
入院する必要のある重症グループ 1:20
ICUケアが必要な超重症グループ 1:10



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