走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

安楽死

2016年01月08日 | 仕事
その人らしく死ぬってどういう事なんでしょうか?
前にも書きましたが生まれたからには必ず死ぬ。だから死ぬこと自体より、いつ、どうやって死ぬかが重要になってくると思う。きっとこの延長線上に安楽死があるのだと思う。

昨年は2月にカナダでは安楽死を認める最高裁の判決が下された。安楽死をしたいという患者の希望が違法ではないと決められたのだ。法的整備その他のために一年の準備期間的な処置が出た。一年の間に州レベルでの上告がない場合、各州が国の高裁の判決に従うことになるのだ。

で、もうすぐ一年。来月2月で一年になる。各州レベルの行政、プロフェッショナル団体のレギュレーションは整備されたのでしょうか?

私の以前の専門はホスピス緩和ケアでした。安楽死は緩和ケアが浸透し誰もがアクセスできるまで議論すべきでないと言われていました。痛みや苦しみを緩和する事が可能である上で安楽死の選択肢が生まれるべきだからです。

で、カナダは緩和ケアの先進国の一つと言われています。国土が広いので完全ではありませんが、各州軒並み揃ってきました。

昨年秋、バンクバーで緩和の医師、看護師、ソーシャルワーカー、スピリチュアルケア、弁護士、警察、政治家が集まり公開で安楽死についてパネルディスカッションが行われました。大勢の医師が視聴者として参加していたと聞きました。

医師の多くが不安を感じています。BCの行政も、医師の団体も何もレギュレーションを作っていません。そんな中ケベック州には2月になったらすぐにでも安楽死を介助しますと宣伝しているホスピスがあります。職員の半数以上が賛成したと言っています。しかしチームの半数って誰を指しているのでしょうか?非常に気になります。密室の決断にならずに患者とその家族誰もが納得できるクリアなプロセスができる事を願いたい。

昨日から東海岸に移動しました。乾燥地帯の西海岸と違い熱帯雨林が広がり緑が濃い所です。旅もあと半分楽しむぞー




滞在している黄色いハイビスカスコテージ。広い敷地で鳥の声が絶え間なく聞こえ、どの窓からも緑と青い空。海も目の前。幸せの予感。

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2 コメント

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ハワイ島 (kay)
2016-01-08 14:30:10
ハワイ島も、西海岸は乾燥地帯、東海岸は湿潤なのですね。オアフも同じです。
ところで、安楽死のお話、確かに簡単に議論できることでは
ないですが、わたしは大事な選択肢だと思っています。
「死にたい、死にたい」と苦しみながら亡くなった患者さんたち。
ホスピスという選択肢がなかった人達もいました(背景事情はわかりませんが)。
これからも、安楽死については賛否両論が続くでしょうが、
後退せず前向きにとらえていってほしいと個人的には思います。
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Kayさんへ (美加)
2016-01-10 02:19:49
私の髪は"天然パーマ"なので、東海岸に来て以来何をどうしようとすごいボリュームになっています。しかし鳥のさえずり、緑の多さは半端じゃありませんよ。
死ぬってわかったら、予後を無視して、あー早く死にたいって思う人が多いですよ。人間の心理は非常に難しく、定規で測れないし、予後を(期間や症状コントロール)ドンピシャで語れる医療者はいないし、、、しかし緩和を長くして思うことは、死を前提にしても生きる意味を患者と家族が見つけ出す、大切な時間が生まれることです。それを抜きにして安楽死へ直行するのは非常に危険だと思います。究極の選択であって、安易な選択であるべきでないと思うのです。そう言う点で社会全体が議論を深く交わしていくべきだと思うのです。
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