ロイヤル・オペラ 『
マクベス』
マクベスとは、11世紀に実在したスコットランド王
シェイクスピア四大悲劇の一つ。
このオペラを作曲したヴェルディは、当時、
イタリア語に訳され始めたシェイクスピアの戯曲に相当いれこんでいたそうです。
実はこのオペラ、昨年春、物語の舞台スコットランドで
一度だけ見たことがあります。
エディンバラの劇場
その日、旅行で訪れたエディンバラのホテルで
「今晩あるのは・・・チキ・チキ・バン・バンか、マクベスだね。」
と教えてもらい、単純に消去法で決まったマクベス。
劇場に着き、いざ幕が上がってみると、衣装も演技もなんとな~くチープ、
手作り感たっぷりの市民団体による舞台でした。
よっぽど札幌の市民団体のオペラの方がずっと・・・とも思いましたが、
歌を愛してやまない人達が力を合わせて舞台を作り上げるモチベーションは万国共通
そして、この日のマクベス役は初老の男性。
最後のアリアの一番の見せ場で声がひっくり返ってしまったりと、
この舞台、
色々な意味で終始楽しませてもらいました。
・・・と、前置きが長くなりましたが、
今回のロイヤル・オペラのマクベス、特筆すべきはソプラノ殺しと称されるマクベス夫人。
まだロイヤル・オペラデビューしたばかりのLiudmylaさん、
抜群の声量とテクニック、強欲な悪女の仕草、目つきは、会場全体の視線を独り占め。
気づけば、私も英語字幕を追うのを忘れてしまうほど、
「マクベス」の世界にぐいぐい引き込まれていきました。
一方、マクベス役の歌手はイギリス人、
とても50代とは思えないイケメン男性でした
終盤に向け、マクベスの運命とは反比例、演技もアリアもどんどん輝きを増し、
最後には、階段から崩れ落ち、口から泡を出して倒れるさまは、俳優も真っ青!
ところで、このオペラには有名なテノールのアリアがあり、それを聴いていると、
日本でよくイタリア・オペラのレッスン伴奏をしていた頃が懐かしくなりました。
あの頃は、送られてくる楽譜の山に追われ、
そのオペラについて深く掘り下げる時間もなくレッスンに出掛けていました。
今なら、「あっ、あのアリア、こういう曲だったんだ・・・」と思う瞬間が多く、とても幸せです。
今回のマクベスで、ロンドンのオペラは見納めかなと思っています。
こちらに来て、シェイクスピアについて知れる機会も多く、
そして最高のオペラも鑑賞でき、まさに夢のような日々でした
(※まだ帰国の詳細が決まったわけではありません
)