”いきものみっけ”というイベントに、案内人ということで参加してきましたが、自然観察はひとりでやっても楽しいのです。
というわけで、ひとりで多摩川の近くの公園を散策しました。場所は大田区の宝来公園。
この公園がすごいのは、通路以外あまり手を加えていないこと。だからといって手入れを怠っているわけではありません。それが生き物にとって素晴らしい環境を作り出しています。しかも池があって、水が流れているので多種多様な生きものがいてびっくりします。
まずは、こんもりと背の高い林が茂る公園に入る口。
住宅街を歩いて公園に近づくと、一歩進むたびにセミの声が大きく響いてきます。別世界です。まるで公園全体がひとつの生命体のよう。もしくは、生命を抱いたひとつの銀河のようです。
入口は何箇所もありますが、ここを入るとすぐに小さなバタフライガーデン(勝手に命名)があります。シジミチョウやアゲハ、モンシロチョウなどが、蜜を吸いに来ています。
そこで警戒心が少ないのか、静止した状態で近くに寄って撮影できた唯一のチョウがこちら・・・
アカボシゴマダラというマダラチョウの一種です。もともと台湾や奄美地方など、暖かい地方に住んでいたチョウなのですが、最近は関東でも確認されているそうです。確たる理由は不明です(チョウマニアが放チョウしたという噂も)。
私が公園のなかを歩いていると、別のお花畑の近くでもひらひらと舞っていました。結構人間に近づいてきます。
インクベリー(ヨウシュヤマゴボウ)の花が咲き、実もなっています。こういう花にもチョウがやってくるのです。
ちなみに、インクベリーの果実をすりつぶすと紫色の色素がとれます。ですがこれは有毒ですので、ベリーと名前がついていますが食べられません。
遠くを飛んでいてうまく撮れなかったですが、
ハグロトンボです。
このほか、とても大きくて真っ黒のアゲハ蝶もいました。
チョウの女王のようにこの林のなかを悠然と飛翔していました。しかし、
移動のスピードが速くて、まったく撮影できませんでした。まるでこちらを試しているように、現われては消え、の繰り返し。
セミの合唱は終始フォルティッシッシモ。
でも姿は・・・ということで探していたら、低い木の幹にとまったのを発見。
アブラゼミのようです。
足元には白いキノコ、木の根元にはアリ地獄(ウスバカゲロウの幼虫の巣)の穴がいくつも見つかりました。このすり鉢状の穴の底ではアリジゴクが、獲物のアリを待ち構えていることでしょう。
・・・と、瑠璃色にキラリと光るワイヤーを発見。
追いかけてみると・・・
体長12センチほどのニホントカゲが慌てて私から隠れようとしています。
トカゲはいざというときに、しっぽを切って逃げることができます。
だから、しっぽだけこんなに派手なんですね。
敵が、派手なしっぽのくねくねと動いているのを見とれている一瞬の隙に、
トカゲ本体は逃走を成功させるというわけです。
かわいそうなので触るのはやめました。
ほかにもいくつかの動植物を見つけて、ふと時計を見ると2時間が経過。
こんなにたくさんの生きものを発見できるなんて!
大都会のなかで、人知れず小さな生き物が懸命に生きている、
その発見の感動があるからこそ、またここに来たくなるのです。