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美加レディースクリニック いちご通信

クリニック情報を発信していきます。

4か月以内に、50%の方が妊娠しています!

2017-04-13 13:44:37 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

4周期以内に、50%、6周期までに、68.1%, 12周期までに、80.7%の方が妊娠しています!

 

これらは、一般不妊治療での妊娠です。

きめては、まずは、卵管造影検査を行うこと、次に、頸管粘液の分泌改善、精子の運動率改善です。

 

当院では、なるべく簡単な治療で早い妊娠を目指します。

それぞれの患者さんの状態を把握し、的確な治療を行うことで、早い妊娠が可能です。

 

2015年度の不妊初診患者は413名で、計280名の方が妊娠されました。

1回しか受診されていない方もいるので、ちゃんと通院されていた方の8割が1年以内に妊娠されています。

初診後4周期までに50.3%が妊娠し、6周期までに68.1%、12周期までに80.7%が妊娠に至っています。

<クリニック基本理念・方針について>

それぞれの患者様の不妊原因を的確に診断し、効率の良い治療を行うことにより、まずは、一般不妊治療での数ヵ月以内の妊娠をめざしています。

どうしても必要な場合に高度生殖医療を行います。

常に最新の技術を取り入れ、患者様にご満足いただけるような高い医療レベルを保つことをめざしています。

医師だけでなくスタッフの学会参加、研修にも力をいれています。

不妊予防のための啓蒙活動にも力を入れています。

美加レディースクリニック

 

 


なかなか妊娠しないのはなぜ? 女性の年齢と胚の染色体異常率、着床率について

2017-03-11 15:25:16 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

美加レディースクリニック

2013年12月号の「Fertility and Sterility」に掲載された論文をご紹介します。Fertil Steril. 2013 Dec;100(6):1695-703.

胚の染色体異常率は、年齢とともに増加します。不妊治療を成功させるためには、とにかく年齢が重要であることを知ってもらいたいので、ご紹介したいと思います。

この研究では、体外受精を行って得られた受精卵(胚)の染色体を調べて、正常の胚を選んで移植する「着床前スクリーニング(PGS)」という方法を、行いました。

年齢別に、35歳未満、35~37歳、38~40歳、41~42歳、43~44歳 の 5つのグループにわけ、以下のように、とても多数の胚の染色体を調べています。

  分割期胚  3412個  (461周期)

   胚盤胞   2467個  (462周期)

 

 受精後3日後の分割期胚の染色体異常率は、35歳未満だと53%が異常胚ですが、43~44歳では、93%が異常胚です。

 受精後5~6日後の胚盤胞では、35歳未満だと、染色体異常胚は、32%ですが、43~44歳では、84. 8%が異常胚です。

 分割期胚よりも、胚盤胞まで発育した胚で検査したほうが、染色体異常率が少し低くなります。

 年齢が高くなると、異常胚が多いために、体外受精ー胚移植を行っても、妊娠しない、または、妊娠しても流産してしまう確率が高くなります。

 そのため、見た目はきれいな、胚盤胞の移植を何回も行っても妊娠しない・・・ということが起きます。

 40歳以下と、41歳以上では、異常胚の率が、随分増えてくることがわかります。

 胚盤胞の染色体異常率は 38歳~40歳だと、43.1%ですが、41歳~42歳では、76.3%にはねあがってしまいます。

 この発表の着床率で計算してみると、

   38~40歳だと、正常胚を移植しても、着床率が、47.2%なので、正常胚56.9%×47.2%≒26.3%

   PGSを行わないで胚移植を行った場合

       胚盤胞移植  4回に 1回の妊娠の確率ということになります。

   41~42歳の場合、正常胚23.7%×着床率40.4%≒9.3%

       胚盤胞移植  10~11回に 1回の妊娠の確率ということになります。

 

      少しでも若い年齢で治療を開始することが、成功のカギです!

 

D3の分割期胚の生検
D5~6の胚盤胞の生検
  年齢    着床率   染色体異常率   年齢    着床率   染色体異常率
<35歳未満  40.6% (73/180)  53.1% (530/999) <35歳未満  51.1% (119/233)  31.7% (306/966)
35–37  43.6% (44/101)  68.2% (420/616) 35–37  54.2% (65/120)  44.2% (237/536)
38–40  42.1% (59/140)  73.7% (659/894) 38–40  47.2% (59/125)  43.1% (324/751)
41–42  31.6% (18/57)  85.8% (460/536) 41–42  40.4% (19/47)  76.3% (200/262)
43歳以上   7/30  92.6% (340/367) 43歳以上    5/18  84.8% (112/132)
P value NS    <.001 P value    NS     <.001
合計 39.6% (201/508) 70.6% (2409/3412) 合計 49.2% (267/543)

