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ベームの最後の来日公演

2007年12月23日 21時24分06秒 | ベートーヴェン
クリスマスが間近となりました。昨日は一日真剣に雨が降りました。それなりの冬景色になっていきましたね。先週、岡山の中古やさんで、カール・ベームの1980年の来日公演ライブを見つけました。ベームは、1970年代の日本においてカリスマ的な人気を博したことは有名なことです。個人的には1975年の来日公演は、FM放送をカセットテープに録音しながら、しっかり聴いたことを思い出します。しかし、1977・1980年の公演については、ちょうど大学生だったころだったんですが、そのころは音楽をそれほど聴いていなかった時期だったので、あまり関心を持っていませんでした。特に1980年の来日は意識すらしていなかったようです。今から思えば、なんと残念なことか。しかし、このCDやまたDVDも出ていて、巨匠の最晩年の演奏を再体験できることは、なんと幸せなことでしょうか。
1980年の来日は、ウィーン国立歌劇場の引っ越し公演の形で実現したものです。講演は計6回。「フィガロの結婚」4回と「ナクソス島のアリアドネ」1回に加えて、ウィーン・フィル演奏会が1回だけ組まれました。1980年10月6日東京の東京女子大人見記念講堂のこけら落としで、演奏曲目は、このCDに収められているベートーヴェンの交響曲第2番と第7番。当時ベームは86歳。翌年8月の逝去の10ヶ月前で、椅子に座って指揮する姿は、高齢を感じさせるものでした。
この演奏については、巨匠の晩年の痛々しい姿を示すものという意見も根強くあります。確かにオーケストラの集中力が欠けているなというところや乱れたところなどは感じられる箇所はあるでしょう。また、テンポの遅さについても異論はあろうかと思います。しかし、こんなスケールの大きな音楽はなかなか聴けません。
特に、交響曲第2番。これほどこの曲を雄大かつ気宇壮大に、堂々と演奏した例を知りません。この曲はどちらかと言えば、小振りなイメージであまり注目されたものではないですが、このベームの演奏を聴けば、英雄や運命に比肩するにあまりある作品であることを強く認識させられます。この演奏を「老大家ベームのエネルギーが最後に最も激しく燃焼した瞬間」と評されていますが、けだし名言であります。ベームの曲に対しての強固な意志が、全編にわたって浸透し、最初から最後まで明確な音となって表現されています。それは、熱狂的に巨匠の作る音楽を支持し信奉した日本の聴衆への最後の返答だったのかもしれません。曲が終わったあとの熱狂的な拍手はなかなか聴けるものではないですね。ただ、途中の咳払いがすごく気になりましたが…。

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