走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

社会の一員

2015年04月23日 | 仕事
メンタルヘルスがある人が集う施設がある。安価な食事を提供したり、ヨガやストレッチ、ホッキーやサッカー、ボーリングやスイミングに行ったり、音楽を奏でたり、クラフトやアートなどなどが出来る。スタッフと参加者によるボランティアで活動している。社会で働くことはできなくても、ここで小さな仕事を積み重ね、社会の一員として生きていく。素敵な施設だと思う。

そこへ行くマリア。彼女の双極性障害は落ち着いている。マリアは画家でもある。なので参加者の肖像画を描いたり、絵画を教えたりしている。

マリアの調子が最近悪い。病気の症状が悪いのではなく他の参加者とうまく行かないのだ。理由はマリアの病状が軽く、重症の他の参加者と気が合わない、相手が重症だと自分に誰も注目してくれないと嫉妬。かといって健常者と混じれるほど健康ではない。私の居場所はどこにもない。友達がいないのよ!彼とも別れてしまった!と、、、

彼のことがどうやら一番大きかったようで、、、。

自分はメンタルヘルスがあるから変な彼ばかり捕まえて長続きしないし、どこへ行ったら素敵な彼と会えるのよ?!

あ、、、、恋愛相談所じゃない、、、よ、、、ここは、、、、と思いつつも、

彼女の気持ちを汲み取り、それをノーマライズする。州と地域が作ったメンタルヘルスのオンラインのコミュニティーを紹介した。ここでもっと気の合う人と出会えるかもしれないと。

人間は一人で生きていけない。社会の一員である認識がなければ生きる意味をなくす時もある。健常人であってもメンタルヘルスがあっても同じだ。彼女の気持ちはわかるのだ。どこかでマリアにとって良い場所が見つかりますように。


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