本ブログでは主に社会科学的な視点から移民関連の出版物を紹介してきましたが、今年から文学的観点からも移民という現象を考えていきたいと思います。具体的には、移民を題材とした小説、映画などを紹介してきます。
移住・移民とは故郷を後にし、異国の地で新たな生活を始めること。経済的理由、家庭の事情、また選択の余地のない強制移動など、さまざまな背景から移住(マイグレーション)が起こります。その移動プロセスから、社会と人々巻き込んだ様々なドラマが生まれることはいうまでもありません。
家族や友人との別離、異国での孤独感…、移民文学はそういった悲壮感や疎外感を描き出します。と同時にチャレンジに勇敢に立ち向かう移民の姿とそのサクセスストーリーも移民文学の十八番トピックだといってもよいでしょう。
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今年最初に読んだ小説は「移民の譜 東京・サンパウロ殺人交点」。日本の海外移住と日系人の出稼ぎ労働。この日本ー南アメリカ間で世紀を超える人の大移動を軸にしたサスペンスなのだが、サスペンスには到底とどまらない。日本の海外移住政策に関する歴史関係を、現在の日系人受け入れ政策と対応させながら、うまくストーリに盛り込んでいる。
ブラジルなどの南米に移住した日本人の苦労話はよく耳にするが、その苦境が南米の日本人社会にどのようなゆがみをもたらしたかということについてはあまり聞かれない。それは恥を忍ぶかのように隠されてきた。本書ではあえて、そのような移民社会のゆがみ、そして実際に起きたといわれる奇行などのタブーを描くことで、コミュニティーがどれだけぎりぎりのところまで追い詰められていたのかを如実に伝えることに成功している。
移住・移民とは故郷を後にし、異国の地で新たな生活を始めること。経済的理由、家庭の事情、また選択の余地のない強制移動など、さまざまな背景から移住(マイグレーション)が起こります。その移動プロセスから、社会と人々巻き込んだ様々なドラマが生まれることはいうまでもありません。
家族や友人との別離、異国での孤独感…、移民文学はそういった悲壮感や疎外感を描き出します。と同時にチャレンジに勇敢に立ち向かう移民の姿とそのサクセスストーリーも移民文学の十八番トピックだといってもよいでしょう。
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今年最初に読んだ小説は「移民の譜 東京・サンパウロ殺人交点」。日本の海外移住と日系人の出稼ぎ労働。この日本ー南アメリカ間で世紀を超える人の大移動を軸にしたサスペンスなのだが、サスペンスには到底とどまらない。日本の海外移住政策に関する歴史関係を、現在の日系人受け入れ政策と対応させながら、うまくストーリに盛り込んでいる。
ブラジルなどの南米に移住した日本人の苦労話はよく耳にするが、その苦境が南米の日本人社会にどのようなゆがみをもたらしたかということについてはあまり聞かれない。それは恥を忍ぶかのように隠されてきた。本書ではあえて、そのような移民社会のゆがみ、そして実際に起きたといわれる奇行などのタブーを描くことで、コミュニティーがどれだけぎりぎりのところまで追い詰められていたのかを如実に伝えることに成功している。
移民の譜 東京・サンパウロ殺人交点 (徳間文庫)麻野 涼徳間書店このアイテムの詳細を見る |
いくつかの記事を、興味深く拝見させていただいております。
さて、それと話は異なるのですが、
偶然にも本記事と同テーマの小説を知っていたので
共有までにコメントいたしました。
垣根涼介著『ワイルド・ソウル』(幻冬舎文庫)
ハードボイルド小説として秀逸な作品です。
ご興味ありましたら、読んでみてはいかがでしょうか。
以上、立ち寄りがてらの道草でした。
失礼いたします。
EPAについてのレポート、感想等もお待ちしています。
またいらしてください。