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美加レディースクリニック いちご通信

クリニック情報を発信していきます。

反復着床障害、原因不明不妊、原因不明不育症 と「慢性子宮内膜炎」

2017-12-07 14:52:27 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

こんにちは。院長の金谷美加です。

最近、「慢性子宮内膜炎」 という病態が、不妊症や不育症の原因として、注目されています。

11月に行われた、下関での生殖医学会でも、このテーマに関する発表が多数みられました。

治療することにより、妊娠率の改善がみられるということで、今後、必要な方に、検査を行っていきたいと思います。

<慢性子宮内膜炎とは>

 一般的に言われる子宮内膜炎と違い、「慢性子宮内膜炎」は、自覚症状がありません。

 微生物、(連鎖球菌、大腸菌、腸球菌などのコモン・バクテリア群や、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどの微生物)の感染による内膜の炎症の可能性。

 子宮内膜へのこれらの微生物の感染が、着床に適した子宮内膜の分化(脱落膜化)を阻害してしまい、

 反復着床障害、原因不明不妊、原因不明不育症などの原因になっているのではないかと、言われています。

 ちょっと難しい話ですが、詳しく説明すると、微生物の感染により、「内膜間質形質細胞」という特殊な免疫細胞を誘導され、免疫グロブリン産生を亢進させ、子宮内膜の着床に適した環境作りを阻害してしまい、受精卵がうまく着床できないのではないかと考えられています。

<慢性子宮内膜炎の検査法>

①子宮鏡検査(月経直後)による確認 1)マイクロポリープ(小さいポリープが多発) 2)出血班  3)浮腫

②子宮内膜組織検査(内膜組織を少し採取し、病理検査に提出し、「内膜間質形質細胞」がでているかどうかを、CD138免疫染色により確認します。

ただし、子宮鏡で、まったく所見がみられない場合もあります。

 子宮鏡検査で、できるだけ怪しい部位から組織を採取し、病理検査(cd138免疫染色)を行います。

<治療法>

ドキシサイクリン、シプロキサシン、オフロキサシン などの抗生物質 および メトロニダゾールを併用し、約2週間 投与するのが主流です。

 

まだ、わかっていないことが多い病態ですが、治療を行うことにより、有意な妊娠率の改善がみられることが報告されています。

美加レディースクリニックでも、慢性子宮内膜炎の検査、治療を行っております。

着床障害、不育症、原因不明不妊の方にとって、大きな助けになることを願っております。

 


10月の妊娠報告

2017-12-07 14:23:56 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

こんにちは。院長の金谷美加です。

10月、11月は、東京や、下関など、遠くの学会が多くて忙しく、あつという間に、もう、12月になってしまいました。

遅くなりましたが、10月の妊娠報告です。

おめでとうございます!!

10月は、26名の方が、不妊治療で妊娠されました。(年齢は18歳から、44歳)

妊娠までの期間は

初診から  1か月以内   4名

      2~3か月   7名

       4~6か月  7名

       1年以内   4名

       1~2年   4名

初診から、か月以内に、42.3の方が、6か月以内に、69.2%の方が、妊娠されています。

治療法は

     タイミング療法      10名

     人工授精         13名

     体外受精 顕微授精 胚移植 3名でした。 

 

 早く、妊娠したい方は、ぜひ、美加レディースクリニックに相談してくださいね。

簡単な治療で、すぐ妊娠される方が多いですよ。 したがって、かなり、難治性の場合に、体外受精を行っています。

ひとりで悩まれている方も多いと思いますが、一度、お話だけでも、聞きにきていただければと思います。

少しでも若いときに来ていただくほど、早く、楽に、安いコストで妊娠できます。

年齢が上がるほど、治療は難しくなります。

貴重な時間を大切にして下さいね。

お待ちしています。

院長 金谷 美加


~反復着床障害への対策~子宮内膜受容能(ERA)検査を開始しました。

2017-11-17 14:34:47 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

 こんにちは。院長の金谷美加です。  

 11月16日に、下関で開催された「第62回 生殖医学会」にて、ERA検査の研究開発者である  Carlos Simon 先生とお会いすることができました。

スペインのバレンシア大学教授 兼 Igenomix社 最高科学責任者であられる カルロス・シモン 先生から、直接、いろいろお話を伺うことができました。

 当クリニックでも、 10月から 「子宮内膜受容能(ERA)検査」 を開始しました。

 この検査は、子宮内膜が受精卵を受け入れる時期(着床の窓の開いている時期=IMPLANTATION WINDOW)を調べる検査です。

 通常は、排卵後5日後(または黄体ホルモン投与開始日から5日後)が、胚の着床しやすい時期と考えられており、その時期に胚盤胞移植が行われますが、

子宮内膜が胚盤胞を受け入れる時期が、もっと早い、または、もっと遅い、といった、着床の窓がずれている方が、約25%いるといわれます。

 

