走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

やはりの陰に

2020年06月19日 | 仕事
昨日の彼女は退院後に腹痛の為に救急で受診もしているのです。救急でしたのは腹部CTとエコー。とっても複雑な病態の上、問診も難しい(頭部外傷後でコミュニケーションが難しい)彼女なので、いろいろ検査したい気持ちはわかりますが、基本的な事をキチンと抑えていればCTやエコーも必要なかったし、麻薬を服用してどんどん便秘が悪化などとはならなかったはず。今の仕事を始めて(診療をする職種: NP)7年ですが、未だに基本が大事と自分に言い聞かせる事があります。と、言うかそうしないと経験数が増えて診断のプロセスを「慣れ」から端折って誤診へ繋がる、、、足元をすくわれないように(訴訟にならないように) NP学生1年目のような、きっちりした問診、鑑別診断を上げるのを忘れないように、と心に刻むのでした。なんたって救急では便秘に辿り着けなかったのですから。

それに入院中にレントゲンで便が詰まっている事がわかり、医師は浣腸の指示を出した。看護師はそれを行った。しかしその反応が乏したかった事に医師も看護師も反応しなかったのがとても残念。医療は計画、反応、診断の練り直しと続くのだ。ここが継続的なケアの重要性を語るポイント。指示の出しっ放しはダメですよ。報告がない事は良い事なんて診療におけるこんな推測は許されません。

それに指示を施行した看護師も指示の目的がわかっていれば、反応を観察、記録、報告の重要性がわかっていたと思う。もしかしたら看護師は排便あり、と記録していたかもしれない。だって私が患者に問診した時も彼女は便がでた、と言った。しかし私はどんな便が?どれぐらい?と聞き方を変えた。それによって反応が乏しく宿便が居座っている事が分かったのだから。よって看護師も医師も言葉の勘違いでとんでもない方向へ進まないように、砕いた質問を患者にする様に心がけましょうね。

患者には、こんなに便の事をあれこれ聞かれたのは初めてだ!と言われましたが(笑
緩和ケアのコンサルで働いていた時は便パトロール隊員!チーム内で笑い合っていた時もあったわ。
便を侮るでなかれ、これに限ります。


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