47.8% (1179/2467)

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着床前スクリーニング(PGS)の有用性について

2017-02-23 14:27:15 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

PGSの有用性については、海外で多くの発表がなされています。
2014年の米国のデータによると、年齢が高くなるほど、染色体異常の胚の率が増加し、PGSの有用性が高まることが報告されています。
年齢34歳以下の場合、PGSを行わない場合の、胚移植あたりの、妊娠継続または無事出産した率は、48%、それがPGSを行った場合は、84%に増加します。...
年齢が41~42歳の場合は、PGSなしで、7%しか成功しないのが、PGSを行うと、67%になります。年齢43歳以上の場合は、PGSなしでは、0%、PGSを行うと100%となっています。
ただし、体外受精周期から見ると、高齢になればなるほど、体外受精を行って得られた胚のPGSを行った結果、1個も正常の染色体がなく、胚移移植を行えない場合も増加します。34歳以下では、46周期の体外受精中、胚移植を行えたのが43周期ですが、41~42歳では、28周期の体外受精で、胚移植を行えたのは12周期のみ、43歳以上になると、8周期の体外受精で、胚移植を行えたのは、1周期のみという結果でした。
 PGSを行わなければ、胚移植できる率は高くなりますが、実際に出産に至る割合はかなり低くなります。

以下は、PGSを行った場合と行わなかった場合の出産(または妊娠継続中)率をしめしたものです。胚移植当たりの比較です。年齢が高くなるほどPGSを行った方が胚移植あたりの出産にいたる確率は高まるように思えます。異常胚を移植することがないので、移植しても着床しない胚や流産してしまう胚が、除かれるので、不要な胚移植を避けられるからです。

 

   <PGSの有無による胚移植あたりの出産(または妊娠継続中)の割合>

年齢       PGSを行った群     PGS無しの群           p Value
34才以下        84%         48%              *p≤0.01
35-37才        76%         53%             * p≤0.05
38-40才        84%         29%             *p≤0.01
41-42才        67%           7%             *p≤0.01
43歳以上       100%          0%              p=0.11

  <PGSの有無による胚移植あたりの着床率>

年齢         着床率%                        p Value
           PGSを行った群      PGS無しの群
34才以下       85%           40%           *p≤0.01
35-37才       79%           37%           *p≤0.01
38-40 才       81%           24%           *p≤0.01
41-42才       72%            3%            *p≤0.01
43歳以上      100%           0%            *p≤0.05

◎PGSを行った群で、   
体外受精周期のうち胚移植を行えた周期での出産(または妊娠継続中)の割合

年齢        IVF周期中/胚移植を行えた周期
≤34歳        46 周期中/ 43周期          出産  78%
35-37歳       43周期中 / 41周期         出産  72%
38-40歳       47周期中 / 37周期         出産  66%
41-42歳       28周期中 / 12周期         出産  29%
43歳以上       8周期中 / 1周期          出産  13%

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着床前スクリーニング(PGS)とは?

2017-02-23 14:01:40 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

着床前スクリーニング(PGS)とは?

先日、PGSに関する報道が新聞にのっていたようですので、PGSについてお話したいと思います。

体外受精‐胚移植法の技術は、非常に進歩してきており、さまざまな技術が生まれています。
子宮内に移植した胚が着床し、その後元気な赤ちゃんに発育するためには、受精卵(胚)の染色体が正常であることが重要です。でも、体外受精によって得られた受精卵(胚)は、外見からみるだけでは、染色体が正常かどうかは、全く判断ができません。見た目が非常にきれいであっても、染色体異常の胚かもしれません。
染色体異常の胚を移植した場合、多くは、全く着床しない(妊娠反応が陽性がでない)か、着床して妊娠に至ってもその後の発育が停滞または停止し、繋留流産または進行流産となります。...
異常な胚の移植を避け、流産の負担を避ける方法として、着床前スクリーニング(PGS)があります。海外ではすでに行われている方法ですが、日本ではまだ許可されていません。
昨年、着床前異数性スクリーニング(PGS)が日本産婦人科学会により臨床研究として承認されました。
PGSとは、体外受精後に得られた受精卵(胚)の細胞を採取し、その染色体を検査することにより、正常な胚を識別する方法です。正常であると判断された胚を移植することにより、着床率の向上、流産率の低下につながり、無駄な胚移植や流産を避けることができます。ただし、今回、臨床研究の対象となるのは、2回以上の流産、または、3回以上の体外受精―胚移植不成功の場合です。

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