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最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

バレンボイムのシューベルト、ピアノソナタ。

2014年10月01日 22時56分52秒 | シューベルト
SONYも経営不振とか。3月期決算の予想赤字額を2300億円とし、株主配当を見送るそうです。我々世代にはSONYのファンが多いです。私も初めて買ったラジカセは、SONY製で当時では珍しいステレオ再生ができるもの。オーディオもSONYで、プレーヤーはいまでも現役です。大学生の時にウォークマンを最初に聴いた衝撃が忘れられませし、最近もヘッドホンを買いました。電機メーカーは新興国との競争で苦戦していますが、なんとか頑張ってほしいですねえ。

そんなわけで、今回はシューベルトです。先頃、ダニエル・バレンボイムによるシューベルトのピアノ・ソナタ集が発売されました。これは5枚組で、 第4.7.9.13.14.16.17.18.19.20.21番の合計11曲が収録されています。D.557.625.840などは収められおらず、断片の作品もありません。少々残念ではありますが、これだけの録音が一気に5枚組として発売されたことは、聴く方からすると嬉しいです。2013年1月~2014年2月の非常に短期間の録音であります。この中から、ピアノ・ソナタ第16番イ短調D.845であります。

しかし、最近アバドやマゼールが逝去されました。バレンボイムは少々下の世代としても、1942年生まれで、今年で73才。長生きしていろんな演奏を聴かせて欲しいですが、高齢であることは確かです。バレンボイムのシューベルトは、歌曲の伴奏などはありましたが、ピアノ・ソナタはほとんどが初めての録音。でも、こんなにまとまった録音がでるとは、指揮のほうも合わせて、今後も期待できそうですねえ。

そんなバレンボイムですが、まあ彼に関してはいろんな意見があります。指揮でも同様と思うのですが、一言でいうと「くさい」。つまり甘美なところは必要以上に大甘に、激しいところは大袈裟すぎるとか、恣意的なテンポの変化が耳につく、などと言うことだと思うのです。フルトヴェングラーを意識しても、表面的に似ているだけで本質はまったく違うとか。まあ、手厳しい批評を聴くことあります。一方では才能あふれんばかりの人へのやっかみもあるんでしょうがね。

しかし、このような意見も、聴き手によればいい演奏と思える言わば、紙一重であり、私は確かにそんな風なところもあるが、好意的に捉えています。このシューベルトのソナタも、強弱の変化もダイナミックな演奏であり、それに心が揺さぶられる。旋律を気持ちを込めて歌うところにも大いに共感が持てる。テンポの揺れはテンポルパートとして効果的だ、とまあ短所を長所に一つめくるとなっていくのでありました。

この16番のソナタは短調の曲。全曲で40分あまり。シューベルトらしいメロディがあふれていますが、一方で長いなあと感じるところもあるし、ドンドンパンパンと来て?、退屈な曲となり、けっこう演奏が難しいと思うんです。しかし、このバレンボイムのピアノは、実に飽きない演奏を展開してくれています。全体を通じて、メリハリの非常に効いたピアノであり、実にダイナミック。大音量で聴くと、強打と低音がズンズンと響いてきます。全体的にテンポはゆったりめで、メロディはしっかりと明確に入って来ます。第1楽章は、強打による魅力的な旋律が歌われ、長い楽章であるが、バレンボイムの巧さが満喫できる。第2楽章アンダンテ、一転して安定感に満ちたしっとりしたピアノで、訥々と次々に曲想が展開されていく。後半は強打が再び戻り、快適なピアノになる。第3楽章スケルツオ、畳みかけるようなピアノによる特徴的なスケルツオは、聴きやすく、変化に富み、興味深い曲として印象づけられます。そして、第4楽章、一番短い楽章ですが、けっこう不安定。でも、バレンボイムの巧さがここでも光り、メリハリの富んだ演奏に惹きつけられます。私的には、このバレンボイムのピアノソナタは、なかなかいいですねえ、そんな印象が強いのでありました。

その昔、ソニーのウォークマン、ステレオで聴けて、その音にほんとに感動しました。あのときは、本当にすごい製品を作ったんだなあと思いました。そんな製品をまた作って欲しいですねえ。(DG 4792783 2014年 輸入盤)

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2 コメント

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Unknown (クレモナ)
2014-10-04 15:20:15
シューベルトのピアノ・ソナタ、結構所有はしているんですが、あまり頻繁には聴きませんね。リヒテル、ブレンデル、内田光子、等々。後期の曲がやはり聴きものですが、私は可愛らしい第13番が好きです。あのリヒテルが慈しむように弾くこの曲、大好きです。メロディ・メーカーのシューベルトらしい佳曲ですね。もちろん、第16番も好きな曲ですが、バレンボイムは持っていません。バレンボイムという人、才能の塊ですね。でも、それが器用貧乏になってしまうきらいがあります。何でも弾きますし、指揮も素晴らしいですが、代表的なものがないですね。不器用な芸術家のほうが、素晴らしい功績を残すことがあります。
さて、SONYですが、最近はヒット作がないですね。他のメーカーの後追いばかりで、落ち目の印象が強いです。トリニトロンやベータなどは独自の技術だったのに主流になれず、技術に固執しすぎて、転換が遅れるパターンが多いです。優れた技術があれば、リードできるという思い込み、世界のトップに立てない理由は、こんなところにあるのではないでしょうか?かつての、世界を楽しませる、ワクワクした製品を、生み出して欲しいと思うのは、私だけではないと思います。
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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2014-10-06 20:09:57
クレモナ 様、コメント感謝です。第13番は、いいですよね。私もリヒテルの演奏は大好きです。私は、シューベルトのピアノソナタは、けっこう聴く方かなと思っているのですが、これまでは、ケンプとルプーのものがけっこう気に入っていました。やはり、D.800台以降のものがいいですね。バレンボイムって、やはり何でもできることが、いけないのですかねえ。うーん、難しいものです。またご教示下さい。
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