こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

ケンプの優しいゴールドベルク

2013年03月31日 18時41分11秒 | バッハ
桜が満開になりました。昨日は、恒例の大学時代以来の研究会兼同窓会のような会合が和歌山でありました。神戸から和歌山まで行きましたが、南に行くと暖かいですね。さすがに遠い行程でしたが、恩師も交えて懐かしいお顔をみることができました。花粉も多く、悩まされましたが、楽しい一日でした。また、プロ野球も開幕しました。マリーンズ、最初の三連戦は2-1でなんとか勝ち越しましたね。順位予想では、多くの人が最下位でありました…。

1月に岡山に行ったときに、中古やさんで、ウィルヘルム・ケンプの平均律がありました。ケンプって平均律をどれくらい録音していたかなと、心に迷いがあって買いませんでした。一枚500円の2枚ですので、買えばよかったのですが、1・2巻の抜粋ということで、うーん、これがすべてなんかなあ、と…。それで、先日お彼岸に行ったときに、まだあるかなあ、と思って見に行きましたが、さすがに売れていました。残念でした。ケンプのバッハ、なかなかいいですよねえ。

そんなわけで、平均律はまた別の機会に是非買おうと思います。それまではゴールドベルク変奏曲で我慢?しましょう。ということで、JS・バッハのゴールドベルク変奏曲BWV988であります。1969年7月、ハノーヴァーのベートーヴェン・ザールでの録音。ケンプ74才のときの演奏であります。最初のアリアを聴くと、これは聴いたことない演奏やな、と思ってしまいます。それは装飾音を一切はぶいたものだからであります。

ゴールドベルク変奏曲には、グレン・グールドの超名演奏があります。しかし、このケンプの演奏は、グールドのものとは、まったく異なるものですね。私は元々、グールドの演奏というのは、それほど好きではありません。確かに聴く度にすごいなあという感動に近い印象はもちますが、それだけ。やたら、気ぜわしく思えたり、曲を味わうという気持ちにはなかなか慣れない。といっても、あまり聴かないのですが、聴くとすごいなあとは、いつも思うのですが…。

ケンプの演奏、まずピアノの音の柔らかさと落ち着いたところに深い感動を覚えますね。躍動感やピアノの切れ味や凄味、力強さなどとは無縁であります。それに対して、滋味や優しさに溢れています。一曲一曲が、実にいい曲だなあと思わせる演奏です。タッチは本当に柔らかいですねえ。例えば、コンサートのアンコールなどで、この中の一曲が演奏されたなら、その美しさや優しさで、本当に泣いてしまう、そんな演奏であります。

ただ、演奏の個性ということになると、それほどの変化がありわけではないのです。全32曲をそれも、同じような演奏や表情に終始しています。この点においては、少々物足りないかな、とも思うのです。しかし、不思議なことにまったく退屈しない。むしろ、こんなにいい曲だったのかと、改めて認識させて、曲のよさをしみじみと味合わせてくれるのでした。そして、深く聴いていくと、その演奏には、ケンプの細かい計算があるな、とも思わせてくれるのでした。

そして、装飾音を省いていることで、ケンプの柔かい演奏が耳にストレートに入って来る。非常に効果的なんですねえ。第3変奏は、躍動的な演奏に対して、非常に静。曲のよさを別の視点で感じます。第8変奏、ここでも簡素なピアノで曲の美しさを実感させてくれます。第15変奏、眺めの曲ですが、長さを感じず、曲の流れに心を委ねる心地よい気持ちがあります。第28変奏ゆったりとして中に、スケールの大きさがありますね。そして、第30変奏、ケンプ風の雄弁な演奏が心地よいです。

明日から4月。新年度であります。勤め先でも、トップ三人のうち、二人が転勤するということで、なかなかたいへんな年度当初になりそうであります。
(DG 439 978-2 GALLERIA 1994年 輸入盤)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 倉敷の朝比奈さん | トップ | 春の嵐と、バッハのカンター... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

バッハ」カテゴリの最新記事