美加レディースクリニック
2013年12月号の「Fertility and Sterility」に掲載された論文をご紹介します。Fertil Steril. 2013 Dec;100(6):1695-703.
胚の染色体異常率は、年齢とともに増加します。不妊治療を成功させるためには、とにかく年齢が重要であることを知ってもらいたいので、ご紹介したいと思います。
この研究では、体外受精を行って得られた受精卵(胚)の染色体を調べて、正常の胚を選んで移植する「着床前スクリーニング(PGS)」という方法を、行いました。
年齢別に、35歳未満、35~37歳、38~40歳、41~42歳、43~44歳 の 5つのグループにわけ、以下のように、とても多数の胚の染色体を調べています。
分割期胚 3412個 (461周期)
胚盤胞 2467個 (462周期)
受精後3日後の分割期胚の染色体異常率は、35歳未満だと53%が異常胚ですが、43~44歳では、93%が異常胚です。
受精後5~6日後の胚盤胞では、35歳未満だと、染色体異常胚は、32%ですが、43~44歳では、84. 8%が異常胚です。
分割期胚よりも、胚盤胞まで発育した胚で検査したほうが、染色体異常率が少し低くなります。
年齢が高くなると、異常胚が多いために、体外受精ー胚移植を行っても、妊娠しない、または、妊娠しても流産してしまう確率が高くなります。
そのため、見た目はきれいな、胚盤胞の移植を何回も行っても妊娠しない・・・ということが起きます。
40歳以下と、41歳以上では、異常胚の率が、随分増えてくることがわかります。
胚盤胞の染色体異常率は 38歳~40歳だと、43.1%ですが、41歳~42歳では、76.3%にはねあがってしまいます。
この発表の着床率で計算してみると、
38~40歳だと、正常胚を移植しても、着床率が、47.2%なので、正常胚56.9%×47.2%≒26.3%
PGSを行わないで胚移植を行った場合
胚盤胞移植 4回に 1回の妊娠の確率ということになります。
41~42歳の場合、正常胚23.7%×着床率40.4%≒9.3%
胚盤胞移植 10~11回に 1回の妊娠の確率ということになります。
少しでも若い年齢で治療を開始することが、成功のカギです!
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D5~6の胚盤胞の生検 |
年齢 |
着床率 |
染色体異常率 |
年齢 |
着床率 |
染色体異常率 |
<35歳未満 |
40.6% (73/180) |
53.1% (530/999) |
<35歳未満 |
51.1% (119/233) |
31.7% (306/966) |
35–37歳 |
43.6% (44/101) |
68.2% (420/616) |
35–37歳 |
54.2% (65/120) |
44.2% (237/536) |
38–40歳 |
42.1% (59/140) |
73.7% (659/894) |
38–40歳 |
47.2% (59/125) |
43.1% (324/751) |
41–42歳 |
31.6% (18/57) |
85.8% (460/536) |
41–42歳 |
40.4% (19/47) |
76.3% (200/262) |
43歳以上 |
7/30 |
92.6% (340/367) |
43歳以上 |
5/18 |
84.8% (112/132) |
P value |
NS |
<.001 |
P value |
NS |
<.001 |
合計 |
39.6% (201/508) |
70.6% (2409/3412) |
合計 |
49.2% (267/543) |
47.8% (1179/2467)
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