走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自殺をほのめかす

2018年05月06日 | 仕事
学会で診療所を空けている時に、私の患者が1人くる。
声が小さく、モゴモゴ話す。受付のお姉ちゃんに向かって、最近死ぬことばかり考えていると。彼はそのまま帰っていった。

そのメッセージを受け取った私。んんんー、過去に自殺企図がある彼。鬱の薬を拒否して飲まない。そしてホームレスなのだ。彼にはケアマネが付いている。ケアマネに電話を入れる。

近頃ケアマネとの予約もすっぽかして来ない。電話で話すと死にたいと言っていたと。ヤイヤイ、それでその後何もしなかったの?!

そんな事を咎めている間はない。ケアマネに探してもらうように頼み、見つからない場合は行方不明の捜査願いを私から出す事を伝える。

約束の時間までにケアマネは消息をたどることは出来なかった。ホームレスのシェルターからも数日前以来、姿を消している。病院の訪問歴も調べた。病院を訪れた形跡もない。

私は警察へ連絡した。捜査願いだ。もちろんホームレスなので簡単にはいかない。しかし自殺をほのめかす事を放っておくことは、免許が取り上げになるくらい重大なミスになるのだ。やるべき事を全て行っておかなければならない。

ケアマネとその上司とケースレビューはその後だ。



5月。でも北の国ではまだ桜があちこちで咲いています。

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