瀧澤美奈子の言の葉・パレット

政を為すに徳を以てす。たとえば北辰の其所に居りて、衆星の之に共(むか)うがごときなり。

文科省、海洋表層の放射能汚染シミュレーションを発表

2011年04月13日 | 科学ニュース
 文部科学省が、4月8日までに行ったモニタリング結果をもとに、4月9日から5月15日にかけて、福島県沖の海洋の表層をどのように放射性物質(ヨウ素131とセシウム137)が拡散していくかを予測したシミュレーション結果を公表しました。

 シミュレーションは、海洋研究開発機構のJCOPETという、3キロ×3キロを一マスとして海流を予測するモデルを使って、スーパーコンピュータで計算されました(海水温や塩分変動、黒潮、親潮に加え、最新の風、潮汐が考慮されています)。

 今回発表されたシミュレーションでは、4/12以降第一原発からの汚染水の排出が停止したと仮定しています。文部科学省では今後、最新のモニタリング結果を反映させながら見直しを行うとしています。
 
シミュレーション結果のポイントは、
1.放射性物質は、福島沖の海流(複雑でゆっくりした流れ)に乗って、徐々に沖合いに拡散しながら移動すること。
2.4/12以降、汚染水の排出が停止した場合、5月にはヨウ素131、セシウム137ともに原子力施設の排水濃度限度を超える海面はなくなること。
 ※原子力施設の排水濃度限度はヨウ素131が40[ベクレル/リットル]、セシウム137が90[ベクレル/リットル]


シミュレーションの動画(Yahooニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20110413-00000057-jnn-soci


(プレス発表資料)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/12/1304939_0412.pdf

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以下は私見です。
先日、福島沖より南の北茨城沖でとれたコウナゴから、基準値を大幅に超えたセシウムが検出されて大騒ぎになったことは記憶に新しいところです。福島沖には今回のシミュレーションで示されたような沖に向かう流れの他に、速い速度で南下する沿岸流が存在することが指摘されていますが、今回のシミュレーションにはこの沿岸流は反映されていない(そもそもモニタリングの範囲外)ことに注意が必要かと思います。

ですので、南下する海流に乗って放射性物質がどう拡散していくのというのも、じつは気になるところです。
ただし、汚染水の排出が大幅に減っていることもあり、現実に沿岸流が運んでいる放射性物質の量も減ってきているようです。
茨城県独自のモニタリング結果によると、12日に採取したコウナゴから検出された放射性ヨウ素と放射性セシウムは、それぞれ基準値を下回ったということです(放射性ヨウ素が1600[Bq/kg](基準値は2000[Bq/kg])、放射性セシウムが357[Bq/kg](同500[Bq/kg])。



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1 コメント

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Unknown (HMS)
2011-04-17 17:37:54
どうでしょう?淡水(河川)で溶けた放射性同位元素は主として表面を流れるでしょうから、その動向は複雑ではないかと。また、周りの海水と温度が違う水塊(密度跳躍層)を形成した場合には、長期間濃度を維持したまま、移動する可能性もあります。
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