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Pianist 池田みどり

ピアニスト池田みどりの四苦八苦をまるごとお見せします。
http://www.hi-ho.ne.jp/~midopi/

「ユナイテッドピープル」~クリックから世界を変える

2010-05-30 | 
 バングラデシュのストリートチルドレン救済NGOが制作した映画「アリ地獄のような街」の配給元がユナイテッドピープルです。どれほど大きい会社かと思ったら、どうも同じ横浜に住み、同じSNS「ハマッち!」に入っている若い男性がやっている小さな会社らしい。

 サイトには「人と人とをつなぎ、世界の問題を解決する。それがユナイテッドピープルのミッションです」とあります。この会社は「イーココロ!」というサイトを運営していて、クリック募金というのをやっています。クリックするのは無料、それで1円の募金が企業とこの会社を通してできる。また、ショッピングもこのサイトを通せばポイントがついて、それが募金になる。募金する側に、何の負担もかけず、企業にとっても社会貢献が無理せずできるという仕組みです。

 この会社の代表取締役社長、関根健次さん(33歳)が本「ユナイテッドピープル」を書いているので、読んでみました。留学生として米国でなんら不自由なく学生生活を過ごし、卒業旅行で、たまたまパレスチナ・ガザ地区で子ども達と出会い、楽しくサッカーを楽しんだ時のこと。ある少年に何気なく「君の夢はなに?」と聞きました。

 「僕の夢は爆弾の開発者になって、できるだけ多くの敵をころしてやることなんだ」・・・その言葉がショックで忘れられないまま、10年が経ちます。いくつかの仕事を経験しては辞めますが、その間も彼の言葉がよみがえることがあったようです。

 子どもが子どもらしい未来を持てない環境。私たちはたまたま日本という国に生まれ、未来を夢見ることができます。でも彼らはたまたま紛争地帯に生まれ、家族が殺されるのをこの目で見、毎日が死と向き合っています。

 関根さんはとうとう独立し、会社を設立。直接地域に根付いて支援をしているNGO,NPOをバックサポートできるシステムを考えます。社会貢献する側にも負担をかけずに、企業にとってもプラスになるシステム。考案したのが、この「イーココロ!」のシステムです。

 ユナイテッドピープルは、世界の飢餓・貧困・戦争・紛争・人権・環境問題について、現場を多くの人に知ってもらうために、発信もしていますが、さらに進化していきそうです。

※ユナイテッドピープル株式会社
http://www.unitedpeople.jp/index.html
※イーココロ!
http://www.ekokoro.jp/

「街中のギモンinNY」佐々木香奈著

2010-03-01 | 
 在米22年の著者が、NYの街中で見て聞いた出来事の数々。「こんなことってあるの?」って、ギモンがいっぱい。時には怒り心頭。そして抱腹絶倒、笑いが止まらない。

 夕刊紙「日経ゲンダイ」の週間コラム「NY裏通信」に連載されていた中から100偏の選りすぐり。『ニューヨーカーが日本文化を進化させる理由』という副題。筆者の切り口とその文章が、読者を元気にしてくれる。

 特に笑っちゃうのが、グルメ話題。ニューヨーカーにとって、カルチャーショックであったはずのスシ。生の魚をライスに載せて、素手で食べる。"Oh! My God!"・・・ところが今や、その残酷さは大いに受け入れられ、NYのスシやは大繁盛。とうとう、プラスチック製のスシにねじ巻きつけて、おもちゃにしたら、これがなんとNY公認グッズに。ネタの種類もいろいろありまっせ。

 豆腐(Tofu)もSushiには負けてられない。「だって生でしょう?」って豪語するニューヨーカーに、冷奴の美味はまだわからないらしいけど、豆腐レシピコンテストなるものも開催され、ヒートアップ気味。

 新型インフルエンザが日本でパニックになっていたころ、NYとの温度差はいかほどであっただろうか?NYと日本をつなげている『ジャムズネット』の名前も出てきます。

※街中のギモンin NY:ニューヨーカーが日本文化を進化させる理由
佐々木香奈著、講談社刊
680円(税込み)2月20日発売
以下は講談社のサイトです。アマゾンでもありますよ。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2813459