 したがいまして、良好胚を複数回移植しても着床しない「反復着床障害」 の方には、前もって、この検査を行い、着床しやすい時期がずれていないかを調べてから、適正な時期に胚移植を行います。

また、得られた胚が、非常に少ないような方の場合、限られた貴重な胚を、着床しない時期に移植してしまうと、妊娠せず、無駄になってしまいます。

貴重な胚を、無駄にしないために、あらかじめ、着床に最適な時期を調べてから、胚移植を行うといったケースもあります。

 

 今後、多くの患者さんが妊娠できるように、ERA検査をすすめていきたいと考えています。


9月の妊娠報告

2017-10-19 15:56:51 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

こんにちは。院長の金谷美加です。

当院では、受診されてから、なるべく早く妊娠していTだくことを、めざしていますが、9月もたくさんの方が妊娠されました

おめでとうございます!!

9月は、34名の方が、不妊治療で妊娠されました。(年齢は26歳から、41歳)

妊娠までの期間は 

初診から  1か月以内   6名(17.4%)

       2~3か月   5名(14.7%)   計11名(32.1%)

       4~5か月   8名(23.5%)   計19名 (55.9%)

したがいまして、初診から、5か月以内に、55.9%の方が、妊娠されていますよ。

やはり、卵管造影検査を、早く行ったほうが、妊娠までの期間が、短くなります。

治療法は

     タイミング療法        12名(35.3%)

     人工授精         13名(38.2%)

     体外受精 顕微授精  9名(26.5%)でした。

 

早く、妊娠したい方は、ぜひ、美加レディースクリニックに相談してくださいね。

お待ちしています。

院長 金谷 美加


自然妊娠の確率をあげるには?

2017-05-25 13:44:08 | 教えて美加ドクター 院長ブログ

自然妊娠の確率をあげるためのアドバイス

 (アメリカ生殖医学会)

妊娠しやすいいライフスタイルや性生活のあり方について、アドバイスしてほしいと患者さんから言われることが多いですが、エビデンスに基づいたガイドラインは、これまでありませんでした。

今回、アメリカ生殖医学会の学会誌 「Fertility & Sterlility」に、専門家の意見がまとめられました。

これから妊娠を考えている(まだ不妊かどうかわからない)ご夫婦に対し、今後、どのくらいの期間で妊娠できるのか?妊娠しやすいライフスタイルとは?性交渉の頻度は?などについてです。

その内容をご紹介したいと思います。

 

1. 妊娠までの期間と 妊娠しやすさ(妊娠力)

 

1). だいたい80%の夫婦は最初の6か月以内に妊娠するが、特に妊娠しやすいのは、最初の3か月である

2) 妊娠しやすさ(妊娠力)は人種によって異なるが、女性も男性も、加齢に伴い妊娠力は低下する。

    ・加齢による影響は、特に女性で顕著であり、35歳以上で妊娠力は著しく低下する。

・   30代後半の女性の妊娠力は、20代前半の女性の妊娠力の約半分に減少する。

    ・男性も35歳以降は、精液所見が悪くなってくるが、50歳くらいまでは、妊娠力の低下はそれほど顕著ではない。

 

2. 不妊症?

 

) 定期的な性交渉がありながら、12か月妊娠しない場合を不妊症と診断します。

2) 35歳以上の女性は、加齢による妊娠力の低下が急速であるため、6か月妊娠しなければ、不妊の検査を受けることをお勧めします。

 

3. 妊娠しやすい性生活の頻度 :

最低でも、1日おきまたは2日おきの性交渉が妊娠率をあげる。

 

1) 5日以上の禁欲は精子の状態が不良になるので、2日以内の禁欲をすすめる

2)頻回の射精は精子数が減少して妊娠率が低下すると思われがちだが、実際は、毎日射精しても、精子数や精子の運動率は変わらない。(1万件の精液検査のデータによると)

3 )驚いたことに、乏精子症の患者の場合、毎日射精したほうが、精子濃度も運動率も最も多くなった。

4) 221組の不妊でないカップルにおける研究では、

・最も妊娠率が高かった月は、毎日性交渉を持った場合で、1周期の妊娠率は37%だった。

    ・1日おきに性交渉を持った場合は、1周期33%の妊娠率だった。

    ・1週間に1回の性交渉の場合、1周期の妊娠率は、15%に減少した。

 妊娠を意識しすぎるとストレスとなり、性欲を低下させ、性交渉の満足感も減少し、性交渉の頻度も減少することになる。

 

4. 妊娠の決め手は、タイミングの時期と頸管粘液の状態!

