走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

患者が作り上げる緊急事態

2015年12月04日 | 仕事
強度の麻薬を高量使用している彼女は癌患者ではない。糖尿病による末梢神経がやられ、神経障害がその理由。以前の家庭医がそこまで麻薬量をあげたのだ。薬物依存歴がある彼女のとって、不必要なぐらい高い量だ。1週間ごとの処方で悪用を防止している。

私の患者になって数ヶ月。毎月何かに理由をつけて、処方以上に服用して、薬が早くになくなってしまう。

一ヶ月前、これは許されないことで2度としないようにときつく話したにもかかわらず、同じことをした。使用量は2倍に膨らみ、もう薬がない、急いで処方をしてと電話を入れる。私はアウトリーチで出ていたので午前中の間だけで10回オフィスにかけて来たそうだ。

アウトリーチ先のオフィスも同様だった。だって緊急事態だからと。

確かに腕を骨折したのは事実。しかし、先週受診した時は何も言わなかったのに、かなり怪しい。

電話先で懇願する彼女。オフィスで再診できる日を避け電話で対処しようとするのも印象悪い。

NPは麻薬の処方はできない。サポートの医師と相談したら、今回は不足分の処方はしないからとキッパリ断られた。

私としては最後の一回のチャンスとして1日ずつの処方にして増量を避ける条件で、不足分を出すと言う思いだったが、医師には伝わらなかった。

今のところ退薬症状はないし、出れば救急で診てもらう、これだけだ。

緊急事態を作り上げれば、麻薬量をあげてもらえるなんてそんな画策は通らない、という事を今回のことを通して知ってもらいたい。



近所の散歩コース。鏡のような川の支流。先週は冬晴れで綺麗な毎日だったなー

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