「アレルギー・マーチと向き合って」関根友実 著

2010-02-27 | 
 『アレルギー・マーチ』という言葉を知りませんでした。これは日本アレルギー学会名誉会員である馬場実医師が提唱された言葉。最近は認知が高まってきているそうです。つまり、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎・・・・と次々と連鎖的に発症していく様子です。

 彼女はすでに1歳のころから、ひどい皮膚炎になり、小学校のころにはアトピー性皮膚炎はピークになり、眉毛もなくなってしまうほどだったといいます。それが原因でいじめにもあっていたとのこと。小さい頃のことをあまり覚えていないと書いていますが、かなり辛い時期だったのでしょう。彼女がその心を丈夫に持ち続けたのは、きっと母親の強さと大らかさ、姉のやさしさのおかげでしょう。

 年代を追って書かれたアレルギーとの闘いは、ほとんど休みなく彼女を襲っています。そしてその残酷さを増していきます。アナウンサーとして、数々の番組を元気いっぱい印のトレードマークでこなしている、その影にも、明日はどうなるかわからないという、切迫感が伝わってきます。でも彼女の心の羽根が折れることはありませんでした。

 仕事を選ぶか、子供を選ぶかと悩み続け、危険を覚悟で出産。フリーランスアナウンサーとして復帰後も、「アレルギー・マーチ」は歩みを止めません。病気といかに上手に付き合っていくか・・・簡単に聞こえるこの言葉も、ここでは一筋縄ではいかないようです。

 2009年3月にこの本を出版後、5月には医療支援ボランティア団体「医療を支える関西オカンの会・・・時々、オトン」を設立。その半年後、兵庫県立柏原病院小児科を守る会と共に「患者力」をテーマにシンポジウムを開催するなど、めざましい活動をされています。

 来月は、ジャムズネット東京のメンバーとして彼女をインタビューする予定です。初めての患者側のインタビューになります。

※ホームページ:医療を支える関西オカンの会・・・時々、オトン
http://www.kansai-okan.com

「カルチャーショック」大西守編

2010-02-23 | 
 ジャムズネット東京のメンバーである福永佳津子さんが第4章、第5章を執筆されています。彼女は海外生活カウンセラーとして多くのメディアで活躍されていますが、そのキャリアのきっかけとなったWISH電話相談との出会いからです。

 子育てに忙しかったニューヨーク生活の折、近所に住む女性から、日本人が海外で困ったときに相談できるホットラインのカウンセラーをやらないかと持ちかけられました。当時ニューヨークにはそのようなサービスがなかったので、さまざまな質問が寄せられるようになりました。福永さんはその合間に、マンハッタンビルカレッジに通い、修士論文にはWISH電話相談での活動や事例分析をし、それがこの原案になっています。

 この中で意外に思うのが、電話相談の内容分析です。在米の日本人からの電話相談内容は80%近くが社会生活に関する相談です。住宅のこと、子供の教育のこと、文化・習慣の違い、ベビーシッターのことなどです。同時期にWISH電話相談を利用したアメリカ人の相談内容は、社会生活問題が30%なのに比べ、個人の内面的問題は70%です。さらに当時1978年にニューヨークのメンタルヘルス・サービスを利用した日系人を含むアジア人はわずか0.5%です。では日本人は内面的な問題をどのように処理しているのでしょう?

 電話内容をよく聞いてみると、住宅問題の原因となっているのが離婚だったりと、一概に社会生活問題の裏に、内面的問題が原因になっているものがかなりあるようです。いずれにせよ、カウンセリングを受けるのが一般的な米国人に比べ、日本人にとって精神医への壁は、内科医などに比べてまだまだ高いようです。

 この本は1988年の出版です。残念ながら現在では絶版になっているようですが、ひじょうに重要な問題提議をしていると思います。

※福永佳津子さんインタビューhttp://jamsnettokyo.web.fc2.com/interview/interview_3.html

※本日、最新インタビューもアップしました。東京医科大学病院 循環器内科、心肺蘇生法講習医の武井康悦氏です。
http://jamsnettokyo.web.fc2.com/interview/Intervies_4.html