本空山(ほんくうざん)無量寿院称念寺。浄土宗知恩院派の寺で、開山は称念上人、中興開山は嶽誉上人。1606年、松平伊豆守信吉(土浦城主)が、母(家康の異父妹)の菩提寺として建立し、かねて帰依していた嶽誉上人を招いたところ、上人は、寺の開山を称念とし、自身を「中興」と位置づけた。実際の開山と名目上の開山が別人というのは、ときどきある。
1998年再建のまだ新しい山門(写真上・左)の、軒丸瓦には三つ巴。
飾瓦に徳川葵と菊紋。
創建の背景から徳川葵は理解できるが、菊紋はどういう訳だろう。
「猫寺」の通称は、三世:還誉上人の愛猫の報恩伝説に依るが、上人がその猫を偲んで植えたとされる松(写真下)も、猫が伏した姿、と言われる。また、上人が猫の霊を祀ってから、その供養は引き継がれ、今ではペット供養の寺となっている。
写真の腕が悪くて良く取れていないが、この幹にして、この枝ぶり。その成長を枝の横張りに特化させている。そこここに配置された支え木によって枝の張りが整えられ、美しい形を保っている。西山善峯寺の遊龍の松しかり。松は、姿がいい。手入れされて、なおいい。
本堂前には、木像、本堂屋根には、梵字の飾りがあった。
寺の名前ともなった称念上人は、浄土宗捨世派の祖と言われている。鎮西派・西山派に分かれた浄土宗で、鎮西派の白旗流から分かれた 知恩院流・黒谷流・一心院流のうち、一心院流が、後に捨世派と呼ばれるようになったらしい。「捨世派」、字面そのままなら世捨て人。一遍のような念仏聖を想像する。一遍の一向宗(時宗)もまた、鎮西派から分かれたものだった。称念という名前も、浄土宗らしい名だ。念仏を唱えることで救われる、名を以てそれを広め、身を以てそれを示したということだろうか。
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