カナダでは毎日首相が自宅前で会見を行っています。BC州は毎日正午に(日本で言う)厚労省相と公衆衛生医療の長が報告と会見を行っています。これをテレビ、ラジオ、SNSで直接流し正確な情報の共有と拡大を行い、政策の統一性を図っています。
昨日、時期尚早かもしれないが、、、と前置き付で先の明るい報告がBC州でありました。こちらがそのグラフ。感染者の数が予想したグラフのカーブより緩やかになってきていることです。
職場の週一のオンライン集会でも公衆衛生医師(私の所属する保険機構の公衆衛生の長)からも再々聞くのですが、中国での新型肺炎の発生から公衆衛生医達はその統計から予測を立て、それによって組織は対策を練ってきています。ヨーロッパでの状況ももちろん予測に組み込まれ、色々なケースを想定して緊急対策を日々練っている。その予想カーブから下回るカーブになり出したと言う朗報でした。
で、この結果はphysical distance (フィジカルディスタンス: 他人との距離)の効果の現れであろうと発表されました。開始された当初はSocial distance (ソーシャルディスタンス)と呼ばれていました。しかし解釈に個人差が出ているため、言葉を改め、具体的な内容を付け加え、州民に徹底させる事に勤めました。
こちらにその詳しい内容が出ています。要訳を日本語でここに書きます。
買い物の為の外出を週一に減らす。
1人で出かける。
外出を避ける。もし散歩や気分転換、買い物のために外出する場合は他人との距離を2m以上保つ。
ショッピングモールなど人が集まるところを避ける
家に人を招かない。
です。既に自宅勤務を推奨し、教育機関の閉鎖。宗教活動の為の集会禁止。エッセンシャル(生活に必要な最低限の物資、流通)以外の営業は禁止され、レストランやカフェも配達以外での営業は禁止。劇場、映画館、カジノなどの娯楽施設も営業禁止。結婚式、葬式も制限。バスなどの公共交通手段も他人との距離を2m確保できるように収容人数を制限。美容室、ネイルサロン、マッサージも禁止。
自然の多いカナダ。上記の状態でも自然公園やビーチや山に集まる人は多く、2mの距離が確保できない理由からそれらも閉鎖。
１つの屋根の下で暮らす人は1ユニットと考えるので、3人兄弟が遊んでいるのは良しとされるけれど、親戚だろうと違う屋根の下で暮らす２つの家族が2m以内で交わっているのは違反となります。
医療も同様で、病院や長期療養型施設(ホスピスを含む)への立ち入り規制(面会や付き添いの規制)、スタッフの休憩室も2mを守るか、防護服の着用。COVID19以外の患者をケアする時も防護服の着用を義務化。これは訪問医療も同様。歯医者も緊急以外の診療禁止、診療所やクリニックも電話かビデオ診療へ切り替え。薬の処方も長期処方を可能にするなど、とにかく人と人が交わる可能性を絶っています。
これらは症状のない一般人に対する規制で、風邪症状がある人への自宅隔離は別です。感染が確認された人の場合へのガイドラインも別にあります。因みに公衆衛生医療(保健所)の追跡、命令は一次的な法律となるので違反すると罰金が処せられるようになっています。警察がやってきますよ！
このような生活を送って2週間が経ちます。なので日本の方が未だにレストランで食事をしたり、花見がてらに大勢の人がひしめき合ったり、アリーナに人が集まっているのを見ると、どうして日本だけパンデミックを軽視できる状況なのか？と不思議に感じてしまいます。日本、大丈夫ですか？
PS
コストコでは2mが確保できるように入場者の数が限られ、入り口から長い行列(それも2mの確保)が建物の周りをぐるっと囲んでいます。他の大型店は注文と支払いをオンラインで行い、駐車場で荷を車に積んでもらう形を取っています。デリバリーも現金の受け渡しは無しで、指定された所(ドアの前とか門)へ置き去りの形。どれも言葉を交わすことなく、顔を出すこともなく確実に物資の受け渡しができるシステムを使っています。
人と人との接触を断つことが効果的な根拠はこちら。
一番下の季節インフルエンザの感染率が0.9-2.1に対し新型肺炎は 1.5-4.5 ですから、感染力の高さが目立ちます。注釈書きがあるようにこれはあくまで中国の状況から換算したものでヨーロッパを入れるとこの率はもっと高くなるかも。ついでに言いますが一番上のMeasles は日本語で 麻疹(はしか)です。感染率は12〜18とダントツです。だから世界中で予防接種が推奨されているんです。予防接種で感染率を限りなくゼロに近づけるから。予防接種を受けない事がどれだけ愚かな事かわかりますか？
