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バックハウスの『楽興の時』

2021年04月18日 11時51分28秒 | シューベルト
関西は、コロナ大変になってきましたねえ。大阪は医療崩壊寸前です。これまで私の周囲の人で感染した人は一人知るのみ。特段外出や外食もしませんし、職場と家の往復。感染することの現実味が乏しいですが、ある日突然感染するんでしょうねえ。しかし、NHKのニュースでも、関西のことはほとんど他人事。東京も関西のようにならないように注意しなければ云々。2F発言で五輪開催も雲行きが怪しくなったし、頼みのワクチンもなかなかですねえ。ああ、心配だ心配だ。

まあ、それはそれとして、今回はシューベルトの『楽興の時』D.780であります。1823~28年の作曲。6曲からなるピアノ曲集。その昔、中学生のとき、日曜日の朝8時からNHKラジオで『音楽の泉』をベッドの中で聴いていました。村田武雄さんが解説をされていましたね。この番組のことを友人と話していたとき、このオープニングの曲を、私はチャイコフスキーの『白鳥の湖』の「四羽の白鳥の踊り」と思っていたら、その友人それは違うよ、シューベルトの楽興の時の3番だ、と教えてくれました。うん、学校のとき?。そのとき、私には「楽興」という語彙がなかったのでありました。とほほ、であります。その友人は、よく知っているなあ、とたいそう尊敬したんでありました。でも、『楽興の時』3番と「四羽の白鳥の踊り」、似てないですか?

とは言うものの、この『楽興の時』ってあまり聴いて来なかったんですね。シューベルトのピアノ曲のセットものには、必ずソナタ、即興曲に加えてこれが収められています。ソナタや即興曲は聴くのですが、なぜかこの『楽興の時』は避けてたように思います。しかし、この6つのピアノ曲は、シューベルトと魅力をたっぷり詰め込んでいるのでありました。

それでこの曲の演奏ですが、ケンプ、ルプー、内田さん、ブレンデルなどの名演もありますが、今回は、ウィルヘルム・バックハウスの演奏。1955年のモノラル録音であります。バックハウスのシューベルトって、あまり聴いたことないなあ、と思って中古やさんで見つけました。たしか、最後の演奏会でこの『楽興の時』は演奏しているし、二日ともに最後に即興曲変イ長調を演奏しています。ソナタなどはその存在を確認できませんでしたが、バックハウスの最後の演奏は、シューベルトだったのでありました。

この演奏、1955年の録音ですが、少々古いな、と思う程度で、ああモノラルだったんだ、と思う感じですね。それで、バックハウス、健板の獅子王は健在でありました。力強いピアノ、打鍵、そしてスケールの大きさは、まさに気宇壮大。それでいて、局面に応じての表情も豊富。現在の演奏では、確かにピアノの美音とか、偏った表情の深さなどでは、耳を引く演奏はありますが、全体的に堅固な構成と、豊かな詩情。そしてスキの無い演奏。まさにピアノ演奏の王道であります。

第1番ハ長調。ソナタの第1楽章のよう。あふれでるメロディーが高らかに歌われる。繰り返される転調での多彩な表情の変化も聴きどころであります。第2番変イ長調、援徐楽章風。5部の構成で、偶数番が短調。実に安定感があり、短調の表情の深さが心に染み込む。第3番ヘ短調。軽快にリズムを刻む。その間には美しい旋律が光る。第4番嬰ハ短調。即興的なはじまりで、中間部が印象に残る。スケルツォ的で曲が進み、バックハウスの安定感が光る。第5番ヘ短調。ここでも、たいそうな腰の坐り方であり、そして旋律も高揚感をもって歌うピアノはいいですねえ。そして第6番変イ長調。シューベルトらしい曲。私は一番好きです。転調を繰り返していくなかで、音楽が昇華していく。それをバックハウスは止めどもなく続くようなピアノで現しております。

この曲は、先述のようにバックハウスは最後の演奏会での演奏も聴くことができます。その演奏も聴くべきところは多く、貴重なものですね。しかし、どちらかとなれば、1955年盤を取るべきでしょうね。

しかし、関西のコロナ拡大、実に心配ですねえ。気候は暖かくなって気持ちがいいのにねえ。ほんとにどうなるんでしょうか。
(DEECA UCCD-9174 2004年)

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