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朝比奈さんのベートーヴェン その6

2023年10月15日 23時59分00秒 | ベートーヴェン
先週火曜日にコロナワクチンを打ちました。これで6回目。まあ用心のためでしょうかね。しかし、翌日から頭がふらふらと倦怠感。熱は少ししかでませんでしたが、仕事を早退しました。翌日にはよくなったのですが、今度は風邪の症状。季節の変わり目なのでねえ。そんなこんなでもう、一週間ほど走れていません。それが悲しい。一方、マリーンズ最終の楽天戦、いい試合でしたねえ。小島頑張ってくれましたし、ベンチ采配も見事でした。なんとかCSですねえ。

今回は久々にベートーヴェン。ふと朝比奈さんのベートーヴェンを聴いてみたくなりました。どの録音を聴こうか、と迷ったのですが、一番最初のをと思い、いわゆる学研盤とかカペレ盤と言われているものであります。この最初の全集、少し前にタワーさんからCDで復刻されたものを持っているので、これを聴きました。第1番から順番に聴いていったのです。先述のように、風邪で気分的にすぐれなかったので、自室でごろごろしながら、の鑑賞でありました。

聴きながら付属の冊子をパラパラ目を通していました。最初に「朝比奈氏と私」という題目でのエッセイがありました。井上某という人が書いてる。読んでみると、朝比奈さんと京大で同級生で幾度か会ったことがあるが、お互いのやっていることについて話したことがないので、機会があればその話をしたいなあ、という内容。読んでいて、すぐにただものではない人が書いたものに違いないと思ったのです。改めて、誰だ、と見ると、かの文豪井上靖氏であました。いやーびっくりびっくり。さすが文豪はこれだけのことで、これほどの文章が書けるのか、とまあ感服しました。井上さんと朝比奈さんは、京大で同級生で同じ主任教授とか。お二人ともあまり大学には行ってないそうですが…。

この最初の全集は、1972年12月28日の第九のライブ録音から1973年7月~8月までに集中してセッション録音された1~8番で構成されています。オケは大阪フィル。この他の全集は、すべてライブ録音ですが、この第1回目は、大阪の厚生年金会館中ホールでのセッション録音が主になっています。こののち約30年ほどの間に録音された後年の全集の方が評価は高いのでしょうが、この第1回目の演奏も、朝比奈さんのよさが一杯。特にこのとき朝比奈さんは65才ということで、元気みなぎる壮年期であることも魅力の要因でありましょう。

この全集から、第3番『英雄』で耳が止まりました。朝比奈さんのベートーヴェン、中でも英雄はいいですねえ。この英雄もたいそう惹きつけれる魅力があります。ただ、1980年代以降の演奏に比べると、少しスケールも小振り。インテンポで隅々まで行き届いた理路整然とした厳格な演奏は、非常に安定しております。やや物足りなさも感じるところもありますが、ところどころでの演奏の美しさや厳しさも感じます。セッション録音ということもあるんでしょうか。それでいて、ベートーヴェンの音楽が明確に心に染み込むような演奏になっているところが、さすがであります。第1番から聴きだして次々に聴きたくなるのは、曲に力だけではありませんね。そして、大フィルもとてもよく鳴っていい響きであります。

第1楽章、冒頭から少し大人しめの印象。しかし、厳格な指揮に大フィルも余裕を感じさせる演奏となり、非常に気持ちがよい。少々堅すぎる印象もあるが、朝比奈さんの壮年期の力強さはしっかりと伝わった演奏であります。第2楽章、葬送行進曲も次第に豪快な恰幅の良さが加わっていき、実に堂々とした行進曲であります。スケールの大きさの中から、悲愴感が表されるところが朝比奈さんの巧さでしょうか。第3楽章スケルツオ、小振り感は否めないが、大フィルの演奏がとてもいい。ゆったりとしたテンポの中に、中間部のホルンを筆頭に弦も木管も実に充実している。そして終楽章、出だしから気迫こもった演奏に耳が奪われる。ところどころでの木管も美しく、終楽章らしい躍動感や高揚感が加わっていくところは、とても感動的でもあります。

このベートーヴェン全集は、前述のように朝比奈さん65才のときのもの。これから朝比奈さんは、7つの全集の録音を成し遂げられました。普通ならもう還暦で定年退職して悠々自適の生活になる年からの偉業。これはすごいですね。見習わなければいけませんね。
(NAXOS×TOWER RECORDS TNCL-1001 2013年)

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