走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自分のできることを

2020年04月16日 | 仕事

外出自粛により一般の人が感染する可能性の芽を摘んできました。今イギリス、カナダで問題になっているのが病院以外の施設でのクラスター感染です。特に高齢者の介護施設で多くの死亡者を出しています。今はその対処に政府は全力を注いでいます。

集団生活をしているのは老人だけではありません。グループホームと呼ばれる施設は小さいものから大きいものまで沢山あります。刑務所だって集団生活です。刑務所でのクラスター感染も問題になっています。

私は先週ホームレスの為のローベリアハウジングへ行きました。48人がそれぞれの個室で暮らしています。その1/4が私の患者です。今週ようやく保険機構から施設のスタッフの為のマスクの支給がありました。施設側は何度も要求をしていたのに4週目での対応。これが施設でのクラスターが起こった要因の1つだと私は思います。しかし過去を責めても何も生みません。過去を生かして前へ進むだけです。

マスクの支給があったのは嬉しい事ですが、これだけでは不十分と思いました。何故なら先週の訪問でスタッフを見ていて、数点気づく事がありました。それをシェアする為に今週早速施設責任者と会議を行いました。私は感染や公衆衛生が専門なわけではありませんが、上からの命令系統を待っていては手遅れになり高齢者施設の二の舞になる可能性があるので一歩踏み出すことにしました。自分の患者をコロナから守る為に私も必死です。

会議ではまず、施設側からの質問に1つ1つ答え、必要があれば教育用のビデオやポスターなどを提供しました。次は私が気づいたことなどを交えて将来への対策。この対策は上から指示が出るまでの一次的なものだとしても、施設側はとても感謝していました。「自分たちは医療者ではないので全くわからない」状態だったからです。PPE(防護服など)があっても正しい使用と廃棄をしなければ宝の持ち腐れです。資源が豊富にあるわけではないのでそれなりの節約も必要です。清潔、汚染の観念がなければ簡単なものではありません。

皆が出来ることをタイムリーに行なっていく。しかし的確な情報の元に。非常事態だからこそ俊敏性と的確性が求められているのだと思います。


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