こんにちは、培養部門です。
本日は不育症とプロテインS欠乏症についてお話します。
妊娠はするけれど流産・死産・新生児死亡を繰り返してしまい、結果的に子供を持てない場合を、「不育症」といいます。不育症はいろいろな原因で起こりますが、そのリスク因子のひとつに、「プロテインS欠乏症」があります。
プロテインSとは血液中にあるタンパク質のひとつで、血液凝固を防ぐ役割があります。
プロテインSを作る遺伝子に異常があると、プロテインSが減少し、血液凝固が起こりやすくなります。すると血栓、塞栓ができやすくなります。
まだ確実な科学的根拠があるという段階には至っていませんが、厚生労働省研究班の調査によると、不育症患者ではプロテインS欠乏症が7.4%と日本人の平均値より高率にみられたと報告されており、不育症とプロテインS欠乏症との関連性が示唆されています。
プロテインS欠乏症を調べる検査として、プロテインS活性の測定があります。当院でも以前から行っていますが、今回新しい検査法が開発されたので、さっぽろ不育症・着床障害コンソーシアムでの勉強会に参加させていただきました。
新検査法では、従来法より精度の高い結果が得られるとのことで、この検査法を用いた調査や研究により、不育症とプロテインS欠乏症に関して新たな知見が生まれるかもしれません。今後も引き続き注目し、不育症に悩む患者様の検査・治療に役立てていきたいと考えています。