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南英世の 「くろねこ日記」

徒然なるままに、思いついたことを投稿します。

金の値上がり

2019年06月21日 | 日常の風景
金の値上がりが続いている。1オンス(約31グラム)1400ドルを超えてきた。これは日本円に換算すると、1キロ約500万円になる。5年9か月ぶりの高値らしい。ドルで表示された過去30年間の金価格(1オンス)は以下のとおりである。






いまから50年ほど前の金価格は1g=1000円、すなわち1キロ=100万円くらいだった。ところが、1971年の金・ドル交換停止によって金への選好が急速に強まり、金価格は1980年には1g=6945円の史上最高値を付けた。しかし、その後20年間は下降トレンドをたどった。

上の30年間のグラフで表示されているピークは2011年のもので、6945円をつけたときのものではない。2011年以降、金は下落し、円に換算すると1g=3500円から5000円のレンジ内で推移している。

短期的な金の価格は大きく二つの要因によって動く。
一つは金利の動きである。金価格はアメリカの金利が低くなると値上がりし、金利が高くなると値下がりする。なぜなら、金利が低くなるとアメリカからドルが流出しドル安が進行する。一方、ドル安が進行するとドルの信頼性が失われ、代わりに金が購入される。だから、金利が低くなれば金は値上がりする。
これを日本から見れば、円高(=ドル安)になれば金が値上がりし、円安になれば金は値下がりすることになる。金の地金を持っている人にとっては、円が値下がりして金が値上がりしてくれると一番儲かるのだが、そうはならない。

もう一つの要因は、「有事の金買い」である。すなわち、戦争が起きると安全資産として金が買われる。アメリカ同時多発テロやイラク戦争がいい例である。ただし、プロは戦争が勃発する半年前から金の保有を増やして、戦争が始まったときにはもう売っているともいわれるので注意が必要だ。

今回の値上がりの背景にあるのはアメリカの金利引き下げの動きだと説明される。中国との貿易摩擦でアメリカ経済が減速するとの観測から、FRBは金利引き下げの検討に入ったという報道があり、その影響を受けているというのだ。



しかし、それだけで今回の金価格の異常な値上がりを説明できるのだろうか? 最近の1か月の間に1オンス1280ドルから1400ドルまで10%も上昇しているのだ。ひょっとしたらどこかの早耳筋がアメリカとイランの戦争を見越して密かに金買いを行なっているのかもしれない。

世界の金の年間生産量は約3000トン。1トン=50億円とすると、わずか15兆円に過ぎない。そのうちの55%は宝飾向けで、残りが地金ややコインといった通貨・投資対象となる。東京証券取引所の1日の売買代金が3兆円、ニューヨーク証券取引所はその3倍近くあることと比較すると、金市場は極めて小さい市場であることがわかる。だから、わずかな資金の流入でも金価格は大きく変動する。まさに池にクジラが飛び込むことになる(笑)。

今の金価格の上昇が一時的なものか、それともしばらく続くのかは誰にもわからない。金価格は金の相場と為替レートによって変動する。もし日銀がさらに金融緩和を続け、円への信頼が揺らいで円安になるとすれば、金価格の上昇トレンドは今後も続く。しかし、為替相場の動きを予測するのはさらに難しい。


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