走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

初めての経験

2016年04月05日 | 仕事
正看護師になっのが1990年。医療に足を突っ込んで26年経った。呼吸停止や、心停止、アンビューバッグを押したり、挿管(息が出来るように管を肺の入り口まで入れる)の介助だって、気管切開の介助だって、心臓マッサージだってしたことあるけど、これは今日が初めてだった。

マウス To マウス (口と口での呼吸補助)

シェルターにあるクリニックで診察の日。コミュニティーミールの日でたくさんの人が食堂で昼食を食べていた。私は自室で昼ごはん。電話がかかり、食堂でオーバードースで倒れた人がいるから来て!と。

拮抗薬のノルカンキットを持って食堂でに向かうと、人が群がっている。誰かが新マッサージをしている。そばにはノルカンのアンプルと使用済みのノルカン用の注射器が転がっている。目を見るとピンホール。息をしていない。

まずは救急隊を呼んだか確認。ノルカン投与は2分前。心臓マッサージをしていたのは先週にキットを持つための講習会を終えたばかりの彼女。

覚えてる?心臓マッサージより呼吸の介助が必要よ、と私は伝えた。彼女は2息ほど吹き混んだという。で、私もキットを開けてフェイスシールドマスクを取り出す。

気道を確保して一息。胸郭が膨らむ。息が入っている証拠。

脈はある。心臓マッサージはいらない。刺激を与えて起こす。起きない。

5秒後にもう一息。そして5秒後にもう一息入れようとしたら、自分で息を吸い出した。

しばらくして起き上がった彼。驚いて逃げようとする。ノルカンの作用が切れる30分後ぐらいに、また意識を失い呼吸が止まる可能性があるから、ここを動かないようにと説明する。

で、救急隊の到着。彼は病院へ運ばれて行きました。

今まで救命救急のライセンス更新のたびに人形に息を吹き込んだことはあっても、生身の人間にするのは初めてだった。緊張したー。それにこの人唇に傷があったし、、、、何ももらわないようにマスクのビニールの部分でカバーするように当てがって、、、

ちなみに、昨今体液でうつる感染症があるので、見ず知らずの人と直接唇を合わせるのは避けなければなりません。ファイスシールドマスクが風で飛んだりしたら、服をあてがって代用してもOkです。しかし服が滲むような傷があるときは、自分を守るためにも、呼吸介助は避けたほうが良いかも。相手次第と状況の判断をしなければね。



カナダの国鳥はカナディアンギース。国鳥なので傷つけてはいけません。シェルターのそばに住み込んでいるつがい。春には赤ちゃんだろうね。赤ちゃんは超可愛いけど。道路をピヨピヨ歩かれると、運転を止めなければならない。昨年は車の外に出て赤ちゃんたちを誘導させていたドライバーがいたなー

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2 コメント

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こんばんは (のびた)
2016-04-05 19:16:49
救急の効果で この方は命拾いをしましたね
貴重ないのちが一つ救われたケースでしょう
マウス・トゥ・マウス? 勇気が居ることですね
その方の容体や生活環境など 一瞬に判断するのですね
私も救急法を2度体験しました
それでもいざとなったら 実施できるか不安の方が大きいです
ハンカチも持って歩くことが少ないので 唇を合わすことも
躊躇してしまいそうです
もっとも 美人だったら出来るかも(笑)
カナダの国の鳥 鴨に似ていますね
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のびたさんへ (美加)
2016-04-06 09:46:17
私もイケメンには躊躇せず!なーんて。人の命に値札はつけれませんから:)
カナディアンギースは模様は鴨に似てるかもしれないけど、大きさや体型は白鳥に近いです。このカナディアンギースはハワイのネネと言う鳥の先祖なんですよ。ネネはハワイ島に渡ったカナディアンギースが新環境に合わせて変わった種類だそうです。
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