 

①   性交渉をもって、妊娠可能なのは、排卵日の6日前から。

妊娠するには、経管粘液の状態が重要なカギとなる。

 

(経管粘液は、排卵日が近くなると、子宮の入り口(経管)の分泌腺から、出てくる透明な伸びるおりもののことで、射精された精子は経管粘液を介して子宮に入っていく。この液が透明でさらさらしていて水っぽいと、精子はスムーズに泳ぎやすく、ネバネバしていると、精子が粘液につかまってしまい、泳げないので、子宮に侵入できない。)

 

②  タイミングで妊娠しやすい日は、排卵日の1~2日前だが、

最も妊娠率が高い日は、排卵日の1日前。

 

③月経周期が順調な女性でも、自分の体の状態から、排卵日を正確に感じることは、難しく、正しくわかるの周期は、50%以下なので、排卵検査薬などを使ったほうがより確実である。

 

④経管粘液の状態と妊娠率

・頸管粘液の分泌量が多く、さらさらつるつるしていて、透明で水っぽい場合の妊娠率は38%

・粘液の分泌がピークになるのは排卵日の1日前で、そこでタイミングを持った場合、妊娠率は38%

・粘液が少ないまたはねばねばしているときに性交渉を持った場合の妊娠率は15~20%

 

性交渉を頻回にもてない場合

基礎体温の記録を行うことと、尿のLH検査薬を使って排卵日を確認するとよい。

尿の検査でLH陽性の少なくとも2日以内に排卵するが、偽陽性が7%ほどあるので、注意が必要。

 

5 性交渉の実際

①   性交後、しばらく骨盤高位を保ち、安静をとることは必要ない。

 

(性交後、しばらく仰向けに寝ていたほうが膣からの精液の逆流が防がれ精子が子宮内に入りやすいと考えて、儀式のように行っている場合が多いが、そのほうが妊娠しやすいという科学的根拠はない。)

子宮頸部にはいった精子は15分以内に卵管采に到達する。

ラベルをつけたパーティクルを用いたある研究によると、膣の中の精子は2分以内に卵管采に到達する。興味深いことに、パーティクル(精子)は、排卵しようとしているドミナントフォリクルのある側の卵管に多量にみられ、反対側の卵管にはみられないパーティクル(精子)は卵胞のサイズの増加に伴い増加し、オキシトシンの投与によっても増加する。オキシトシンは、性交渉とオーガズムによって分泌される。

 

②   体位によって妊娠率が変わるというエビデンスはない。体位に関係なく、精子は、射精後数秒以内に、子宮経管にはいっている。

③   オーガズムは精子の卵管への移送を促進する可能性があるが、オーガズムの有無と妊娠率に関する関連性はわかっていない。

④  性交用のゼリーの使用は、妊娠率を低下させるので、使用しないこと

ゼリーは精子の運動率を低下させてしまう。60分以内に精子の運動率が60%~100%減少するので、使用しないこと。

ミネラルオイルやキャノーラオイルではそのような作用がないので、どうしても必要な場合は、これらを使用したほうがいい。

 

6.食事とライフスタイル

 健康的なライフスタイルは排卵障害を有する女性の妊娠率をあげる

 

1)  やせ、肥満

やせの女性も肥満の女性も妊娠率は低下するが、

BMI 35以上では、妊娠までの期間が2倍かかる。

BMI 19未満では、妊娠までの期間が4倍かかる。

 

2)  食生活

・菜食主義、低脂肪食、ビタミンの多い食事、抗酸化物質の摂取、ハーブなどは妊娠率をあげるというごくわずかなエビデンスがある。

 

・魚貝類の摂取が多すぎると、血中の水銀濃度が高くなり、不妊につながる。

・葉酸の摂取は、無脳児や神経管異常の発生率を下げる

 

3) 喫煙と不妊

喫煙は有意に妊娠率を下げる。

喫煙者10928人と非喫煙者19128人でのデータでは、

・喫煙は不妊のリスクを1.60倍高める。

・閉経年齢が1歳から4歳早まることから、喫煙は、卵子の枯渇を加速する。

・流産のリスクが上昇する。

・喫煙は、男性の精子濃度、運動率を低下させ、奇形精子の率が増加することにより、妊娠率が低下する。

 

4)アルコール

・飲酒と女性の妊娠力については明確なデータは得られていない。

しかし、かなり多量の飲酒は妊娠率を低下させる。

・男性の飲酒と精液検査との関係は認められていない。

 

5)    カフェイン

・多量のカフェイン 1日コップ5杯以上のコーヒーまたは、それに相当するカフェインは、妊娠率を低下させる。

6)    その他

・女性のサウナは問題ない

・男性は、サウナなどの高温環境は避けたほうがいい

・大気汚染、環境汚染、有毒物質、化学物質への暴露はさけたほうがいい

・職業からくる影響:印刷やドライクリーニングなどのある種の溶液や毒素を使う仕事

・・農業、造園業などの場合、農薬、殺虫剤の影響などにも注意

・男性も重金属への暴露を避ける 鉛、電磁波は、精子への影響がある

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